マガジンのカバー画像

傘と包帯 第八集

32
詩を書いてもらいました。目次からどうぞ。
運営しているクリエイター

#朗読

ズブロッカ / 末埼鳩

ズブロッカ飲みたいなあとか思う きみのちっちゃい冷蔵庫のさらにちっちゃい冷凍庫に突っ込んで バイソンのラベルに霜がつく 真夏に飲みきらず忘れていた甘い匂いの40度 とろとろが舌の上で気化してく ヘッドホンの轟音で耳を塞ぎ 悪い女と痛い女の境界線をふらふら歩く 私は一体何なんだ わざと鼻にかけた声で歌いながら 可愛いきみが黒いでっかいワニに食われるのを眺める ズブロッカ飲みたいなあとか思う 夏になると臭くなるきみの部屋でさ 清潔で整然とした肌寒い場所で思う 思うことは自由だろ だからきみも私にたらふく酒を飲ませたのちワニにでも食わしちまえばいい 思うことは自由 きみがどこにいても 私がここにいても 思うことは自由 思うことは自由