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国際エネルギー機関の温室効果ガス排出ゼロ計画の非現実性について(CFACTの記事)

写真出展:Gerd AltmannによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/geralt-9301/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=2088735

 2023年6月29日にCFACTは、国際エネルギー機関(IEA)が発表した2050年における温室効果ガス排出ゼロ計画を批判する記事を発表した。内容は、IEAの計画における欠陥を指摘し、再生可能エネルギーへの移行が非現実的であることを明確にするものである。
 ESG投資の悲惨な現状については何度か取り上げてきており、巨額の損失を被ったことに伴い、その歩みは大きく後退しているが、それでもなお一定の勢力を維持していることには変わりない。不透明なエネルギー政策の方向性を見通すための参考として、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(EPRINC report reveals IEA Net Zero Roadmap as a Green mirage)
https://www.cfact.org/2023/06/29/eprinc-report-reveals-iea-net-zero-roadmap-as-a-green-mirage/

1.本記事の内容について
 ・国際エネルギー機関(IEA)が、「2050年温室効果ガス排出ゼロ実現計画」を発表して以降、西側諸国の企業は化石燃料への投資を抑制するようになり、ESG投資が盛んとなった。この計画の実現性を検証するため、エネルギー政策研究財団(EPRINC)に調査を依頼した所、IEAの計画は全くもって非現実的という結果となった。
 ・事実、IEAの計画はエネルギー価格を劇的に高騰させ、経済を悪化させ、投資会社は出資者への利益還元という信託上の義務を果たせなくなるものとなっている。IEAは大前提として、再生可能エネルギーが完全に化石燃料を代替することができるとしており、この計画を根拠として急進的な環境派が投資会社に圧力をかけ、資金の移し替えや株主提案などの手段を通じて、化石燃料への投資を妨害しているのである。
 ・ただIEAは、化石燃料への投資が減少したことに伴って需要が供給を下回った場合、長期間にわたって化石燃料の価格が上昇する危険性があるとも述べており、代わりに需要が徐々に減少していくというあり得ないシナリオを描いている。例えば、2030年の化石燃料価格は1バレル35ドル(現在の1/2程度の水準)、天然ガスは100万Btu当たり2.1ドルとしている。1997年1月以降の天然ガス価格を見ていくと、100万Btu当たりの価格が2.1ドルを下回ったのはたった26か月であり、しかも2020年のコロナウィルスパンデミック期間が7か月も含まれている。
 ・しかしながら、ウクライナ戦争に伴う原油価格の上昇に伴い、バイデン政権は価格抑制のために戦略的備蓄を放出する所まで追い込まれており、化石燃料の価格を予想するのは非常に困難である。過去の歴史を鑑みると、供給が35%減少すると、原油価格は3倍以上になると見込まれ、更には原油価格の高騰により景気悪化の懸念も高まるのである。
 ・また再生可能エネルギーの価格についても、非現実的な試算がなされている。2030年までに再生可能エネルギーのために16.5兆ドルの投資が必要になるとしており、再生可能エネルギー産業全体が効率化されていくとしているが、現実は異なっている。再生可能エネルギーは化石燃料産業と比較して、38.5%以上の多くの労働者が必要となり、世界で2500万人増員する必要がある。しかも生産されるエネルギーは7%低くなることから、1労働者当たりのエネルギー生産量が33%も減少することになるのである。それだけでなく、太陽光発電と風力発電は既存の化石燃料等の発電所よりもより大きな面積を必要とするのであり、世界のエネルギーを賄うためには、カリフォルニア州とテキサス州を合計した面積が必要になる。
 ・温室効果ガス排出ゼロ計画には、地政学的な側面もあることを見逃してはならない。2050年までにOPEC諸国の石油生産量が、現在の37%から52%に上昇するとしているものの、非OPEC諸国が生産を停止すれば、実際には82%を占めることとなる。IEAは、1970年代の石油危機への対処のために創設されたのであり、その理念に立ち返って、エネルギー安定供給のために尽力するべきであり、温室効果ガス排出ゼロ計画のような非現実的なエネルギー政策のリーダーとなるべきではない。

2.本記事読後の感想
 ESG投資やSDGsなどの標語はいかにも耳に心地よく、何か良いことをしている気にさせる。環境に優しい企業が利益を上げられるというのであれば望ましいが、実態を知れば、そう単純な問題ではない。投資に関しては、愚かな人間が損を被るだけなら何の問題もないが、エネルギー価格を高騰させることにつながっており、日常生活に大きな損害を与え、世界の貧しい人々や途上国に多大なる迷惑をかけている。
 Youtubeや大手SNSなどでは、地球温暖化に疑義を呈するような議論をすることすらできず、既存メディア、教育界までもが地球温暖化対策に毒されていることから、多くの人々が本件について知見を深める機会がほとんどないのである。
 有益な情報源がないわけではないが、日本人は一般的に主体性がなく、テレビ、新聞、週刊誌という低次元の情報源で満足してしまう人が大半である。インターネットが普及してきたとしても到底使いこなせておらず、一部の賢明な方々にしか有益となっていない。現状の日本が冴えないのは総体としての日本人が絶望的なまでに愚かであり、それにふさわしい政治になっているからである、といえばそれまでであるが、愚か者のために賢明な人がこれ以上迷惑を被らされるのはごめんである。
 愚かな人には申し訳ないが、今後も多大な損失を被っていただき、痛い目にあって認識してもらうしかないのだろう。

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