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アメリカのエネルギー海外依存と暖房価格高騰(CFACTの記事)

写真出展:MegLearnerによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/meglearner-66080/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=195296

 2021年10月15日にCFACTは、二酸化炭素の温室効果に関する新しい論文を紹介する記事を発表した。内容は、二酸化炭素、水蒸気及び他の気体の温室効果を比較し、二酸化炭素の温室効果ガスの低さを示し、国連のIPCC第6次評価報告書の不当性を批判するものである。先日太陽の活動が与える影響についての論文について紹介したが、今回は気体に着目した論文であり、またも二酸化炭素の温室効果に異議を唱えるものとなっている。今回はその論文の概要について紹介させていただく。

↓リンク先(Heating costs likely to soar, U.S. foreign energy dependence to increase)
https://www.cfact.org/2021/10/15/heating-costs-likely-to-soar-u-s-foreign-energy-dependence-to-increase/

1.本記事の内容について
 ・アメリカでは昨年8月からの1年間で、電気料金が5.2%、ガス料金が21.1%上昇しており、エネルギー価格の高騰に苦しめられている。エネルギー価格はインフレに直結しており、一部のアナリストはアメリカの生産性が上昇せず、エネルギー需要が低下しなければ、アメリカのガス価格が2倍になると試算している。
 ・フラッキングにより安価で大量に生産された天然ガスは、もはや過去の遺物になっている。2月のテキサスの寒波による天然ガスの需要急増、6月の西部における干ばつによる水力の激減などによりエアコンの電力を賄うためのガスが急増し、8月のハリケーンアイダによりメキシコ湾岸のガス供給設備が停止し、ガスの生産が急落した。
 ・コロナウィルス対策に伴い原油需要や生産は激減したものの、ガスの生産も減少することになった。不思議なことに、2014年よりもガス田が3倍多くあったにも関わらずガス価格は高騰した。現在年初来2倍になっているが、供給不足と需要増大により、冬季にはより高騰することが見込まれる。本来はガスの備蓄が必要であるが、エネルギー情報局の試算によると、昨年よりも16.5%も備蓄が少なくなっている。
石炭の備蓄は6100万トンあまりも不足しており、1997年以来の低水準となっている。
 ・今年の冬が厳冬にならなくても、ガス価格が記録的に高騰する可能性がある。ガスは暖房だけでなく、プラスチック、金属、肥料などの生産にも用いられており、代替するエネルギーはほとんどない。エネルギー情報局によると、世界のエネルギーの81%が化石燃料であり、パリ協定が完全に履行されたとしても、2040年において73%を占めるとしている。
 ・再生可能エネルギーは、全体の発電量の19%しか占めておらず、風力と太陽光はたった3%であり、全ての発電を再生可能エネルギーに転換したとしても、化石燃料への依存は変わることはない。ヨーロッパ、中国及びアジア地域における化石燃料の需要急増に伴い原油価格が上昇しており、ゴールドマンサックスの試算によると、年末には1バレル当たり90ドルになるとされている。OPECやロシアが原油を増産しているにも関わらず、ハリケーンアイダの影響でメキシコ湾岸の原油生産が20%低下したことから、アメリカ全体の原油生産はパンデミック前と比較して15%下落しており、これも原油価格を高騰させる要因となっている。
 ・バイデン政権及び民主党リベラル派の反化石燃料政策も、原油価格高騰に拍車をかけている。キーストーンパイプラインや北極圏での原油生産停止、ロシアのノルドストリーム2の黙認などにより、アメリカの石油産業を苦境に陥らせている。バイデン大統領は無様にもOPECに原油価格の値下げを懇願しているが、失敗に終わっている。原油価格の高騰は、今後輸送や食糧供給などの高騰を招くことになり、低所得者が大打撃を受けることになるだろう。
 ・油田開発の承認件数も大幅に下落しており、4月は671件だったが、8月は171件となっている。民主党が推進している3.5兆ドル予算案には、天然ガスと石油に対する増税が含まれており、アメリカ経済に90億ドルの損失をもたらし、9万人が失業する可能性がある。
 ・バイデン政権の政策は敵国を利するものであり、ロシア、イラン、中国などのガス生産国を増長させてしまうだろう。またアメリカは、厳冬及び酷暑により更なる苦境に陥るだろう。
 
2.本記事読後の感想
  最近の原油価格の上昇は、世界経済にとって大きな懸念事項である。WTIはここ5年で最高値に達しており、日本でも10月からガスなどの価格が大幅に値上げされることになった。化石燃料の価格高騰は、電気量や日用品の価格上昇に直結するものであり、低所得者層の生活に打撃を与えることになる。
  今年の冬が厳冬でなかったとしても、電気料金の高騰は避けられない状況であり、結果として日本のモノづくりにも打撃となる。いかに安価にエネルギーを確保するのかが重要であるが、エネルギーの純輸入国である日本には選択肢はほとんどない。日本にできることは、原子力発電所の稼働であるが、果たして岸田政権にそれを判断できるのだろうか。

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