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日本が世界に誇る保有資源〜ヨウ素の可能性と関連銘柄

最初に

本格的な5GやIoT・EV時代の到来に向けて、世界に偏在する鉱物資源の重要性が、近年高まっています。

出典:経済産業省資源エネルギー庁HP

これらを持たない日本は、他国が展開する鉱山開発への出資により、その権益の一部を所有している状況。

そんな「資源を持たない国:日本」でしたが、一変する可能性があります。

それがヨウ素。ヨウ素は日本とチリで世界生産量の90%を占める資源で、最近このヨウ素に注目が集まっています。
今日は、その理由と関連銘柄を紹介。

目次

  • ヨウ素とは

  • ヨウ素が注目される理由

  • 関連銘柄

ヨウ素とは

1.ヨウ素って何?

ヨウ素は、私たちの身近でも使われ、殺菌剤やレントゲン造影剤などに使われています。イソジンなどのうがい薬にも使われていますね。

ヨウ素の主な効果は次のとおり。

  • 殺菌効果

  • 包接性

  • X線吸収能力

  • 触媒的作用

  • 優れた反応性や大きな分散力

これらの効果があることから、医療分野を中心に、工業、農業分野など幅広い業界で利用されています。

また、健康の維持にも不可欠で、食塩にヨウ素を添加することが義務付けられている国もあります。(ヨウ素を多く含む海藻などを摂取しない、大陸内陸部に多い。)

さらに近年は、その偏光特性や高い導電性を活かして、液晶パネルや燃料電池にも活用されるなど、利用用途の拡大は進んでいます。

世界のヨウ素市場における使用用途の内訳を次に示します。

出典:K&Oエナジーグループ株式会社HP

2.ヨウ素ってどこにある?

先述したとおり、ヨウ素はチリと日本に偏在しています。
(ヨウ素自体は海水や土壌に分布し至る所にありますが、商業目的で採取する場合、良質でないために採算が合わないことがほとんどです。)

ヨウ素の世界生産量は次のとおり。

株式会社合同資源HPより引用

また、日本国内でも偏在しており、千葉が圧倒的な量を誇っています。

株式会社合同資源HPより引用

3.ヨウ素市場の成長率と供給制約

ある市場調査レポートによれば、ヨウ素の需要は今後も増加し、その成長率は年平均で5%超とのこと。
一方供給面に目を向けると、これまでの世界生産量は3%程度の上昇にとどまっています。

出典:日本の地下に眠る天然資源ヨウ素(朝倉 聡)

特に日本の場合、ヨウ素の急激な増産は、地盤沈下の可能性があることから難しく、今後の生産量拡大と地盤対策は喫緊の課題となっています。

つまり、今後需要がより高まっていく資源であるにも関わらず、大幅な増産が難しく、ヨウ素価格の上昇は否めない状況となっています。

以上のことを踏まえて、今後よりヨウ素が注目される理由について解説していきます。


ヨウ素が注目される理由

それは、ペロブスカイト型太陽電池の出現です。以下で解説していきます。

ペロブスカイト型太陽電池とは

次世代型の太陽電池でメリットは次のとおり。

  • 薄く、軽く、柔らかい

  • 希少金属(レアメタル)を必要としない

  • 安価に製造可能

現在主流のシリコン太陽電池の欠点を全て補っており、今後は変換効率や耐久性を改善していくこが重要な課題となっています。

もしペロブスカイト太陽電池が普及していけば、日本にとっては次のメリットがあります。

  • (軽いために)設置場所を問わない(国土の小さい日本でも、最大限設置面積を稼ぐことが可能)

  • 資源(レアメタル)を持たない日本が、今後エネルギー安定供給の面で不利になりにくい

ちなみに、現在多くの日本企業が研究開発に前のめりになっており、シリコン太陽電池からペロブスカイト太陽電池へのゲームチェンジが起こるのは、時間の問題とも言われています。

ペロブスカイト型太陽電池とヨウ素の関係

ペロブスカイト太陽電池にレアメタルは不要と言いましたが、それに変わる重要な資源が必要となります。

それがヨウ素。ヨウ素はペロブスカイト太陽電池の主原料であり、量産化する上で欠かせないものです。

つまり

ペロブスカイト太陽電池は、原料調達の面からも国産で賄うことができ、資源・エネルギーがない日本にとって、救世主的な存在になり得ます。

そして、今後よりヨウ素の重要性は増し、この需要増加によるヨウ素価格の上昇は容易に想像できますね。

関連銘柄

ペロブスカイト太陽電池の普及拡大によりヨウ素価格が上昇していけば、そのメリットを最大限享受できるのが、ヨウ素製造企業となります。それが以下の企業です。

  • 伊勢化学工業(4107)

  • K&Oエナジーグループ(1663)

それぞれ簡単に解説していきます。

伊勢化学工業(4107)

世界屈指のヨウ素サプライヤー。世界のヨウ素の15%を生産。
千葉に多く工場を持っているのがわかりますね。

出典:伊勢化学工業HP

各種指標は次のとおり。

バフェットコードより引用

AGCが大株主で、株式の52%を保有しています。


K&Oエナジーグループ(1663)

世界のヨウ素の5%を生産する世界有数のプレイヤー。
国内最大の水溶性天然ガス田である【南関東ガス田】にグループ所有の鉱区があり、ヨウ素埋蔵量は現在の生産量で400年分。
(天然ガスが水に溶けており、この水の中にヨウ素も含まれています。)

出典:K&Oエナジーグループ決算説明資料
出典:K&Oエナジーグループ決算説明資料

各種指標は次のとおりです。

バフェットコードより引用


ということで今日は以上です!!!

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