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第二の人生53

高速を下りて、山間の道に近づくにつれて、道端に積雪が見て取れる。遠くに見える山々は真っ白な雪景色となっている。
紗奈美は、このような山深い場所、ましてや雪がこんなに積もっている所に今まで来たことがなかったようで、とても嬉しそうに興味津々といっ感じだ。

事前情報で積雪があることは、知っていたので、スタットレスタイヤを履かせているから問題はないが、4WDの軽自バンとはワケが違うので、そこは注意して走行しなければならない。
路面が少しずつ白くなってきた。
涼は、念のためチェーンも持って来ているけれど、めんどくさいから、あんまり深くなってくれなければいいけどなぁと呟く。

どういうことですか?と紗奈美。

うん、今、履かせているタイヤは雪道ようのスタッドレスタイトなんだけど…雪道でも滑りにくいタイヤね。それでもやっぱり滑るのよ。特に積もっている雪の下が凍ってて、アイスバーンになっているとね…そうなったらスタッドレスでも走るのが厳しいから、チェーンって言って、タイヤの上から鉄の鎖状の網になっているヤツなんだけど、それをタイヤに装着して走るんだよ。
それだとアイスバーンでも、滑らずに走行できるから…。

そうなんですね、こんな雪道を走る車に乗ったことないので、初体験です!
紗奈美は、ちょっと興奮気味だ(笑)

涼は、慎重にタイヤから伝わってくる路面の感触を確認しながら、エンジンブレーキを効かせつつ、走行する。

途中、雪道にハマり込んで、脱出を諦めたのか、誰も乗っていない車が放置されてあったり、スリップして動けない車が立ち往生していたり…。
それは、数人で後ろから押して脱出できそうだったので、スルーしたが、その先にまた立ち往生してた車があって、それは女子の2人組で、チェーンを前にして途方に暮れている様子だったので、その車の前に、涼は車を止めて、ちょっと手伝って来るから、紗奈美は車に乗ってていいよと言って車外へ出て行った。
紗奈美も、そういうわけにはいかないと思って車を降りる。

チェーンが付けられませんか?と涼が声をかけると、女子2人は、ハイ💦どうすればいいのか、全くわからなくて…。
もう少し手前の積雪の少ないところにチェーン装着場があったから、あそこで付ければ良かったですね。と涼が言うと、ハイ…考えか甘かったです。と素直な反応が返ってくる。

とは言え、ここまで来てしまったものは、仕方ないので、涼は、車の車種から見て…。

この車は、前輪をエンジンで回転させて進む車ですから、前輪にチェーンを装着しなきゃならないんです。と言って、車の前方にチェーンを広げて置いて、運転席に乗ってもいいですか?と許可をもらって、オートマのローにギアを入れてゆっくりと前進させて、チェーンの上に前輪をのせると、一旦車を停車させて、車から下りて、タイヤの前にしゃがみ込み、チェーンをタイヤに巻き付けて、フックを引っ掛けて装着していく、その様子を女子2人組みと紗奈美が、ものも言わずに眺めている。
紗奈美は、もうその姿を見ただけで、改めて涼さん、すごい!となって尊敬の眼差しを向けていた。
と言うか、2人組の女子…恐らくまだ20代前半、女子大生ぐらいか…も、またこの人、ヤバいって言う目で見つめている。

涼は、左右両方ともチェーンを装着すると、これで大丈夫だと思うよ。
雪道は、ドライブじゃなくて、スタートする時は、ローにしてゆっくりアクセルを踏んで発進させて、スピードが10キロを超えるあたりでセカンドに上げて、そのまま20キロぐらい、焦らずにゆっくり走行すれば大丈夫。急ブレーキはかけちゃダメだから、スピードを落とす時は、アクセルから足を外して、自然とスピードを落とすこと、で、最後にジワッとゆっくりブレーキを踏むようにしてね。
と運転上の注意もして、じゃ🖐️と言って車に戻る。
女子2人組から、ものすごく感謝され、何度も頭を下げられ、連絡先まで聞かれてたが、気にしなくていいよと言って、困った時はお互い様ってヤツだから(笑)
と言って、その場を後にした。

紗奈美と車に乗り込み、再出発する。涼さん…凄すぎです。と紗奈美。
涼は、笑って、まぁそこは経験直があるから(笑)
それはそうかもしれませんが、手際が…テキパキと…素敵でした…って言うか、手が冷たかったでしょ?
うん、キンキンだ💧
手を握って温めてあげたいけど.…。
(笑)うん、そうしてもらいたいけど、雪道の片手運転は、危ないから…向こうに着いたら、手だけじゃなくて、全身温めてもらうよと涼が冗談っぽく言うと、紗奈美は、ハイ!必ず!と本気で返事してきたのが涼は面白くて笑った。

紗奈美は…でも、さっきの女の子達…完全にあなたを見つめている目が♡マークになっていました。

エェェェェッ⁉️んなことないだろ?まだ若かったよ。多分20代前半だろ?あんな若い子達が、こんな40代半ばのオッさんをそんな目で見ねーよ(苦笑)

そんなことありません。あんな場面に遭遇して、あなたのような方にあんな風に助けられたら、誰だって、イチコロです❗️

笑…イチコロって単語、久々に聞いたよ(笑)

やっぱり涼さんは、市役所でも女子から大変人気があるんでしょうね⤵︎

いやぁぁ…まぁ確かに離婚してから、何度かお付き合いしてくださいって言われたことあるけど、それほどじゃないと思うけどな…。

他の人に涼さんを奪われないように、私もまだまだ女を磨きますから❗️と紗奈美は、拳を握る仕草をした(笑)

それは俺の方だよ💧と涼は、真剣に思った。

その頃…先程、チェーンを装着してあげた女子達は…紗奈美の予想通り…車内でキャー♡キャー♡となっていた。

ヤバい…めっちゃヤバかった!
カッコよかったよねー。
あれこそ理想の上司!
イャ…あたし、全然彼氏でイケる❗️
イケる!イケる!
お金も持ってそう!
ってか、側にいた人、アレ彼女さんでしょ❗️
夫婦じゃない?アレもヤバかった。
めっちゃ綺麗だったね。
色気ハンパなかった。
あの彼女さんがいなかったら、もっとグイグイ行ったんだけどなぁ。
うん、女がめちゃブサイクだったら、もっと行ってた(爆笑)
はぁ…惚れたわ!
ねー…いいなぁ彼女さん…あやかりたいわ。
中々、あんなにデキる男いないよ。
と…盛り上がっていた。(笑)



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