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クアッド及び中国の重要技術評価(3)(ASPIの報告書)

本記事は、クアッド及び中国の重要技術評価(2)(ASPIの報告書)の続編である。前回までの記事は、以下のリンクを参照。

 ・太陽光発電は、太陽光セルにより太陽光を用いて発電するシステムを指す。太陽光セルは、シリコン及びテルル化カドミウムなどの半導体から構成されている。太陽光セルは、光電効果により光を電力に転換することができる。
  太陽光発電は、最も成熟した再生可能エネルギー源であり、理想的な条件下では最も安価な電力となっている。太陽光発電には2つの方式があり、1つは集光型太陽熱発電(CSP)、もう1つは光電効果により太陽光を直接電力に変換する太陽光発電である。CSPはエネルギー効率が高く、大規模に「送電することが可能」であり、バッテリーを活用することなく必要に応じてエネルギー産業の電力量を調整することができるが、現在の技術ではキロワット当たりのコストが高額となっている。
太陽光発電は低効率であり、継続的な太陽光が無ければ発電することはできないが、低コストであり2010年度比で85%も下落している。2021年には電力需要が145テラワットアワーに達すると見られている。
 
表2:太陽光発電に関する各国の政策

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 日本以外は、論文数が特許公開件数を上回っている。Covid-19に伴い、件数が下落しており、特に中国の太陽光発電関係特許で顕著である。

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 特許資産指標グラフは、特許の経済への影響力を示す。関連技術グラフは特許がその分野において付随する研究開発をどの程度支援しているのかを示す。

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 黄色の棒は、ポートフォリオサイズに基づいた特許の数量を示す。
赤色の棒は、個々の分野における国家の平均競争力(特許の経済力)を示す。
 中国は特許件数が多いが、比較的競争力が低い。このことは、平均的な特許の質が低く、史上影響力も小さいことを示している。

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 中国は特許発表までの期間が平均0.8年であるのに対し、クアッドは1.85年から2.06年となっている。このことは、中国が医術の商用化・生産化を重視していることを示している。またオーストラリアとインドは論文数が多いが、これは研究に注力している、もしくは、商用化がうまくできていないかのいずれかであることを示している。

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 オーストラリアは太陽光導入率が高く、研究成果の影響力もそれなりにあるが、国内の太陽光産業は立ち遅れており、製品は海外企業頼み(主に中国)となっている。

 中国の研究は経済的効果が相対的に大きいが、その質が低下し続けている。太陽光関係の補助金も段階的に廃止することが決定されており、今後の優位性に影響を与える可能性がある。

 インドは明確な戦略を持っており、国内の太陽光エネルギー産業も強力である。しかし政策目標の達成状況が順調であるか否かは不透明である。

 アメリカは戦略、イノベーション基盤、予算全てにおいて強みを発揮している。特許は少ないが、すでに確立した技術の研究が継続しているためと考えられる。

 日本は明確な戦略を持っており、政策目標が達成されつつある兆候が見られるものの、長期的な研究開発能力は十分とは言えない。

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