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コロナウィルスの起源に関する調査報告書について(1)(NICの発表)

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 コロナウィルスの起源に関する調査報告書について(1)(NICの発表)2021年10月30日に国家情報長官室(NIC)は、コロナウィルスの起源に関する最新の調査報告書を発表した。これまでコロナウィルスは、中国の武漢ウィルス研究所が生物兵器として開発したものかそれとも自然発生説かといった議論がなされてきたが、多くは陰謀論や雑な憶測といった類のものに留まってきた。このことについてアメリカのインテリジェンスコミュニティがどのような結論を出すのかについて注目されていたが、2021年8月現在の確定情報として公開された本報告書では、いずれの説も確定することができなかったとしている。メディアでも大きく報じられておりその結論は広く知られているが、その内容について詳しい説明はあまりなされていない。このことから、本報告書の概要について取り扱わせていただくこととする。ただ長文に及ぶことから3回に分けて紹介することとしたい。

↓リンク先(Updated Assessment on COVID-19 Origins)
https://www.dni.gov/files/ODNI/documents/assessments/Declassified-Assessment-on-COVID-19-Origins.pdf

1.本報告書の内容について
① 自然発生説の根拠について
 自然起源であると評価している分析者は、コロナウィルス感染症の原因となるSARS-CoV-2に感染しやすい多様な動物、中国における動物から感染する様々なシナリオ(動物の密輸、育成、販売、救出などを含む)、動物からの感染を起源とする顕著な人間への感染症蔓延の前例などをその根拠としている。
 広範に及ぶ野生動物や家畜の育成、野生動物の密輸、中国における動物市場及び政府によるこれら行動に対する歴史的に融和的な規制、劣悪な衛生環境などにより、自然発生する可能性が高くなっている。例えば、SARSの直近の株として知られているコウモリのコロナウィルスは雲南省で発見されたが、最初の人間へのSARS感染蔓延が発見されたのは、数百キロメートルも離れている広東省だったことからも、最初の感染場所とウィルスの起源となる地点が異なっていることもある。
 この説に賛同している分析者は、過去の数多くの動物起源のアウトブレイクにおいて、感染源の動物の特定には数年を要し、一定の場合には動物を特定することができないと明確に述べており、これらの根拠がないことで、別の説を採用することまではできないと考えている。また、中国政府の脆弱な感染病監視システムでは初期のエンデミックの発生は把握することができず、武漢ウィルス研究所も感染症拡大防止に有効な手を打てていなかった(COVID-19の分析の乗り出した時期がパンデミック後であるなど)ことから、研究所が関係していた可能性が低いと見ている。

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