煙草の時間
オイルの匂いを感じながら、口先に灯りを持っていく。
肺に息を入れ、そして吐く。
約10分
至福の時間の幕が上がる。
私は煙草の味やその中毒性よりなにより、「時間」が好きだ。
一人の時は物思いに耽て、一緒に吸う人がいればその時間を共有する。
視界を埋める煙と、その先にいる微笑む友達。
仕事の愚痴でも、誰かへの恋慕でも、何の中身のない話でも、煙と一緒に吐き出して、心地よい時間につながる。
そして時に、削られる寿命を感じながら、その味を噛み締める。
この文章を書きあげるまで、10分。
私は灰皿に煙草を押し潰し、そして煙を吐く。
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