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インテリジェンスの現代化(CSISの記事)

 写真出展:PIRO4DによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/piro4d-2707530/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=3128213

 CSISは2021年8月6日に、技術を活用したインテリジェンスの改善に関する記事を発表した。内容は、OSINTや無人機などを活用したインテリジェンスの現代化について概観したものである。技術のインテリジェンスへの応用についてよくまとまった内容となっていることから、その概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Modernizing Intelligence, Reconnaissance, and Surveillance to ‘Find’ in the Era of Security Competition)
https://www.csis.org/analysis/modernizing-intelligence-reconnaissance-and-surveillance-find-era-security-competition

1.記事の内容について
  ・アメリカ及び同盟国は、中国、ロシア及びその他敵国との長期にわたる競争にさらされている。その競争は、地政学的な領域を超えた地域やサイバー空間などにまで拡大している。敵国は巧みに技術を活用して情報を隠蔽しており、民主主義国家はこれらの情報をいち早く発見できるようにしなくてはならない。このような状況においてOSINT(オープン・ソース・インテリジェンス)が重要であり、衛星画像、SNS、スマートフォンなどによるインターネット閲覧履歴などの活用が有効である。かつて、情報収集能力は国家が独占していたが、現在はますます民間部門が強力になってきており、OSINTの領域が拡大している。アメリカの統合インテリジェンスドクトリンで、資源不足がインテリジェンス計画策定に与える影響について強調されている現状において、OSINTの拡大は望ましいのである。
・情報収集の取り組みを最適化は、諜報活動等がいかに意義があり、適時に、正確な情報を政治家にもたらすのかを明確に示すことから始めるべきである。この過程において、採用する技術の理解が重要となる。この際、伝統的な資産だけでなく、最新のコンピューティングシステム、使い捨てのドローンなどを含めて評価するべきである。OSINTにより大量のデータ利用が適時に可能となり、非機密の自然なデータにより、政策決定の幅が拡大するのであり、こういった利益も考慮に入れるべきである。その他、伝統的インテリジェンス及びOSINTの効果的な融合も必要である。
  中でも、商用衛星画像は、OSINTの最たる例となっている。2021年7月に米国科学者連盟は衛星画像に基づいて、中国が核ミサイル基地を建設していることを報告したが、このような衛星画像は政府の発表する情報と同程度の世論形成効果があると分析されている。
 ・現在の情報収集は、処理、開拓、流布などの長い手順を踏んでおり、ここに最新のコンピューターシステムなどを配備する利益がある。特にクラウドシステムは幅広い作戦、特殊な環境に特化した作戦に応用することが可能である。具体的には都市クラウドに各種データを取り込み、敵国の活動の可能性を警告したり、公的記録や他の商用データの監視のような業務にも配備することが可能である。最もシステムとしては過大なものになる傾向があることから、スタンドアロンのシステムや航空機などのセンサーなどへの活用が望ましい。近年、国防総省はクラウド能力についての評価を進めており、先端戦場管理システム(ABMS)は、情報収集能力を強化すると期待されている。
・使い捨て可能なドローンの配備により、コストを削減しつつ、活動の幅を拡大することができる。競争が激化している空域、電磁戦争環境においては、ドローンの更新が頻繁に行われることが予想されており、安価で使い捨て可能なドローンの方が有益である。
・OSINT、最新コンピューティング、使い捨てドローンは、情報収集事業を補完するものとして組み込むことが望ましい。ただこのことは容易ではなく、現在の情報収集活動は、相互運用、通信帯域の制限、データ管理などの点において阻害されている。軍及びインテリジェンス業界が歩調を合わせ、情報収集体制を統合しつつ、現代化していく必要がある。米軍の海外での展開が制限されている現状において、技術の採用が不可欠であり、情報化時代の可能性及び課題を適切に評価し、現代化を推進するべきである。

2.記事読後の感想について
  技術は諸刃の剣であり、人を幸せにもするし、不幸にもする。民主主義国家はその活用について慎重かつ適切に取り組んでいるが、権威主義的国家は権力拡大に最大限利用しようとしている。民主主義の建前だけでは国民の利益も守れなくなってきており、技術が監視などに使われることはやむを得ない制約になってくるだろう。
  このような動きに対して左翼は強硬に反対するだろうが、ただ反対するだけでなく冷静に議論することが必要である。国がどのようなデータを持つべきか、データをどのように取り扱うべきかについて国民的な議論を展開し、数年かけて徐々にインテリジェンスを現代化していくことが望ましいだろう。
 ではこの議論をどこから始めるのがいいのだろうか?私は転売ヤー排除などの小さな問題から始めたらどうかと思う。小さな問題でも生活に良い影響があれば、インテリジェンスの有用さが理解できるようになる。外交や安全保障と言うと遠い概念になりがちであり、

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