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シャーマン国務副長官の中国訪問は静かな失敗(ヘリテージ財団の記事)

写真出展:Please Don't sell My Artwork AS ISによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/7089643-7089643/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=5102697

 ヘリテージ財団は2021年8月5日に、ャーマン国務副長官の中国訪問に関する記事を発表した。内容は、今回の中国訪問外交の稚拙さを批判するものである。様々な情報が交錯しているが、結局のところ何が目的だったのか、どのような成果があったのかがわかりにくいものとなっており、実態を知るうえで参考になると考えられることから、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Sherman’s China Visit Was a Quiet Disaster)
https://www.heritage.org/asia/commentary/shermans-china-visit-was-quiet-disaster

1.本記事の内容について
 ・シャーマン国務副長官のアジア諸国歴訪は、出発前から問題が発生していた。当初の発表では、韓国、日本、モンゴルを訪問する予定だったが、中国は含まれていなかったが実際には中国を含んでおり、バイデン大統領の同盟国や友好国との連携強化という目的が十分に果たされない内容になっていた。後になって中国が適切な当事者を会談に出席させなかったとして不満を述べたことから、この歴訪は中国との対話を重視していたようだ。
 ・シャーマン国務副長官は、楽玉成外交副部長との会談を望んでいたが、実際には謝峰外務次官が出てきた。中国はよくこの手の駆け引きをするものであり、王毅外交部長と引き合わせることを条件に、譲歩を引き出そうとした。結果として、誰と会談するかを交渉材料としてしまい、何を話し合うのかについて着目されなくなってしまった。アラスカでの会談も同じようなありさまだった。インド太平洋調整官のカート・キャンベルは、楊潔篪や王毅はインナーサークルにも入れない小物だとして侮っていたが、誰を出すのかの交渉に道を開く不適切な発言である。
 ・さらに悪いことに、国務省は中国との会談を望んでいるかのように見えてしまったということだ。アラスカの会談をどちらが要請したのかをバイデン政権は明らかにしていないが、シャーマン国務副長官の訪問を鑑みるに、これはアメリカ側からの養成だろう。中国はこのような状況を利用しないわけがなく、習近平の融和的な言葉遣いに騙されたに過ぎない。
 ・謝峰外務次官は、会談の際にアメリカを詰問し、2つの要求を突き付けた。一つはアメリカの敵対的行動を止めること、もう一つは中国が懸念している事項を改善することである。これらは公式に発表されていないが、報道によると中国共産党のビザ解除、中国企業や教育機関への制裁解除、ファーウェイはCFOの孟晩舟の引き渡し要求停止、学生ビザの再開などだったとされている。王毅外交部長も会談時にこの要求を繰り返した。
 ・国務省は階段それ自体を勝利とする傾向にあるが、これは中国に足元を見られる要因ともなっており、各分野での協力を認めたとしてまんまとプロパガンダに利用されている。
 無礼な発言を繰り返すのも計算の内であり、中国国民、アメリカの外交官、その他影響を受ける国々を考慮に入れたものである。シャーマン国務副長官が「中国が人権問題を理解し、行動を起こすことを期待する。」と言ったが、中国は会談後の記者会見で、アメリカが国内問題に口を出さないよう発言しており、中国のプロパガンダが広まったのみとなっている。
・バイデン政権の外交交渉は稚拙極まりないものである。例えば気候変動対策における中国との協調は、中国が石炭火力発電所の増設をしている現状を鑑みるに、アメリカの交渉の余地がほとんどないものである。民主党内でも中国対応について意見が割れており、その隙も突かれている。中国には融和する気などないことを理解し、適切な外交を展開しなくてはならない。

2.本記事読後の感想
  日本の中国外交もひどいが、アメリカも大概である。戦狼外交の演出にまんまとしてやられただけで、本来の同盟国との連携強化はそれほど効果がなかったようだ。オリンピックのボイコットについてもイギリスが目立っており、アメリカは共和党が積極的だが、民主党側が人権の観点からボイコットするという声がほとんど聞こえてこない。
 これでは足元を見られるのも当然であり、今後の対応も期待できない。国防総省の方はやや見解が異なるようであるが、アメリカの外交努力には期待しない方がいいだろう。
  日本では、安倍前総理、岸防衛大臣などだけが気を吐いている状態であり、このままでは非常に危うい。まずは台湾有事への対応をテコとしてアメリカ以外の国々に働きかけ、クアッドを動かしていくということが重要になるだろう。

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