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サイバーセキュリティ対策としての量子ソリューション(ハドソン研究所の記事)

写真出展:TumisuによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/tumisu-148124/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=2890762

 ハドソン研究所の2021年5月12日の記事で、今般の電力施設や石油パイプラインへのサイバー攻撃対策として、量子ソリューションを提言しているものがあった。量子ソリューションは徐々に商用化されている。日本にとっても参考になると思われるため、その一部をご紹介させていただく。

↓リンク先(Protecting Powerlines And Pipelines: The Quantum Solution)https://www.hudson.org/research/16913-protecting-powerlines-and-pipelines-the-quantum-solution

1.本記事の内容について
  ・アメリカは過去何度もサイバー攻撃の被害を受けているが、継続的に抜本的な対策を取られることがなく、被害が繰り返されている。既存のハッキング対策は、3、4年で陳腐化してしまい、このままではいたちごっこになる。
  ・現在期待されている解決策は以下の2つである。
   第一はポスト量子暗号である。本暗号は、量子コンピューターにも耐性がある暗号であり、現在のパソコンでは到底太刀打ちできない。一部企業では商用化しており、導入は割合に容易である。現在米国標準技術研究所(NIST)が標準化を進めており、今後も発展していく技術である。
   第二は量子鍵配布であり、これは解読不可能な暗号を生成することができる。光子の絡み合いを活用した量子鍵を送信者、受信者双方に送付する方式となっており、盗聴されている場合は、その痕跡が残るようになっており、盗聴の検知が可能となっている。
  ・エネルギーのインフラ管理においては、監視システムが重要である。エネルギー部門の安全戦確保のため、オークリッジ研究所やロスアラモス研究所は共同で量子鍵配布技術を研究している。

2.本記事読後の感想
  ポスト量子暗号は、現在の技術の中で、量子コンピューターが解読することが困難な暗号を生成するというものである。簡易的な方法としては、数値を大きくするなどの対処となるが、多様な計算方法により計算スピードの向上だけでは対処しにくい共通鍵の生成方法が模索されている。米国標準技術研究所(NIST)の技術審査が2024年に終了する見込みであることから、当面は、中継ぎ投手的な扱いで、ポスト量子暗号を導入することが有効なサイバー防衛になるだろう。
 また、量子暗号は、次世代のソリューションとして期待されており、徐々に実用化されつつある。量子の性質上、絶対に解読できない暗号を作ることが理論上可能であり、通信速度の遅さなどの課題が解決されれば、万全のハッカー対策が可能になる。但し、絶対に解読できないということは、テロリストなどにも有利に働いてしまう。現在は大企業や高度な技術を持った企業以外に量子鍵配布などは不可能であるが、技術の進展や商用化に伴い、世界中で活用される未来が想定されていることから、今後はテロリスト側の攻撃への対処方法も模索していく必要がある。
  量子鍵配布で有望な企業としては、アメリカのQubitekk、オーストラリアのQuintessenceLabsがある。日本ではNECや東芝などが先進的な取り組みを行っており、ソリューションも出始めているが、このペースを速め、拡大していく必要がある。日本企業へのテコ入れとして、デジタル庁には量子ソリューションの推進をお願いしたい。国の機関の通信に量子ソリューションを必須とする法制化や、量子ソリューション導入企業に対する補助金支給など、できることから手を付けていただきたい。

 
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