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バイデン政権がノルドストリーム2を容認(ヘリテージ財団の記事)

写真出展:Jim BlackによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/jdblack-7956575/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=4691574

 ヘリテージ財団の2021年5月25日の記事で、バイデン政権がロシアのパイプライン建設を容認した件について取り扱っていた。キーストーンパイプラインの大統領令による停止とノルドストリーム2の承認を比較して、ダブルスタンダードを批判したものである。今後のバイセン政権の安全保障政策の方向性にも影響があり得るため、一部を紹介させていただく。

↓リンク先(Biden’s Hypocrisy on Keystone XL vs. Nord Stream 2 Pipelines)https://www.heritage.org/energy-economics/commentary/bidens-hypocrisy-keystone-xl-vs-nord-stream-2-pipelines

1.本記事の内容について
 ・バイデン大統領は、ロシアのガスプロムが進めているノルドストリーム2の建設への制裁を「国益の観点から」解除した。国務省の説明では、ヨーロッパのエネルギー安全保障の観点から賛成するとしているが、エネルギーを不安定化させる場合は、建設に反対すると留保している。
 ・ノルドストリーム2に賛成しているのは、ドイツ、オランダ、オーストリアである。ロシアはすでに、EU全体の45%の天然ガス輸出を賄っている。これ以上のガス供給はロシアの市場寡占を加速させ、エネルギーを使ったEU分断政策の手段としても利用される恐れがある。
 ・キーストーンパイプラインの停止により、カナダ及び21の州が政権を訴える事態となった。ただ、大統領令の対象外となる南部の州では5,000名の雇用を創出しており、オクラホマやテキサスでは570億ドルの経済効果となっている。
 ・アメリカ国内では、240万マイルものパイプラインが走っており、キーストーンパイプラインの事業を停止しても、排出削減の効果は微々たるもので、環境には効果がない。また、最近のコロニアルパイプラインへのハッキングで生じた混乱を考慮すると、この大統領令は全く誤っている。

2.本記事読後の感想
  ロシアを最大の脅威としているにも関わらず、肝心なところで腰砕けになっていると思うのは私だけではないだろう。ノルドストリーム2の建設は前々から懸念されていたことであるが、ついに制裁を解除してしまった。
  バイデン大統領の言う「国益」とは一体何なのだろうか。国務省の文書も単に国益とヨーロッパのエネルギー安全保障を主な理由として述べているが、詳しい理由が記載されていない。制裁を加除した割には反対を表明している箇所もあり、全体として良く分からない玉虫色の表現になっている。とにかく、今後の推移を見守るしかない。
  ただこの対応は、今後の二酸化炭素排出量削減計画にもいろいろと影響が出る。ヨーロッパは独自のグリーンニューディールで削減目標を定めているが、液化天然ガスを代替エネルギーの選択肢にひそかに入れている。石炭を減らして液化天然ガスを増やすことで、いつの間にか排出量を減らすことができてしまうわけで、相対的に日本が不利になってしまう可能性が高い。
  今回の措置は対岸の火事ではなく、安全保障、エネルギー政策、環境政策全般にも影響が出てくると認識する必要がある。

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