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科捜研への道 ―高校生編―

科捜研職員を目指す高校生が、今できること。

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中学生や高校生のときから科捜研を意識してるだけでも既に1歩リードですが、今のうちからやれること、考えることを書いてみます。

はじめに

科捜研職員への就職は、医者や薬剤師のような資格職とは異なり、「こうしなきゃいけない」ルートが決まっているわけではありません。

科捜研職員試験の受験資格は、年齢と大卒、加えて科捜研の各専門分野に応じた学部学科卒と書かれている場合が多く、複数の学部学科から受験できます。また、都道府県によっては、年齢と大卒のみで、学部や学科の制限が全く無い場合もあります。

そういった理由から、「科捜研法医のために定められたルートに行かなければならない」ということはあまり考えなくても大丈夫です。

そんな中でも、いくつか考えられることをご紹介します。

大学の学部選択

高校生において最大の将来に関わる選択が大学進学です。

ただし、前述のように科捜研職員の試験を受験することだけを考えれば、選べる学部の幅はかなり広くあります。

例えば科捜研の法医であれば、
・臨床検査技師系学科
・薬学部
・獣医学部
・理学部生物系/化学系
・工学部生物系/化学系
・農学部生物系/化学系
などが考えられます。

じゃあいったいどの学部を選んだらいいの?という質問もよくいただきますが、ここで考えるべきは「第二志望」の可能性です。

第一志望が科捜研職員だとしても、採用数の少なさから誰もがなれるわけではありません。そのとき、進める第二志望第三志望に学部学科の影響が濃く出ます。

上に上げた学部学科の中で、特に資格職である臨床検査技師には臨床検査技師としての仕事がありますし、薬剤師には薬剤師の仕事があります。獣医にも獣医としての仕事があります。
理・工・農学部の生物/化学系もひとまとめにされがちですが、皆さんが思う以上に中身の差は大きいです。

例えば、DNAや酵素に関わる生物化学や分子生物学といった分野は生物と化学の複合領域ですが、生物から見るか、化学から見るかで位置付けが異なります。
生物から見ると、生物のシステムを構成する一部であり、その中ではミクロの存在です。それが果たす機能が主眼になります。
化学から見ると、1つの特徴的な分子形態と化学反応であり、分子の中では大きな部類です。反応そのものが興味の対象です。
理学部は最終的にメカニズムを理解しようとします。
工学部は最終的に大規模工業的な利用を考えます。
農学部は最終的に動植物としての利用を考えます。
これらの違いは大学の講義のカリキュラムに反映されており、学部が違えば常識も異なります。
(典型的な例です。細部は同じ部分もありますし、もっと違う部分もあります)

そういった差から、学部によって第二志望の方向性が変わってきます。

将来どんな仕事をしていきたいのか、どんなことを専門にしたいか、よく調べたり人に話を聞いたりしてみてください。

まだ絞りきれない部分があっても構いません。
それでも、少しでも自分の真の希望に近づけておくと後が楽になるでしょう。

専門以外の勉強や趣味

科捜研を目指すにあたって、法医、化学、物理、文書、心理の専門分野を選んでその専門に向かっていくことになるのですが、専門分野は大学に入ってからみっちりやることになるので、高校生の時期から無理に大学の範囲に手を出す必要はありません。専門分野を学ぶためには基礎の積み重ねが重要であり、高校までの範囲はすべての教科が後々の基礎になります。

むしろ、中学生・高校生の時期は専門以外の分野にも広く目を向けてほしいと思います。
多くの進学校で受験対策のためだけに教科を絞ってしまうことも見受けられますが、少なくとも数学・物理・化学・生物・地学は全部やってほしいなと思います。

自然科学系の分野はもちろん良いと思います。
数学・物理・化学・生物・地学は無駄になるところが何もありません。
社会系の分野も良いと思います。
芸術系のことをやるのも良いと思います。
機械をいじるのも良いと思います。
プログラミングも良いと思います。
顕微鏡を見るのも良いと思います。
動植物も良いと思います。

どんな分野だとしても、創意工夫や問題解決は経験になりますし、他の人が知らないことを知っていると、同じ専門分野だったとしても味付けが異なったりしてくるものです。見方が変われば他人の気付かないところに気付いたりします。
もちろん専門と直接関わってくるものとそうでないものという差はありますが、ある程度自分の好みのものを掘り下げるほうが最終的に実になると思います。

特に、科捜研職員が直面する様々な事件事故は、いわゆる普通の研究者が出会うものと全く異なります。世の中のいろんな事件事故には何がどう絡んでくるかわかりません。
ドラマ科捜研の女でも楽器を使った事件があったりしましたが、現実は小説よりも奇なり、あなたの趣味も思いがけないところから役に立ったりするものです。

視野を広くして、いろんな経験をすることが、科捜研職員に限らず、将来を豊かにしてくれることでしょう。

まとめ

科捜研職員へのルートはいろいろあるので、第二志望の就きたい仕事を考慮して進路を決めてください。

また、もし大学に進んでから「あっちの学科が良かった」と気付いたら、大学院に進む際に、他の大学や研究室を目指すことも可能です。

進路だけでなく、趣味も勉強も、視野を広げて幅広い分野に挑戦してください。

科捜研への道は、意外とひらけているものです。


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科捜研情報noteの記事一覧
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余談:
この記事で全ての具体的な進路相談に答えられているとは思いませんが、少しでも何か考えるときの目印になるといいなと思います。

個別に具体的な進路相談に乗ろうと思うと、興味のある事項の聞き取り含めてなかなか大変なことになりそうなので、今のところ難しいかな、と思います。
また、もしやるとしたら有料の電話相談やメール相談等になるかと思いますが、あまり本格的にやるには時間との兼ね合いもあり、加えて学生と有料サービスの親和性が高くないため、どの程度の相談が必要で、その価格設定をどうするのか、全くよめません。

どうしてもという方は、とりあえずTwitterのDMでご相談ください。

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