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バイデン-プーチン会談について(ヘリテージ財団の記事)

 ヘリテージ財団は2021年6月16日に、バイデン-プーチン会談についての記事を発表した。内容としては、安易な合意をしてはならないと注意喚起するものである。会談の結果が出る前の段階の内容になっているが、今後の米露関係を示唆するものとなっており、日本にとっても大いに参考になると考えられることから、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Why Biden Shouldn’t Make Concessions to Putin on Missile Defense)https://www.heritage.org/defense/commentary/why-biden-shouldnt-make-concessions-putin-missile-defense

1.本記事の内容について
  ・米露首脳会談の前に、65名の安全保障の専門家が、バイデン大統領にミサイル防衛を交渉のテーブルに乗せるよう要望した。この理由は、アメリカのミサイル防衛が、ロシアや中国の攻撃的核兵器システムの開発を誘発しており、両国でミサイル防衛について合意すれば、兵器開発競争に歯止めをかけられるとするものである。
   ・しかし、この考え方は危険で誤ったものである。ロシアや中国の核の脅威に対抗するには、ミサイル防衛システムの抑止が必要である。従って、ミサイル防衛の制限に合意すれば、ロシアや中国だけでなく、北朝鮮やイランにも弱みを握られることになる。
   ・現在のアメリカのミサイル防衛システム(GMD)は、44基の弾道弾迎撃ミサイル基地しかなく、1500もの核弾頭及び数百もの陸海空にある射出基地を有するロシアに対しては少なすぎると言える水準である。しかも、デコイやペナイド(落下位置誘導システム)も備えており、単なるミサイル防衛だけではロシアの脅威とはならない。
   ・SM-3を活用するべきという意見もあるが、これは北朝鮮の脅威に対抗するためのものであり、ロバート・スーファー元国防次官補代理が6月9日の上院国防委員会で証言したように、ロシアや中国の複雑な仕組みを持つICBMを防衛することはできないのである。
   ・ロシアはプロパガンダなどの情報工作により、ミサイル防衛削減に関する合意を引き出そうと長い間努めてきた。歴史を見ても明らかであるが、1972年にABM条約を締結した後にロシアは10,000基もの核弾頭を増設しており、防衛を削減すれば、相手が軍備を増強するのである。従って、バイデン政権は安易に合意してはならない。


2.本記事読後の感想
  今回の会談は、思っていたほど敵対的ではなく、むしろ不気味なぐらい融和的だったのが印象的である。声明についても落ち着いたものになっており、両国がこれ以上の事態の悪化を望んでいないように見える。ブリンケン国務長官が随行している所を見ても、交渉はまとめたかったと言う所だろう。
  ただ大使の復帰、サイバー防衛に関する専門家レベルの協議体を設置することで合意するなど、一見平和裏に終了したように思われるが、バイデン政権が何も引き出せなかったという見方もできそうである。あれだけ敵視していたにも関わらず、ノルドストリーム2は容認し、戦略的安定対話を始めると発言してしまったことを見ると、ロシアの勝利というところだろう。
  今後、アメリカ議会から突き上げを食らうのは間違いない。こういった一貫しない外交を展開しているうちに、アメリカは徐々に弱体化していくだろう。日本は今一度アメリカを頼りにするのではなく、自国の防衛を確立するべきである。
 

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