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イギリス政府は違法金融対策戦略を早急に策定せよ(RUSIの記事)

写真出展:PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/publicdomainpictures-14/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=163497

 英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)が2021年7月21日に、イギリス政府のマネーロンダリング防止政策に関する記事を発表した。内容としては、マネーロンダリングを含めた違法な金融活動に対し、イギリス政府の明確な戦略が欠けていることについて批判的に論じたものとなっている。今後の金融政策の参考になると考えられることから、本記事の概要についてご紹介させていただく。

↓リンク先(A Muddled Mosaic: The UK Still Lacks a Coherent International Illicit Finance Strategy)
https://rusi.org/explore-our-research/publications/commentary/muddled-mosaic-uk-still-lacks-coherent-international-illicit-finance-strategy

1.RUSIの記事について
 ・経済犯罪プランの文章において、国際的な経済犯罪及び違法な金融活動への対処には、国内を強化する必要性を訴えている。更に1か所でも失敗すると、その他の分野の失敗にもつながることから、違法金融活動への取り組みは、最優先事項としている。
  その他、イギリス国内のマネーロンダリングが巨額であることから、公平で開かれた、法に基づいた経済圏としての評判が損なわれているとしており、大きな危機感を示している。
・しかし、国際戦略には、一貫性や明確なリーダーシップが欠けている。5つの行動原則にはマネーロンダリング対策として官民連携を謳っているが、国内外の違法金融活動の融合について十分に対処できる内容になっていない。そして、世界の違法金融対策については、2021年のG7会合にて協調した取り組み強化を推進するとしているが、イギリス政府の取り組みそのものには言及されていない。更に、全ての作業は「進行中」となっており、内閣でも外務大臣の人権や反腐敗の制裁における発言以外に明確なリーダーシップが取られているようには見えない。
・信頼ある国際戦略には、2つの柱が必要である。第一に、行動はイギリスの役割を強化するものでなくてはならない。政府の国際違法金融に関するアドバイザーのネットワークに投資し、大使館等の職員が違法金融対策に優先的に取り組まなくてはならない。その他、イギリスのインテリジェンス能力により、情報提供体制を強化する必要がある。
 第二に、多面的なリーダーシップが必要である。イギリスは複数の世界の金融犯罪監視団体(FATFなど)に所属しており、多額の資金を援助しているが、ODAや世界銀行などの支援と重複しており、資産回復などに予算を回し、効率化するべきである。更に信頼性を構築しなくてはならず、現実的な目標を立て、他国の支援や世界に影響を与える国内問題への対処に尽力するべきである。
2.本記事についての感想
7月〇日のマネーロンダリング対策の続編に相当する記事である。イギリスは金融センターのわりに、意外と制度が定まっていないという印象である。最も、ルールが厳しいと資金が集まらないというのもあるだろう。
イギリスは国内においては法人登録制度に不備があり、国際金融犯罪の取り組みについても他国の取り組みに大きく依存する部分があるなど、あまり頼りにならない。アメリカはスイフトで国際決済の流れを支配しており、最も頼りになるわけではあるが、中国のデジタル人民元や仮想通貨の流通などもあり、この体制は盤石とは言えない。
現在の状況を考えると、イギリスはデジタル化やサイバーセキュリティの強化を通じて対策に乗り出すべきであり、既存の法改正、公務員の増員やヒュミント中心の情報収集強化だけでは不十分である。
 この問題については、9月のG7防衛大臣会議でも取り上げられる予定とのことで、日本側の支援も期待したい所である。

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