時間外労働60時間超の割増賃金率50%⇒社会保険の月額変更の対象ですよ(2023/4/24訂正版)

前回、時間外労働60時間超の割増賃金率が50%になる件について、社会保険料の月額変更の対象となることについてお伝えしました。

こちらの運用について、年金事務所より訂正が入り、下記の運用となることとなったそうです。

結論:今後の運用

4,5,6月のいずれかで実際に50%割増での賃金が発生した場合のみ変動の対象とする。

根拠:固定的賃金の新設、の考え方に該当する、との立場をとる

下記の解釈について、非固定的賃金の「新設」には該当しない、としていたものを、改めて、こちらの考え方を適用する、とすることとしたそうです。(「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱に関する事例集」(P7,P8))

経緯:「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱に関する事例集」問6と問7ー2のどちらを取るのか?年金事務所内で回答が分かれていた


前回記事公開のあと、時間外労働60時間超の割増賃金率変更の対応について、「固定給変動月」をどことみるか?という点について、「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱に関する事例集」の解釈をめぐって、実は日本年金機構の本部⇒各年金事務所に、異なる2つの回答が出ていたことがわかりました。

【2022秋】上記資料の問7-2の考え方を取る
【2023.2】時間外手当そのものは以前からあったものであるから非固定的賃金の「新設」には該当しない。よって上記資料問7-2は該当しない。固定給変動月については同文書の問6の解釈を適用にて、現実に50%での時間外手当が初めて支給された月を固定給変動月とする

これに対して、2023.2の回答はあまりに現実的でないという声が上がり、内部で再検討した結果、再度問7-2の考え方を取るよう再回答が出されたとのこと。

今後はさすがに上記の運用で回答統一されることでしょう。

なお、これについては組織内部の回答であり、公の場所での公表予定はないとのこと。うーん、困ったものです。公表ぷりーずです。

今回の記事公開について

知らぬこととはいえ、結果的に確定でない情報だったことで、振り回してしまうことになってしまった方もいらっしゃるかもしれず、その点については反省しています。

通常私は、公表されていない情報(内部回答、○〇役所の○〇さん情報、など)については公の場では発言しないことにしています。

なぜなら、確定情報とならなくなる可能性があるからです。ソースを確認できない情報はほんの少しのニュアンスの違いで伝言ゲームになる可能性があります。内部回答、というものについても現物を見ない限りは「伝聞」でしかありませんので。役所の方が嘘をついているこということではないですが、完璧な人なんていませんし、こちら側の質問力や理解力の問題だったりすることもあります。

しかしながら、今回の場合は、複数の年金事務所に確認をとったところや話の内容から、上層部からの回答が示されている、ということまでは確実のようだな、と。

であれば、この「非固定的賃金の新設には該当しない」(問7ー2は該当しない、ずっと追いかける)、という部分について、私たちがいくら運用上の解釈の是非を論じても、役所が「これは該当しない」との立場で決定してしまうのであれば従わなければならないことになります。であれば「それはやめようよ」という声を上げておきたかった、という気持ちがありました。

今回修正としていただいた回答も、組織内部の回答であり、正式にアナウンスされているものではありません。ならまた変わる可能性がある???さすがにそれはもうないと思います。これまでの経緯等からするとこれで落ち着くのではないかなあと考えています。

ということで、結果的には、大変なことにならなくて、現実的なところに落ち着きそうで本当に良かったです。

最近問い合わせた方の中には、「ずっと追いかける」との回答を受けている方もいらっしゃると思います。本件につき、内部回答ではなく正式なアナウンスが出されることを切に望みます。

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