あの日の記憶から
コロナ前、2019年、初めて学会に参加した。
いちおう、国際学会で、とはいえ国内開催で、
私は参加だけだったけれど。
当時はまだ学部の一年生の秋で、
本当に何もわからない頃だった。
今も何かをわかったかといえばそうではないけれど、
本当に何もわからなかった、至極当然に。
学会には友人と参加した。
ねぇ、覚えていますか。
お互いに初めての学会。
都合上私が昼くらいに着いて、彼女は夜遅くに合流した。
ついてすぐの懇親会では、
わけもわからず教授に挨拶回りに連れられた。
今ならすごい先生方だとわかるのだけれど、
本当に何もわからないので、精神的にしんどかったことだけを覚えている。コロナで懇親会は壊滅しているけれど、
おそらく今も得意ではないだろう。
彼女を駅に迎えに行く待ち時間だったか、
私は、方面を同じくした女性研究者の方にお世話になり、
スタバでわけもわからず研究者になるとはみたいな話を聞いたり、
指導教官のところを選んで正解だよと励まされた。
これをすごくよく覚えている。
その後お会いする機会はないが、お元気でしょうか。
彼女と合流してからはずっと一緒で、
英語の発表に頭を抱え、
わかんないねって言い合いながら、
そもそも学術用語がわかっていないなどありながら、
普通に街を観光したりもして、
大学の愚痴を話したりしていた。
最終日の打ち上げだったかでは、
なんでなのか記憶はないが、
二人でやや小間使いのようなことをしていた。
本当に簡単なことで、
ちょうどいいから、くらいだったのだとおもう。
文句を言いながらも、少しは意味を持てた気がしたのを覚えている。
お会いした先生方が誰だったか、今ならあのあたりかと想像はつくけれど、そして当然今もお世話になっているけれど
もうすっかり覚えていない。
名刺から確認できるのはy先生、s先生、m先生、k先生、とか。
名刺を持っていなかった私たちに即席で名刺を作ってくださった
t先生のことはよく覚えている。
そう、あのときおなじようにおなじものをみていたんだよ。
ねぇ、いまあなたは何をしていますか。
彼女とはコロナを経て疎遠になって、
ゼミも違うし、卒業して就職したことだけはわかっている。
あの時、同じようにあの場所にいて、
同じように悩んで、どうしようねと話した。
ねぇ、いま、何をしている?
あの時のこと、おぼえている?
わたしはいまもここにいるよ
あのときのわからなさと憧れに今もとりつかれているよ。
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