グリーンニューディールは日本にとって有害な政策である(ヘリテージ財団)
写真出展:Łukasz WiniarskiによるPixabayからの画像
ヘリテージ財団の2020年8月7日の記事で、グリーンニューディールについての記事が発表されていた。最近環境政策がいろいろと取りざたされているが、日本にとって非常に有害になりえるという考えから、今後のあるべき政策を考える一助として、その一部をご紹介させていただく。
↓リンク先(Green New Deals Bad for Americans and Bad for Europeans)https://www.heritage.org/energy-economics/report/green-new-deals-bad-americans-and-bad-europeans
1.グリーンニューディールの現状
ヨーロッパのグリーンニューディールの現状は以下の通り。
・2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにすることを目標としてい る。OECD諸国の中で、EUは排出量の28%を占める。)
・資源と経済成長を切り離す。
・欧州気候法を定め、EU経済全ての部門への規制を目論んでいる。
環境にやさしい科学技術への補助金、再生可能エネルギーなどの目 標、代替燃料の支援、エネルギー部門の脱炭素化などを含む規制である。
・世界と共通基準を策定するために協力していく。
・一部の政治家は、450億ドルの「(クリーンエネルギーへの)即時以降ファンド」を提唱しているが、原子力は代替エネルギーから外されている。
アメリカのグリーンニューディールも同様の政策を実施しようとしている。
2.経済・環境に与える影響
アメリカで2020年から2040年までの間にグリーンニューディールが実施されたと仮定した場合、大きなマイナスの効果が見込まれる。概要については、以下の通り。
・2040年までに毎年度110万人以上の雇用喪失
・1年当たり最大で520万人以上失業
・2040年までに4人家族世帯における1,800万円程度の収入減
・電気料が年平均30%上昇
・2040年までに累計1,500兆円以上のGDP損失
これらの政策が環境に与える影響は極めて小さい。ヨーロッパのグリーンニューディールが完全実施されたとしても、影響は以下の通り。
・2030年までに100%温室効果ガス排出量を削減しても、2050年までに地球の平均気温は摂氏0.046℃しか低下しない。2100年までかかっても、0.12℃しか低下しない。どのような気候変動モデルを用いても結果はほとんど変わらない。
3.今後の見通し
ここからは本記事の内容から外れて、日本についての見通しを述べたい。
菅政権は、温室効果ガス排出削減や各種プラスチック製品の削減などが 提唱しているが、現状として消費者に負担を課す「値上げ」でしかなく、 環境への良い影響はほとんどない。
また、2021年7月3日にEU圏での使い捨てプラスチック容器の禁止などを控え、この動きを受けた規制も近いうちに出てくることが予想され、ますます日本にとって厳しい環境が出来する可能性が高い。今回の記事のように経済への影響を分析したものを寡聞にして知らず、一体何に基づいて政策決定されているのかがわからない。掛け声や建前といったことが役立つ場面もあるが、今回の政策はあくまでも数値の問題であり、経済や環境に与える影響を考慮したうえで政策・目標を設定するべきである。
特に、日本が同様の政策を実施した場合、経済に与える悪影響を単純に3分の1にしたとしても、壊滅的な打撃を受けるだけでなく、産業に与える影響も甚大である。国会でも数値的な議論がなされることを期待したい。
最後に、ヨーロッパのグリーンニューディールには抜け穴がいくつもある。液化天然ガスは規制の対象から外しているなど、目標を達成できない場合の逃げ道を用意している。つまり、ルール作りをしているだけで、相手にルールに従わせたいだけであり、自分は例外にすることができるようになっている。日本人得意の本音と建前の使い分けを霞が関文学で巧みにこなしていくことが必要だろう。特に、日本の優れた火力発電所の技術を発展途上国に普及させていくのが最も効果的な温室効果ガス排出削減になるということをうまく宣伝していくことが必要である。
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