ニル・アドミラリの天秤 帝都幻惑奇譚―プレイレポート
現在、緊急事態宣言が解除されたとはいえ、予断を許さない状況がつづいています。しばらく引きこもりを満喫すべく心構えと積みゲーの準備万端な、カリンと申します。
バスタフェをスマホ版で遊んでからというもの、手軽にゲームを遊び手軽にスクショができる環境がだいぶ気にいったため、スマホでお手軽に遊べるアプリを探しておりまして。
ちょうど、ニルアドスタッフの最新作であるオラソワが話題になっていた頃だったので、「オラソワの前に遊んでおくべきかな!」と、ニルアドを手に取りました。
このノートは、プレイ当時にこんなことを思いながら遊んでいたんだなっていうのを後日読み返すことを目的とした備忘録です。
★ ニル・アドミラリの天秤 帝都幻惑綺譚 for iOS & Android
2019年12月17日にオトメイトから発売された買い切りのアプリです。
また、ニルアドは本編とFDとセットになったSwitch版が発売されているので、プラットフォームにこだわりがない場合や、お得に遊ぶ場合はSwitch版が良いと思います。
★ ニル・アドミラリの天秤 色ドリ撫子
2018年9月20日にオトメイトから発売されたSwitchのソフトです。
※これ以降のノートは、ゲーム本編のネタバレを多く含んでいる内容となっています。ゲーム本編未プレイの方、未クリアの方が読む際は、予めご了承ください。
★ 全体的な所感
◎「行道選択」の機能が神すぎませんか。このチャプターでどのエンドのフラグが立つかが分かるし、このまま進むとどっちのエンドに行くのかがわかるので、エンドを集めるのも全然苦じゃなかったです。
◎「ちょっとすごい見た目」って言われて想像できる範囲を遥かに超えたサブキャラクターの個性がやばくないですか。サブキャラに力を入れているゲームは世界観がしっかりしているので安心だと思っているのでこの時点で満点です。
◎物語の序盤でツグミちゃんは一部のキャラを名前で呼び始めるものの、何故かツグミちゃんのことは栞さん含めて久世さん呼びである。みんなわりと名前で呼び合っているのに……寂しい。
★ 鵜飼昌悟さん
手探り状態で始めた鵜飼さん。せっかく同じ家にいるのに、ルート以外だと活躍の場がない鵜飼さん。
ルート中だとフクロウのみんなともわりと交流があるので、ちょっと寂しかった記憶があります。
鵜飼さんルートをやっていると、ツグミちゃんは鵜飼さんにとって愛情をくれるお母さんのように思っていたんじゃないかな説が自分の中にありまして。
選択肢の中でも、ダメなことはダメって教えた方が良いし、一部を除いて心配してあげた方が好感度があがることから、もしかして鵜飼さんはお母さんからの愛情をもって育てられなかったためにあんなに捻くれてしまったのではないかと、心配していたくらいです。
そして、上記の「一部を除いた選択の『一部』」が、心配するだけじゃなく鵜飼さんを信じて尾崎さんにお任せするという選択だったので、その辺りからすでに鵜飼さんはツグミちゃんを「自分を気にかけてくれる人間」から「好きな女の子」として見ていたんじゃないかなと思うと、鵜飼さんに「ツグミちゃんに惚れている男はごまんといるぞ」とせっつきたくなりますね。観測できているだけで二人ですけど。
それでも、自分一人で格好をつけるという見栄を張ったおかげで大失敗するわけですが、ツグミちゃんに躰で慰めてもらうっていうところをみて「なるほどな??」とニルアドの方向性を理解した感じです。 個人的には、事件が解決して、告白して想いが通じ合って、その後のエピソードとかいっぱい描いてくれても良いんだよと思うのですが……障害や事件が解決した鵜飼さんとツグミちゃんの未来が楽しみすぎてですね……!!
鵜飼さんと一緒にキッチンに立つイベントが大好きだったので、将来は大きな家に二人で住んで、たくさんの子どもに囲まれながら笑いの絶えない家になってくれたら最高です。
あと鵜飼さんの登場と一緒に執事さんが出てきたので、「なるほど、この執事はお母さんから愛情をもらえずに育った鵜飼さんを、ダメな人間になると理解していながら放置していた黒幕だな!!」とか思っていたのですが、ルート中にすごく真摯に鵜飼さんに向き合っていたので、だんだん誤解していて申し訳ないなと罪悪感を覚えたりなどしていました。
見直した瞬間にこの展開はずるくないですか??
ところで、バッドエンドは鵜飼さんの命があったままのほうが絶望的に希望できるんじゃないかなどともごもご。
★ 星川翡翠さん
巣箱が直っていたので、このルートでも鵜飼さんが直してくれたのかなと思っていたのですが、まさかの翡翠さんがぱぱっと直してくれました。
星川さんのルートでめちゃめちゃ好きなセリフが
大丈夫です。僕は貴女を怪我したりはしない
貴女は誰も好きにならないでください
ってところでして!!
女性のことが嫌いだと言っているのにツグミちゃんに対する態度はどう見ても好意的なものにしか思えないし、この時点でだいぶテンションが上がっていたと思います。
それにしても星川さん本当に本当に顔が良くてずるいんですよね。彼がツグミちゃんの傍に来るきときとか、この圧倒的な顔の良さで「弟じゃないって言ってください」とかそういう片想いに留めたいのに留めきれない想いがめちゃめちゃ好きです。ありがとう星川さん。
ツグミちゃんへの想いに気付いているけれど、好きだからこそ「汚したくない」って言えるのは、もう星川さんだけでしかない。大変好きです。
だから「僕を好きになってください」ではなくて「誰も好きにならないでください」って乞うところがたまらないんだよなぁあああ。
あと、星川さんのめちゃくちゃ好きなシーンが鴻上さんのルートにあるのですが、鴉の羽を片付けるシーンで
「燃やしました全部。跡形もなく綺麗さっぱりと」
って、ここを笑顔で言ってくれるところ最高すぎませんか??
どのルートでも安心をくれる星川さんめちゃめちゃ好きです。
あと、このルートは薔子さんとけっこう交流があったのが個人的に最高ポイントです。ありがとうございました。
★ 汀紫鶴さん
「心中なんて……不幸極まりない、と」
こちら、汀先生の小説を遠ざけるツグミちゃんの気持ちを代弁した、汀先生のセリフです。
このセリフをきいた瞬間から、心中してくれるのは汀先生なんじゃないかと密かに期待しておりました。
恋愛小説を書いている理由とかめちゃめちゃ気になっていたのですが、鵜飼さんのルートで
「ただ個人的な経験から言うと、本当に愛した相手には、指一本触れることさえ躊躇われるものだよ」
っていう汀さんのセリフがあったじゃないですか。
なので、過去にドえらい大恋愛とか大失恋を経験していた枠なんじゃないかなと思っていたのですが、お話を聞く限りではお師匠さんに転向を勧められて、そのまま売れに売れたので恋愛小説を書き続けているみたいですね。
女性と見るやすぐに口説きだす性格なので、ぜっっったい女性関係でなにかあったはずなんですよね!!!!!
でもって、これも作家の性というべきなのか、ここで笹乞先生との対称がめちゃめちゃ美しいんですよね。
片や、現在大人気作家でヒタキくんを含めてファンも大勢いる著名な作家だけど、本当に書きたいから恋愛モノを書いているわけではなくマレモノを生み出すこともない作家。
片や、落ち目となっている作家で純粋なファンである鵜飼さんのみが作中で明かされているものの、笹乞さんは彼を信じず利用し、薬を使ってでもマレモノを生み出すことができた作家。
笹乞さんは汀さんを羨ましいを言っていたけど、同時に先生に言われたまま恋愛小説家に転向しても一度もマレモノを生み出せなかったことが引っかかっている汀さんという関係性が大変よかったです。
バッドエンドに、なぜ書けばマレモノになるほどの悲恋を経験してくれなかったのか不思議です……何故……。
あとめちゃめちゃ余談なんですけど、汀さんルートで栞さんが
「あの年だよ。前の前の首相が暗殺されたり、財閥の偉いのが襲われたり血生臭い事件が続いたろう」
って言っていたの、てっきり大団円とかあるのかなと思っていたんですけど特に何もなかったのが気になっていてですね……もしかして冊子とかクロユリとかでたくさん回収されるのかなと思っていたりします。過去編、いいですね。
最後に、個人的に汀さんのルートで挙げたい推しポイントとして、ツグミちゃんのドレスを汀さんのポケットマネーで購入したってところ最高に評価が高いです。ドレス差分がほしい。
★ 鴻上滉さん
スクショ見返したらことごとく四木沼さんのスクショで思わずびっくりおったまげなどという死語が飛び出しました。
これまでの鴻上さんを察するに、警察官の方が亡くなった際にめっちゃ落ち込んでいたようだったので、友人に警察関係者がいらっしゃるのかなと思っていたら、まさかの裏切り者枠にめちゃめちゃ感動しました。約束されし王道をありがとうございます!!!!!
真相を知ってから読むと、星川さんルートのセリフの意味の取り方が微妙に変わるのもおもしろいんですよね。
久世ツグミ「四木沼家の人が何故」
鴻上滉「何故なんだろうな。いつか会う機会が会ったら聞いてみれば」
尾崎隼人「おい滉、冗談でも趣味が悪いぞ」
鴻上滉「はは、ごめん。俺も興味があるからさ、つい」
このセリフ聞いたとき、鴻上さんはお金持ちに対して復讐心を持っている人だったのかなと思っていたので……今なら意味が分かってぐっときますね。
あと、すんごい些細なことなのですが、鴻上さんの中途バッドエンドがものすごく好きでして。
中途バッドエンドを見るのにおそらくいくつか方法があると思うのですが、そのうちの一つ
>共通ルートで、ツグミちゃんがこれからのフクロウとしての活動を「がんばります」を選ばずに「自信がないです」を選択する
上記の選択を採用して攻略キャラクターの中途バッドエンドを集めながら進めていました。
鴻上さんの中途バッドエンドは、四木沼さんに狙われていることがわかってから家に戻るかフクロウに残るかの二択で「家に戻る」を強制的に選んだことになるので、ものすごく納得しました。自信がないなら家に帰るよね。
あとこれもものすごくどうでもいい余談なのですが、タイトルで攻略キャラクターのシルエットが表示されるニルアドで「このセクシーな攻略対象は一体誰なんだ?」とか思っていたのですが、鴻上さんをクリアしたときに表示されたシルエットだったので、セクシーな攻略対象は鴻上さんだったようです。ぜひぜひご意見を求めたいところです。
★ 鷺澤累さん
「僕は恐らく、君に一目惚れしたんだと思う」
やばくないですか???
一目惚れは出会った瞬間から成立しても良いと思うのですが、鷺澤さんはツグミちゃんのことが気になっていることを認めて、かつそれを一目惚れだと断定せずに「だと思う」とすることで、初めての一目惚れに戸惑う様子を見せてくれたところが個人的に大変ポイントが高いです。ありがとうございます。
しかも敵側のリーダーということで、こんなところでロミジュリ展開に襲われることになるなんて最高です。本当にありがとうございますありがとうございます。
もし鷺澤さんがツグミちゃんに一目惚れをせず、カグツチのリーダーとして振る舞うならツグミちゃんを効率的に利用したり弱みにつけ込んだりするべきなのだと思うのですが、それをせずに
「決して君を支配したいわけではないのに」
っていうところですよ。最高です。カグツチのリーダーではなくツグミちゃんに惚れた一人の男として行動しているところですよ最高ですありがとうございました。
ここまで個別エンド、個別バッドエンド、中途バッドエンドは拾えたのに何が残っているのか全く理解できなくて、無駄に10周くらいやり直していたのですが、諦めて攻略読もうかなと思いながらスクショを読み返していたらこんなのがありました。
>「カグツチの同士になります」
これ、スクショを撮った当時は「ツグミちゃんがカグツチの同士になるわけないじゃないですかーーー 『フクロウの同士』一択ですからーーー スタッフさんも面白い選択肢思いつくなだーーーーーー」くらいにしか思っていなかったスクショだったのですが、探し求めているのがバッドエンドだったのでこれだ!!! と思ってやり直しました。
最高の選択肢による強制バッドでした。本当にありがとうございました。
あと、汀さんのときに願ってやまなかった心中がまさかここで読めるとは思わずに拍手喝采です。
★ 尾崎隼人さん
あまりにも男前すぎるのとあまりにもツグミちゃんを好きすぎるので、もはや尾崎さんに対して言えることは「お幸せに!!!」くらいしか残っていなかった。
ツグミちゃんをフクロウに勧誘する以前に、彼女のことが好きだと朱鷺宮さんに言っていたのは非常にポイントが高いと思います。
汀さんとかも分かっていて「奴が失恋するように祈願しておくよ」などと言っているので、尾崎さんと結ばれたツグミちゃんは、ヒタキくんにも認められて一番ハッピーになってくれるんじゃないかな?? と思うとにこにこしちゃいますね。
ヒタキくんの事件がなければ普通にツグミちゃんと結婚していたと思うのですが、尾崎さんならヒタキくんの事件があったツグミちゃんと同じように、ヒタキくんの事件がなかったツグミちゃんのことも幸せにしてくれるんじゃないかなと思うのですが、どうでしょう。もしかして、冊子とかサブテキストをもっと読めば分かりますか。
★ 隠由鷹さんについて
尾崎さんがあまりにも非の打ち所のない男すぎて、わりと隠さんに焦点が当たっていたんじゃないかなと思います。
ツグミちゃんにとって大切なワード「家族」の一員になりたいという隠さんの憧れが本当によく分かるので、ツグミちゃんやヒタキくんと同じ「家」に帰ることができるようになって「家族」になれるエンドは彼にとってはまた救いになれたなと思うと感慨深いものがあります。
「家族」だからこそ、家族の一員として隠さんをお迎えできる準備がツグミちゃんの中で整わなかった場合は、ヒタキくんがツグミちゃんを守るっていうこの紙一重感が堪らない展開ですね。
★ 四木沼喬さんと四木沼薔子さん
まさかこの二人の関係性に一番テンション上がるとは思わなかったので、ちゃんと書き残しておきます。
星川さんのルートで薔子さんがツグミちゃんに言ったセリフがこちら。
「貴女は醜いものは何もみなくていいの」
「だから貴女の目を塞いでおいたのに。穢れたものをその瞳に移してほしくなかったのに」
対して、鴻上さんのルートで、四木沼さんがツグミちゃんに言ったセリフがこちら。
「醜いものを知るからこそ……この世で何が美しいかが分かる」
この!! この違い!!!
四木沼さんが薔子さんのために用意した鳥籠はツグミちゃん曰く「慣れない」籠で、薔子さん曰くは「見てほしくない」ものだったので、四木沼さんはわざと醜いものを見せるように薔子さんを籠の中に入れていたのではないか、と勘ぐってしまうやつです。
「私は彼女を愛している。だが、血は残さなければならない」
このセリフを聞いたとき思わず気が触れそうになりました。嘘でしょ。あの鳥籠の中に薔子さんを閉じ込めているあれは愛だったの。もっと詳しく。
……からの手記です。本当にありがとうございました。推せる。
それはそれとして、四木沼さんの銃の持ち方はぜひいろんな人に見てもらいたいです。
★ 久世ヒタキくんについて
一つ目は僕を大人にしてもらいます。姉さんと同い年か、少し上でもいいです。
二つ目はお金をたくさん出してもらいます。姉さんが家の心配をしなくて済むようにです。
三つ目は、僕と姉さんが結婚できるようにしてもらいます。今の日本の法律では無理ですから。
やばくないですか????? ツグミちゃんを守るためなら、弟じゃなくて良いそうです。
いや……まず、本編開始前のツグミちゃんの世界が、ヒタキくんと滅多に家にいないお父様と使用人の皆さんしかいなかったのはわかるのですが、開始時のタイトルコール、多分ヒタキくんだったと思うのですよね……。攻略対称に混じり、かつ隠しキャラクターを差し置いてタイトルコール担当になるほど、ツグミちゃんの中では重要なポジションっていうのも相当やばい。
穿った見方になってしまうけれども、ヒタキくんが本編中にあまり出てこなかったのは、彼がいると攻略対象達とツグミちゃんとの未来が結構難しくなる可能性があるからではないだろうか、などとついつい考えてしまう。考えてしまうくらいには、ヒタキくんの存在がツグミちゃんの中で大きすぎる。素晴らしい。やばい。
さらに、ニルアド中に「選択肢を間違えたら即強制バッドエンド」がちらほらあるわけですが、攻略対象と仲を深めるに当たってぜったいに逃せない選択肢を選ぶと、即ヒタキくんが飛んできてツグミちゃんを閉じ込めるんですよね。
すごくないですか????? しかも、2つくらいあった。隠しに至っては本領を遺憾なく発揮していた。
あまりにも才能を感じるのに、観測できるヒタキくんとのエンドはほぼバッドエンド(※あるいはメリバと言えるかもしれない)しかないところが……業が深いなと思いました。彼らは二人とも、外の世界を知る必要があったということなのかな。
★ 朱鷺宮栞さんについて
「あまりにも私の言いつけを守れないようなら、あの部屋の扉と窓に外鍵をつけてでも監禁するぞ」
すき!!!!!!!
[EOF]