ダメになる会話「作家志望」

ヒロシ「小説をかきたい。」
タクミ「お前小説なんて読まないじゃん。」
ヒロシ「書きたいと言ったんだ。一行だって読むつもりはない。」
タクミ「向いてないにもほどがあるな。」
ヒロシ「字ばかりの本を読むと目がかゆくなる。」
タクミ「本を読まない奴に小説はかけないだろ。」
ヒロシ「そんなばかな。俺は釣りをしないが魚を食うぞ。」
タクミ「うまく言えないがたとえが違うと思う。」
ヒロシ「推理小説というのを書きたいのだ。」
タクミ「また難しそうなの選んだな。何かアイデアはあるのかい?」
ヒロシ「あるとも。聞いたら度肝を抜かすぞ?」
タクミ「そりゃすごい。」
ヒロシ「まず、誰かが死ぬ。」
タクミ「殺人事件かな?」
ヒロシ「警察がくる。」
タクミ「まあそうなるね。」
ヒロシ「警察の地道な捜査の結果、容疑者が見つかる。」
タクミ「たいてい警察は無能で、誤認逮捕なんだよな。」

ヒロシ「そいつが犯人で、事件解決だ。」
タクミ「警察有能だった。」
ヒロシ「意外だろう?」
タクミ「意外だ。普通すぎて逆に意外だ。」
ヒロシ「面白そうか?」
タクミ「そんなわけないだろう。何も特別な事が起こって無いじゃないか。」
ヒロシ「不謹慎だな。人が死んでるんだぞ。」
タクミ「それは今使う台詞じゃないな。」
ヒロシ「何かが足りない気はしている。」
タクミ「だろうね。なんの具もない素うどんみたいな状態だしね。」
ヒロシ「うどんを食う時は必ず肉うどんだ。」
タクミ「聞いてない。」
ヒロシ「なにを足せばいいかな?」
タクミ「まあ、定番なら探偵じゃない?」
ヒロシ「探偵か、探偵をちょい足しするか。」
タクミ「しっかり足せよ。なんでちょっとなんだよ。」
ヒロシ「被害者と警察と探偵と犯人で四人か。多いな。」
タクミ「少ないよ。前代未聞の少なさだよ。」
ヒロシ「あ、警察を刑事にしたら、探偵いらなくない?」
タクミ「なんで減らしちゃたの?」
ヒロシ「で、実は被害者が犯人。つまり自殺だったと。」
タクミ「もう事件ですらない。」

ヒロシ「で、被害者の職業が刑事、と。」
タクミ「そして誰もいなくなった。」
ヒロシ「死体しか残って無い…」
タクミ「他でもないが君のせいだ。」
ヒロシ「やはり人数少ないのは問題だな。」
タクミ「人数の問題ではないと思うんだ。」
ヒロシ「よし、人がたくさんいる場所を舞台にしよう。学校とかどうだ?」
タクミ「学園ものか。」
ヒロシ「全校生徒五億人。」
タクミ「多すぎる。日本の人口を超えている。」
ヒロシ「ある日三千人の生徒が何者かに殺される。」
タクミ「殺されすぎだろ。途中で止められなかったのか?」
ヒロシ「しかし三千人の被害者がいた部屋は密室だった。」
タクミ「なんてでかい部屋だ。」
ヒロシ「三つある窓は全て内側から施錠されている。」
タクミ「広さに対して窓が少なすぎるんじゃないか?」
ヒロシ「一つしかない出入口も、内側から施錠されていた。」
タクミ「一個なの?その広さでドアが一個なの?」
ヒロシ「前代未聞の殺人事件に1人の探偵が立ち向かう。」
タクミ「だからなんで探偵はちょい足しなんだよ…」

-END-

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