いまやるべきこと。中小企業の経営者に提案したいこと。

雇用調整助成金の話について、先の記事で問題点を挙げてみました。

問題はわかった。じゃあ、いったいどうすれば?

ここからは、社会保険労務士としてだけでなくいち経営者、いち事業主、いち国民として伝えたいと思います。

今、多くの経営者の方は困難の中にいることと思います。

自粛自粛で消費は冷え込み。

融資、時間かかるし。
助成金、もらえないし、面倒だし。
で、どうしたらいいの?何をすべきなの?

私からご提案したいのは、

「今からでも顧問社会保険労務士に依頼して1から労務管理の仕組みを整えること」

です。

つまんないですね。

今この時期にそんなこと言われても。空気読めよ(怒)。

そういいたいお気持ち、よく分かります。

だけど大切なのは、今この時期を乗り超えることだけでなく、乗り超えた後も企業が発展すること、ではありませんか?

私も、今これを言わなければならないのは非常に心苦しいし、非常に酷なことであると思います。でも「今だからこそ」あえて伝えたい、一歩踏み出す勇気を持っていただきたいと思うんです。

ちょっと厳しいことも言いますが、もう少し聞いてもらえませんか?

ゲームに参加するならルールを守る必要がある。

この局面を乗り切ったらそこで終わりではないですよね。その先の「事業発展」はもっと大切ですよね。

緊急事態宣言は段階的に解除されつつありますが、コロナウイルスがなくなるわけではありません。おそらく継続的に共存していかなければならないし、第2波に備える必要もあります。

これをやっていくうえで大前提として考えなければならないのは、この国で事業を行うのであれば、最低限、この国のルールを守る必要があるということです。

「攻め」も「守り」も、ゲームを楽しむためにはルールを守る必要があります。バスケの試合でボールを抱えたまま走り出したら、ゲームが成り立ちませんね。

事業を行う上で法律を守るということは、ゲームやるならルールを守ってね、というのと同じことです。守らないなら入れてあげないよ、と言われても文句はいえないでしょう。

この先何があっても、ルールを逸脱した会社運営を続けている限り、ずっと制度や補償の対象外になってしまう、ということです。

今後もコロナウイルス対策その他に対してはいろいろな施策がだされるでしょう。国から出される施策や補償、これらを受けるには義務を果たしていること、すなわち法に則った事業運営を行っていることが大前提となります。

雇用調整助成金、理解するのも申請するのも簡単ではありません。しかし、これまできちんと法に則った労務管理ができている会社であれば、大変とは言いつつも力業で相当部分はカバーできます。しかし、それができていないのは「戦いの土俵にもあがれない」ということです。

「うちってホワイトだぜ」って言える方がかっこよくないですか?

「やらない理由より実現する方法を考える」

これは起業家の皆さんなら得意なはずです。

やらないでうだうだ言ってるより、やった方がかっこよくないですか?
「うちは超絶ホワイトで儲かってるぜ」って言った方がかっこよくないですか?

どうして法令遵守となると、とたんに「やらない理由」がでてくるのでしょう。多分、やりたくないってことなんですよね。どうしてやりたくないのでしょうか?メリットがない?

よく聞くのは次のようなものでしょうか。

1.そんなのやってたら中小企業はつぶれてしまう
2.法律の方がおかしい(からやらない)
3.みんなやってない(自分だけやるのは損)
4.難しすぎてわからない、面倒くさい

1.そんなのやってたら中小企業はつぶれてしまう
ほんとにそうですか?たとえば労働法守って潰れたという話を私は聞いたことがありません。むしろ労働法遵守って、実はめちゃくちゃコスパいいですよ(別途書きたい)。

2.法律のほうがおかしい(からやらない)
法律も完ぺきではないので、それってさあ・・・みたいなのがないとは言いません。ですが、全体で見たらやはりよくできてます。先人たちの失敗から学んだ知恵の集大成です。食わず嫌いじゃなくて、一回やってみるのはどうでしょうか。実はやった後悔よりやらなかった後悔しているかも知れませんよ。

3.みんなやってない(自分だけやるのは損)
みんな、って誰ですか?
損、ってなんですか?どのようなことを得と考えてますか?

そう思ってるのは都市伝説かもしれませんよ?

4.難しすぎてわからない、面倒くさい
これは理解できます。難しすぎます。事業運営しながら労働法まで勉強して使いこなすのは無理です。だからよい専門家をパートナーとしていただきたいんです。作業の部分で面倒くさいこともあるでしょうが、可能な限りの効率的なやり方はお伝えすることができます(システム導入とかね)。

労働法なんか守ってたらやってられない。って、やってみなければわからないじゃないですか。やってみたら、思ったより便利かもしれませんよ。

でも残業代を払いたくない。人件費が重い。

労働法を守らないのは、実はこれが大きいようにも想像しています。

どうして払いたくないんでしょうか?

責めているわけじゃありません。

単純に、どうして払いたくないのか、考えてみませんか?

人件費=コスト?

もしそう考えているのだとすれば、社長にとって、従業員ってどんな存在ですか?

自分の言いなりに動いてくれる人ですか?自分がやりたくないことをやってくれる人ですか?仲間ですか?家族ですか?従業員にはどんな風に働いてもらいたいですか?どんな風にお付き合いしたいですか?

従業員は奴隷で、歯車で、ぼろ雑巾のように使い倒したい!
低賃金で馬車馬のように働いてもらえる従業員大歓迎!

という意見は私は聞いたことがありません。

もしかしたら思ってても言えないだけ、という場合もあるかもしれませんが、言えないのだとしたらどうしてですか?それってなんか後ろめたい、って思ってるんじゃないですか?。

「ブラック企業の社長」になりたい経営者はいないと思います。

時間でなく成果を上げた従業員に報いたい。そういったお考えもあるでしょう。しかし従業員側の意見は聞いたことはありますか?その想いは伝わっていますか?またそれをやるなら、単に法を無視するのでなくても、やり方はあります。やるならちゃんとやりましょうよ。

賃金の払い方には経営者の想いが反映されます。

創業のきっかけ、最初に人を採用しようと思った時、自分は、従業員とどんな関係になりたいんだろう?これらをあらためて考えなおしてみるいいきっかけになると思います。

それでもやりたくない。という場合は?

それぞれお考えやご事情あると思います。それについて私が意見するつもりはありません。

しかし、もし経営者として「ルールを守らない」という選択をするのであれば、その結果を引き受ける必要がある。つまりはその結果起きることに責任を持つ必要があります。

何があっても「国が守ってくれない」「権利なのに」と文句を言わないこと。ルールを逸脱した場合のペナルティを覚悟する。ということです。

未来は変えることができる。

権利と義務はワンセット。義務を履行しないものは権利を主張することはできない。

しかし、現在はこの未曽有の危機です。

義務の履行にかかわらず、現時点では広く救済の窓口が設ける方向にあります。

助成金については、本来なら労働基準法違反などこれまでの取り組みがなされていなければもらうことができません。しかしながら今回は、超法規的に、過去の体制への言及は緩和され、広く給付の窓口を広げる方向にシフトされつつあります。

これが良いことか悪いことかについては議論の余地がありますが、少なくとも、変わるためのチャンスであることは間違いありません。

もしも今までできなかったことがあったとしても、それは様々なお考えやご事情があったことと思います。だけど、言い古された言葉ではありますが「過去は変えられないけど未来は変えること」はできます。

やろうと思ったら今からでもできるチャンスなんです。

味方になってくれるパートナーを見つける

この数か月、私たちをとりまく環境は激動の中にあります。

3か月前、現在の状況を誰が想像したでしょうか?

突然街から人がいなくなり、突然、売り上げが吹っ飛び事業継続そのものの見通しが立たなくなる。家庭では、突然子どもたちが学校に行けなくなり、突然自宅で仕事をしているパパママが増える。大人も子どももみんなでzoom会議、と言っている。

1日先、1週間先、なにが起きるか分かりません。

今経営にそれほど窮していなかったとしても、この国の働き方は激変しています。常に最新の情報をインストールしていく必要があります。

緊急事態宣言が解除されたらまた新しい課題がどんどん降ってくる。

これから、まだまだ経験したことのない事態が次々起こるでしょう。

しかし、どんな状況が起きても、国がどんなに手を差し伸べる手段を考えようとしても、ルールから逸脱した経営を行っていれば、対象外となってしまいます。

「就業規則を作る」「賃金台帳を作る」「勤務表を作成する」その他・・

面倒ですよ。業務の効率化が叫ばれていますが、効率化って、必要なものまで省略していい、ということではありません。やらなければならないことの最低限は、コツコツやる必要があります。

帳簿を作ることそのものはツールを入れてしまえば簡単にできます。しかしその仕組みを作るまでには地道な作業が必要です。

でも、事業をやっている皆さんだったら、すべてにおいてウルトラCなんてない、ってこと、よくご存じだし、きっとできると思います。

また、情報も錯綜しています。この洪水のような中で正しい情報を取捨選択し、判断を行っていくには、ブレーンが必要です。

だからこそ、頼りになる相談相手、専門家を確保してほしいんです。

雇用調整助成金をめぐる狂奏曲のような状況は先の記事で述べた通りですが、それ以外にもいろいろな情報が飛び交っています。

「雇用調整助成金の上限は上がるのか?」
「みなし失業」は実現するのか?
「休業手当を支給しない場合の直接給付」は決定なのか?そもそもそれってやっていいのか?

「噂」なのか「検討中」なのか「決定」なのか。
A社ではよくてもうちの会社には当てはまるのか。

私たちは、お客様を守るために全力で情報を収集します。そして、今のお客様の状況にあった、最適な情報を届けます。相談に応じます。伴走します。制度を使い倒すために、味方となるパートナーを見つけてほしいんです。

アフターコロナを考える

この先も、従業員とは一緒に頑張っていく必要がある。いや、そうしていきたい。

本気でそう思うなら、未来に向かうための仕組み、一緒に考えませんか?

これから従業員とどんな関係を築きたいですか?
どんな会社にしていきたいですか?

それら、一緒に実現していきませんか?

これは、私からの提案です。実行するかどうかは、お考え次第です。

だけど、この提案のってみようかな?と思ってもらえたなら、お近くの、信頼できそうな社会保険労務士を探してみてください。

探すのも大変だと思います。先生によって得意不得意もありますし。お考えも違います。

どうやって選んだらいいのか?

それは「直感」「相性」「この人に相談したいと思えるかどうか」です。

どんなに有名な先生や大規模法人でも、相性が悪ければだんだん相談できなくなります。反対に、大規模法人の方が安心という方もいるでしょう。

直感を信じて。

みなさんの会社はここで終わる会社じゃない。
だから、一緒にがんばりましょうよ。

未来に向かって。


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