見出し画像

水素エネルギーは、再生可能エネルギーの限界を証明するか?(CFACTの記事)

写真出展:RomanによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/akitada31-172067/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=6155495

 2023年10月26日にCFACTは、アメリカの水素エネルギー事業の現状等に関する記事を発表した。内容は、グリーン水素エネルギーを巡る補助金や科学的な側面に着目し、実用化の非現実性を示すものである。
 水素は日本にとって最も必要とされると考えられるエネルギー源であるが、実用化までも道のりは遠く、長期にわたって取り組むべき事業である。それだけに現実的な科学政策が必要なのであるが、グリーン水素などと言う美名の下に安易に再生可能エネルギーの道へまい進すると危険である。今後のエネルギー政策を考える参考として、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Hydrogen – Will this Green dream prove an expensive nightmare?)
https://www.cfact.org/2023/10/26/hydrogen-will-this-green-dream-prove-an-expensive-nightmare/

1.本記事の内容について
 ・ホワイトハウスは、7つの水素事業に70億ドルを拠出することとした。これは民間投資の6倍もの規模であるが、官民投資額が50対50になるよう要求しており、この予算が全額活用される見込みはないと思われる。これだけでなく、水素を巡るコストについても普及の障害になる。例えば水を電気分解して水素を発生させるグリーン水素は、水蒸気改質よりも5倍から7倍のコストを要することから、現状において経済的に成立させることは困難である。
 ・水素のインフラに対しては多額の公的資金投入が必要な状況であり、33兆ドルアメリカ政府の負債に更なる負担がのしかかる。今年は利払いが国防予算を超過するという異常事態となっており、再生可能エネルギーへのこれ以上の投資が持続可能であるかは疑問である。
 ・再生可能エネルギーを推進する人々は、自己完結的な風力発電所や太陽光発電所を構築できるという幻想にとらわれている。しかしながら、再生可能エネルギー発電量は目標の70%程度しか達成しておらず、風が吹かない、日射量が十分ではない日は別の電力源が必要であるという現実は変わらない。
 ・水素は他のエネルギー源とは異なり、バッテリーとしての性格を持っており、適切に管理しなければ、ヒンデンブルク号の飛行船事故のように、爆発などの事故が発生する可能性がある。また水素の生産には13倍の分子量相当の水が必要であり、冷却には40倍の水が必要となることから、水不足に苦しめられている地域には適したエネルギー源とはなりえず、海水を淡水化するとなればそのコストは法外なものとなる。
 ・水素を電力化する際、一度水は2000℃にまで沸騰させてから、0℃近くまで冷却する必要がある。その後1万psi(ポンド・スクエア・インチ)まで圧縮する必要があるが、これはスキューバダイビングに利用するタンクの3倍の圧力である。これだけでも相当のエネルギーを必要とすることとなり、最終的には生成された水素エネルギーの40%から60%の外部エネルギーを必要とすることから、著しく非効率である。水素事業関係のロビイストは、議会を使って95億ドルを引き出し、更には1000億ドルもの補助金も得た。かつてオバマ政権が太陽光発電事業で失敗したように、水素事業も補助金が継続する限り惰性で生き延び、そして破綻を迎えるだろう。

2.本記事読後の感想
 水素は元となる燃料を必要としないという点で、資源がない日本にとっては大きく期待できるエネルギー源である。ただ水素脆化という金属劣化現象は科学的に解明されておらず、克服する技術も開発されていないことから、実用化への道のりは遠いと考えておくべきである。
日本は水素技術で世界の先端を走っているが、実用化のために必要とされる障壁は大きく、あくまでも理論上の優位性にとどまっている。実証実験のために政府が大きく支援するべきなのだろうが、増税を目論む岸田政権には到底できない芸当だろう。せっかくの技術開発を活かすためには、適切な支援が必要であるが、残念ながら日本に明るい話はない。

 英文を読んでわからないという方は、メールにて解説情報をご提供させていただきます。なにぶん素人の理解ですので、一部ご期待に沿えないかもしれませんので、その場合はご容赦願います。当方から提供した情報については、以下の条件を守ったうえで、ご利用いただきますようよろしくお願いいたします。

(1) 営利目的で利用しないこと。
(2) 個人の学習などの目的の範囲で利用し、集団での学習などで配布しないこと。
(3) 一部であっても不特定多数の者が閲覧可能な場所で掲載・公開する場合には、出典を明示すること。(リンク先及び提供者のサイト名)
(4) 著作元から著作権侵害という指摘があった場合、削除すること。
(5) 当方から提供した情報を用いて行う一切の行為(情報を編集・加工等した情報を利用することを含む。)について何ら責任を負わない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?