フィールドワーク:風俗と夜職

時間と金と移動は妥協するな。
それが彼からのアドバイスだった。

このフィールドワークは、なぜ夜の世界の最深部まで入らずルポタージュを書く人が多いのかという疑問をシンプルに考えることから始まる。
ホストにハマる人、風俗にハマる人、夜職を始める人。

それぞれの人の生き方を否定することはない。
そもそも、それを否定してしまったら、私のことまで否定することになる。
そもそも、体や心を売る仕事は悪いことなのだろうか。
どこまで行っても、人は自由だ。

文化人類学、弱さについて、貧困、風俗、夜の仕事、依存症についてのことを勉強したいと思っている。
私自身も文化人類学の中に含まれているし、本などを読む中で共感することもたくさんあった。
初めに記述した通り、そのほとんどがルポであることを私は疑問に思った。
私は、私自身を通して、フィールドワーク、つまり夜の世界に飛び込むことを決めた。
これは12月19日からの日記である。
アンネの日記のような日記になってしまうかも知れない。

12/19
5時45分
ガールズバーから帰って22時。坂本龍一を聴きながら帰宅する。
明日はメンズエステ(ここからはメンエスとさせていただく。)の面接だ。
付いて来てくれる人がいるらしい。
早く寝る。
これから激務なので、ちゃんと起きれるのか確かめたいので、12時に起きてみようと思う。予定は15時からR駅。
6時半に寝て、12時起床であるとすれば睡眠時間は5時間半。
多分眠たい。おやすみ。

12/20
22時から出勤の2時上がり。推しているホスト(ここからは担当と言わせてもらう)
どうしても会いたかったので、相談しにいく。分からないことばかりである。大人とは一体なんだろうか。
初めての世界、初めてのお風呂仕事、私はこれからどうなっていくのだろう?

1/3
メンズエステの売上が相当な額に行っていた。
ちょっと自信が持てた。
でも、好きな人に申し訳ない。私がそこまで頑張って、大丈夫なのだろうか。
掛けを20万近く返した。

1/7
風俗の知り合いの方に「女の子に好かれない」と言われ、「ホストにそんなにお金使わないのに、男の人に好かれる」発言を指摘される。
気をつけなきゃ。
12月31日から鬼出勤。
ガールズバーで働き、昼はメンズエステ。
レイプされる確率はソープの方が少ないらしい。
どうもそういうことを避けるには、ソープの方が安全だし、稼げるそうだ。
東京から逃げたい、そんな気持ちが溢れる。
義理人情が全てっぽい。
恩返しとはなんだろうか。
私はそんなに恩返しをしてこなかった人間なのだろうか。
心臓が飛び跳ねる。
私は、そんな人に向き合わなかった人間なのだろうか。
確かに、人に心を開いた振りをするのが得意である。そうやって私は色んな人に好かれ、詐欺のようなことを繰り返してきたのかもしれない。
逃げてきたのだと思う。
心がガラガラと崩れていく気がする。
色んな場所で頑張ってきた、それがなんだったのか。私には分からない。全ては失敗だったのだろうか。早くいなくなってしまいたい。
けど、このフィールドワークのために頑張りたい。
「こんばんは、ガールズバー如何ですか」
そんな言葉が寒空の下虚しく響き渡る。

1/7
死ぬことを決めました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?