イノベーション及び競争法(続報)(ヘリテージ財団の記事)

 ヘリテージ財団の2021年5月19日の記事で中国とのイノベーション競争に関する法案について取り扱っていたが、その続編記事が5月26日に公開された。いくつかの改正がなされたようであるが、あまり改善されておらず、むしろ悪くなっているようだ。ついては、その概要について紹介させていただく。

↓リンク先(The Competition and Innovation Act Is Bad Enough. Don’t Make It Worse)https://www.heritage.org/budget-and-spending/commentary/the-competition-and-innovation-act-bad-enough-dont-make-it-worse

1.本記事の内容について
 ・今回の「中国法案」では、既存の政府の取り組みと重複するような産業への多額の予算が計上されているだけでなく、最低賃金の基準適用拡大など、中国とは関係がないものが入っており、欠点が多い。そこで今回は上院で400もの修正があったが、法案がより悪化するような内容も含まれている。
 ・アメリカの海外投資委員会委員へ農務長官を含めるよう修正したが、これは手続きを複雑化させるのみで、問題がある場合のみ助言を受けるだけで十分である。
 ・運輸省による航空機の代替燃料への補助金に、10億ドル加算されることとなった。これは環境政策であるが、オバマ政権の政策の再来であり、かえってコストがかかることになる。これは縁故主義を強化するのみである。
 ・DARPAの予算が2倍の75億ドルになったが、DARPAが追加予算を使いきれるかどうかは不透明である。
 ・「全米工場ネットワーク」というNPOを設立するよう修正されたが、これは全ての選挙区に工場を設立することを目的としたものである。
 ・肉の生産国明記を義務化するWTOの2015稔夫決定に対する報告書を求めることになったが、現時点では不必要であり、自由貿易を更に毀損するものである。
 ・中国共産党と関係のある組織への退職金投資の全面的な禁止がなされることになった。しかしながら、制限の対象となる以外の企業まで投資禁止するというのは不必要な措置であり、政治化してはならない。


2.本記事読後の感想
  400もの修正を加えたにも関わらず、あまり前進していないというのは、どこか利権調整の雰囲気がある。利権が多少なりともあるのは仕方がないものの、アメリカ政治の腐敗(特に左派の)を垣間見た気がする。
最近バイデン大統領が、コロナウィルスの出所を調査するよう指示を出したとかいうニュースが出ていたが、どこまで本気なのかが分からない。ノルドストリーム2の例もあることから、わけのわからない国益の観点から中国と手を握るという悪夢のシナリオはご勘弁願いたいものだ。
日本はと言うと、国会は相変わらずくだらない質疑に終始しており、戦略的な法案など何も出てこない。選挙イヤーで思い切ったことができないのは仕方がないにしても、NSCぐらいは気を吐いてほしいものである。

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