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グリーン金融による抑圧(CFACTの記事)

写真出展:Gerd AltmannによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/geralt-9301/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=447209

 2021年11月9日にCFACTは、二酸化炭素排出削減やクリーンエネルギーの推進に関する金融政策についての記事を発表した。内容は、グラスゴー実質排出ゼロ金融アライアンスや各国中央銀行が進めようとしているグリーン金融(気候変動対策の基金)が、経済に損失を与えるとして批判するものである。COP26の脱炭素協定を巡り自動車産業などへの影響が注目されているが、金融がもたらす経済全体への影響についてはほとんど論じられていないことから、参考として本記事の概要について紹介させていただく。

↓リンク先(COP 26: Net Zero and Green financial repression)
https://www.cfact.org/2021/11/09/cop-26-net-zero-and-green-financial-repression/

1.本記事の内容について
 ・COP26における講演において、イギリスのスナック財務大臣は金融システム全体を実質排出ゼロに向けて再構築すると述べた。IPCCの試算では2050年に実質排出ゼロを達成するために、温室効果ガス1トン当たり1万4300ドルを課する必要があるとしているが、政府はこのような痛みを伴う政策よりも、金融政策による負担の軽い政策を志向することを選択する傾向にある。
 ・アメリカのFRB及び証券取引委員会は、気候変動に伴う金融リスクに対処するため、気候変動対策に取り組むと宣言しているが、これはグリーン金融を推進するための目くらましである。グラスゴー実質排出ゼロ金融アライアンスに加盟した金融機関は、130兆ドル相当の資産を保有しているが、これら機関が推進しようとしている金融商品は、投資家や預金者に利益を与えるようなものになっていない。
 ・前ECB総裁のカーニーやバンクオブアメリカのモイニーハンCEOは、金融商品のリスクや分別などについて語っていない。太陽光や風力による発電は断続的なものであるため、稼働していない間の電気を賄うための資金源は、政府からの補助金や世界銀行などの公債金融機関などによる支援によることになると見込まれる。時事実、COP26の会議中に風が弱まり、風力発電の出力が低下したことから、1メガワットアワー当たり6200ドルをかけて石炭発電所を動かさざるを得なくなった。
 ・エネルギー価格の上昇により、実質排出ゼロ金融は持続不可能になる。1987年の貯蓄及び借金の規制緩和により「社会的に価値のある」とされる住宅建築に資金が振り向けられた結果、放漫経営により本事業が破綻し、1240億ドルの公的資金投入により救済する事態になった。世界の金融システムを実質排出ゼロに組み込んでしまうと、2008年のリーマンショックのような事態を引き起こす可能性がある。FTSE100種総合株価指数の100企業の収益の62%は海外企業からのものであり、炭素税を課す事になれば、株価が下落し、企業が撤退することになるだろう。


2.本記事読後の感想
  環境政策推進派の意地汚い側面が良く分かる内容である。SDGsを冷徹に投資の機会であると考えているならいいのだが、これがファッションや政治思想として捉えているような人々には要注意である。また若年層ほどこういったものに弱いというかはまりやすいと言うか、何とも情けない限りである。マスメディアに染まりにくいとは言われつつもネットニュースやSNSニュースを安易に信じる傾向もあり、かえって情弱化が推進されている可能性すらある。
 残念ながら、こういったときに見習うべきは中国である。温室効果ガス排出削減目標を無視しつつ、太陽光発電、風力発電、電気自動車などに投資し欧米の市場を取り込んでいく、これが最善の立ち回りである。ヨーロッパはラップの販売禁止や電気自動車の推進などのルールメイキングを進めて先行者利益を得ようとしているが、実際にはエネルギー価格の高騰などにより自滅しつつある。こういった愚かな政策に付き合う必要はなく、表向き良い顔をしつついかにして実を取るかということが重要になる。
 ただ岸田政権や自民党の左派などの妨害でこういったしたたかな振る舞いは期待できそうにない。我々にできることは不当な政策に不支持を突き付け、政権の運営を変更してもらうことである。

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