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下院民主党の3.5兆ドル予算について(ヘリテージ財団の記事)

写真出展:Gerd AltmannによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/geralt-9301/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=1935750

 ヘリテージ財団は2021年9月24日に、下院民主党の3.5兆ドルの大型予算法案に関する記事を発表した。内容は、本予算が移民政策やエネルギー政策などを含む超包括的な予算となっており、経済に多大な損失を与えることになるとして批判するものである。今年度は大型予算が多数成立しているが、この法案も他のものと同じく左翼政策が多数盛り込まれる見込みとなっており、今後のアメリカの政策や経済の方向性をよく示していることから、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(4 Ways to Understand Democrats’ $3.5 Trillion Spending Bill)
https://www.heritage.org/budget-and-spending/commentary/4-ways-understand-democrats-35-trillion-spending-bill

1.本記事の内容について
 ・ここ数週間で、下院民主党は3.5兆円の大型予算案の一部を明らかにしていた。一部の問題が特出しで論じられているが、本法案には福祉、移民、税金、エネルギー、家族政策などあらゆるものが含まれており、理解しがたい内容となっている。ただ、これは極左的な政策が盛り込まれたとんでもない法案であり、一部の民主党議員ですら反対している。概要については、以下の通りである。

  ① 1世帯当たり2万7000ドルの増税
   国勢調査局の2020年度データによると、アメリカには1億2850万世帯があり、3.5兆ドルを1世帯当たりに割り当てると、2万7000ドルとなる。表1に示すように一般的な支出と比較してもかなりの高額である。

3.5兆ドルデータ1

 民主党は高所得者層に課税するとしており、低所得者への負担にはならないと主張しているが、そもそも経済について全く理解していないと言える。増税により民間投資が抑制されれば、経済は縮小してしまう。また、ビジネス環境を悪化させることにもなり、世界の競合企業と比較して不利になってしまう。対して、2017年の減税・雇用創出法案は、賃金上昇や失業率現象に大きく貢献したのである。
 また財政赤字拡大の懸念もあり、2800兆ドルもの既存の財政赤字に1兆ドルから2兆ドルの赤字が追加されることになり、1世帯当たりの借金は21万9000ドルになる。

  ② 信じがたいほどの無駄遣い
   3.5兆ドルを支出するということは、1秒当たり1000ドル支出すると仮定すると、111年を要することになる。1万1000ドルなら10年に短縮できるが、これで何を購入するつもりなのだろうか。環境活動家や新しい福祉への支出は企業活動にとってマイナスであり、1970年代のインフレ上昇のような危険性もはらんでいる。
   また時期も悪く、7月31日で失効となる債務上限について審議している最中であり、新しい債務上限を簡単に超過してしまうことが予想される。民主党への妥協は、小さな政府を標榜する共和党の姿勢とも相反している。

  ③ 史上最大級の予算
   表2に示す通り、過去の大規模予算案と比較しても、今回の3.5兆ドル予算は破格である。

3.5兆ドルデータ2

④ 2400ページ以上の浩瀚な法案
 現在、下院民主党が提示している予算案は優に2400ページを超える法案となっており、最終版まで更に条文などが追加される見込みである。民主党の中道系議員は、検証に最低72時間を要するとしており、採決前の十分な時間確保を求めている。しかし、条文や法律用語の集合体である法案の確認は容易な作業ではなく、これでも不十分過ぎるぐらいである。
 本法案はつまるところ、冗長であり、高額であり、経済に多大な打撃を与えるだけのものである。議会がするべきことは、支出を抑制し、成長を維持する税制を整備し、既存の財政支援を持続可能なものに改正することである。
 

2.本記事読後の感想
  この記事は、8月に紹介した1.1兆ドルインフラ予算のバーターとして提案されたものである。前回の記事は、以下のリンクを参照。

  インフラ予算の成立はアフガニスタン情勢などの政局で遅れているようであるが、こちらの予算もまた凶悪な内容になりそうである。全貌が明らかにはなっていないが、今後もこの予算案のニュースは追跡していきたいと思っている。
  最近はバイデンの痴呆症ネタがメディアで出てくるなど、政権の行方そのものが怪しくなっている。ハリス副大統領に交代する可能性も出てきており、極左的な傾向がさらに強まる可能性が高くなる。先に紹介した大増税法案と相まって、アメリカ経済は没落していくことは避けられないように思われる。来年に控えたアメリカ中間選挙で共和党が復権してくれることを望むばかりである。 

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