見出し画像

COPの排出権取引(CFACTの記事)

写真出展:Armin SchreijägによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/as_appendorf-8225676/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=5971086

 CFACTは2021年9月15日に、COP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)の排出権取引に関する記事を発表した。内容は、排出権取引の仕組みのずさんさを批判するものである。COP26まで50日程度となっており、今後も環境に関するごまかしのニュースが出回ると考えられることから、事前の対策として本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Carbon trading crunch time at COP26)
https://www.cfact.org/2021/09/15/carbon-trading-crunch-time-at-cop26/

1.本記事の内容について
 ・COP26の焦点の一つに、排出権取引がある。パリ協定のルールブックの一環としてCOP24で採用される予定だったが、果たせず、COP25でも失敗したが、これは原理主義派が抵抗したためである。
 ・排出権取引が気候変動論者にとっても重要な理由は、航空機と船舶を電気化できないためである。短距離用の航空機は存在するものの、極めて小規模なものでしかなく、現在のものを代替することができるレベルにはなっていない。船舶は原子力を活用することも可能であるが、原子主義者が毛嫌いしており、こちらも代替が進むことはない。
 ・船舶及び航空機の排出した温室効果ガスは、出発国が排出したものとして計上される。経由国がある場合は、経由国から先の経路分を計上することになる。積み荷を積み替える場合の計算は明示されておらず、国籍も関係がないことから、排出ガスの計算そのものが不適切になっている。
 ・計算方法が複雑であることから、排出量の計算は非常に混乱したものになる。実質排出ゼロのためには、航空機と船舶が排出した温室効果ガスも相殺されなくてはならない。そこで、新しい計算方法が考案されるわけであるが、これは不正の温床になるだろう。
 ・この仕組みは、電力市場と比較するとどれだけいい加減なものかがわかる。電力は30分当たり±0.2%の精度で売買されているが、排出権取引は全く異なっている。例えば森林により排出権を購入したとすると、±100%の取引となる。熱帯雨林は温室効果ガスの吸収よりも排出が多いことから、-150%の取引になりえる。
 ・この制度は、これだけに留まらず、更に悪い所がある。売り手と買い手との間に、「監査人」が入り、取引される温室効果ガスの量を判定することとなっているが、排出量を不当に増加させることで、売り手も買い手も利益を得られる。売り手は排出権を多く販売することができ、買い手はより多く温室効果ガスを排出する権利を得ることになる。
 ・排出権取引は、商品先物取引と実質的に変わらない。合理的かつ正確に販売量や購入量を産出することができず、実際にない商品を売買することで、売り手と買い手の利益にもつながらないのである。航空機と船舶を維持するための苦肉の策ではあるが、このような仕組みは環境の改善に資することはない。

2.本記事読後の感想
  またしても、気候変動論者の不当性が明らかになる記事である。排出権取引は、好意的に見れば適切な妥協の産物、否定的に見れば欺瞞ということになる。温室効果ガス排出削減は途上国の取組にかかっており、ある程度こういった国々を取り込むためにアメを与えるのはやむを得ない。しかし不正の温床になっていることも確かであり、途上国に不当に資金が流れており、先進国が環境負荷を一方的に負担するということになっている。
  一度こういう仕組みを導入すると、なかなかやめられない。環境に優しい科学技術を生み出すまでの時間稼ぎができるという利益はあるものの、かえって負担が増加しているというのであれば、いつまでも乗っかり続けるべきではない。なぜか日本はこういったことに積極的であり、自ら損をしに行っている。今度の総裁選後の内閣発足により、現在の環境大臣はいなくなるだろうが、環境省の政策自体は何ら変わっていない。今後この悪い流れを断ち切るためにも、新しい内閣には科学に基づいた環境政策の推進を期待したい。  
 
 英文を読んでわからないという方は、メールにて解説情報をご提供させていただきます。なにぶん素人の理解ですので、一部ご期待に沿えないかもしれませんので、その場合はご容赦願います。当方から提供した情報については、以下の条件を守ったうえで、ご利用いただきますようよろしくお願いいたします。

(1) 営利目的で利用しないこと。
(2) 個人の学習などの目的の範囲で利用し、集団での学習などで配布しないこと。
(3) 一部であっても不特定多数の者が閲覧可能な場所で掲載・公開する場合には、出典を明示すること。(リンク先及び提供者のサイト名)
(4) 著作元から著作権侵害という指摘があった場合、削除すること。
(5) 当方から提供した情報を用いて行う一切の行為(情報を編集・加工等した情報を利用することを含む。)について何ら責任を負わない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?