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築地を見捨て、新しく足立市場がブーム!

 都内1万店を越える飲食店をはじめとする首都東京の「食の玄関」、築地市場。ついに今年11月に豊洲に移転。大掛かりな移転も目前になった。しかし、観光客目当てのテナント棟を作ろうとするなど外国人観光客が集まるから、という理由で金儲けのために移転を推進した。もちろん銀座に近い築地の跡地狙いも含めてである。

 しかし、外国人観光客が何のために市場を見に行くかがまったくわかってない。私も旅行に出れば各国のマーケットを必ず見に行く。それは地元の人がどんな生活をするかを知りたいから行くのであって、観光地を見たいわけではないのだ。

 現状では、都はイベント会場の設営と同じと考えているようだ。四角く区切られた各店の配置を行うだけでバックヤードはほとんどなし。そのうえ移転費用も業者任せ。戦後、築地の歴史を作ってきた仲卸業者をどんどん廃業に追い込んでいる。そして業者が作りこんだ露悪な観光客目当ての建物を作るのだ。しかも交通不便な豊洲に。以前からあった「移転することで江戸前文化が失われる」という声もますます高まってきた。

 東京都によれば、築地市場は移転の対象だが、築地のまわりにある場外の商店街は都の管理下にはないので移転の対象でないとしている。よって自然発生的にできた築地の場外商店街はそのまま築地に残される。観光客が築地にマグロのセリだけを移転後の豊洲に見に行く可能性はあるかもしれない。魚を見て買いその日のネタを仕入れに来る調理人も、不便な豊洲に来るとは限らない。築地市場があったからこそ、場外で賑わった寿司屋も時間の経過に連れて減っていくだろう。仲卸同士の江戸人情も、管理されるようになるとなくなると仲買人たちは嘆く。

 外国人観光客の「マーケットが見たい」という欲求をまったく理解していないお役人たちは、清潔で面白みのない場所を観光客に提供する。50年かけた築地の歴史がこれでパーである。

 移転の話を聞いてから、都心から行きやすい大田市場が人気になるのでは、と思っていた。あにはからんや、自動的に目をつけられたのは鮮魚の市場の足立市場だった。大型市場ではないが「マーケットを見たい」欲求には十分応えている。猥雑でごちゃごちゃしたままなのもいい。結局、観光客だって面白いほうを選ぶのだ。東京都が豊洲に客が来るように業者を抱き込んだりするだろう。でもお客だって馬鹿じゃない。面白い方に人は流れる。今年で見納め、さようなら築地。

 

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