見出し画像

DAIROKU:AYAKASHIMORI―プレイレポート

新作ラッシュがひとまず過ぎ去り束の間の休息を過ごしております。カリンと申します。

お陰さまで、発売日に購入してから三日くらい集中して終わっていたダイロクのプレイレポートの着手が、ようやくできるようになりました。発売日が5月、だと。

このノートは、プレイ当時にこんなことを思いながら遊んでいたんだなっていうのを後日読み返すことを目的に残す備忘録です。

★ 「DAIROKU:AYAKASHIMORI」とは
通称「ダイロク」。
2020年5月28日にオトメイトが発売したNintendo Switchのソフトです。

★ 「異世界で心を繋ぐAVG」
ダイロクが掲げる“ジャンル"名。
舞台は異世界、攻略対象は、ヒロインの上司と異世界で暮らす妖――つまり、異種族間との恋愛が成り立つことがある乙女ゲームです。気になりますね。気になっちゃいますね。事前情報で公式さんはこう説明しています。

妖(アヤカシ)は、基本的に恋をしない。

……お、乙女ゲームーーーー!?
でも確かに、妖は子を成す必要がありませんもんね。(※例外もあって、鬼や狐や狸等は子を成すらしいです)

しかしです。しかしです!
ダイロクの本当の魅力は、間違いなくこの『心を繋ぐ』という部分!
ヒロインのしのちゃんは、サクラタニに暮らす妖たちを守る、新人の「妖守」。種族や立場という壁を超えて心の繋いでいくストーリーは、恋愛だけに限りません。
ダイロクは各攻略キャラクター、各ルートごとに、なんと3種類のエンディングが存在します。

異種族の彼らあるいは上司の彼と「恋愛」で心を繋ぐエンディング。

彼らとの未来を予感させる「友情」で心を繋ぐエンディング。

そして、恋情で動いたけれど、一つ違った道を歩んだために、事件の結末が異なる展開になってしまい「悲恋」になったけれども、それでも恋心を持ったまま心を繋ぐエンディング。

乙女ゲームという特性を考えれば、恋愛エンドこそがハッピーエンドで正史であるものだ、……とも考えられます。
しかし、ダイロクのエンドはフローチャートによって分岐点が定められており、恋愛エンドのいくつかの選択が異なれば、違った形で異なる事件の結末が描かれる……という。どのエンディングを見てもそれぞれ彼らとしのちゃんの「心が繋がっている」未来の可能性を感じさせられます。ありがとうダイロク。ありがとう心を繋ぐAVG。

★ カーソルを動かしたくなる効果音
突然ですが、ダイロクの魅力を語る上でもどうしても外せないポイントであると強く唱えたいのがこちら。カーソル移動SEです!
メニューの選択、名前の入力、場所の移動、選択肢の選択……決定ボタン押下時のSEとともに、あらゆる箇所で耳にするSEが、このカーソル移動時のSE。

個人的にこのカーソル移動SE、プレイしたゲームの中で頭ひとつ飛び抜けてダントツでピオフィ(※ピオ・フィオーレの晩鐘)が最っ高に気持ち良すぎて、これを超えるものは滅多に現れないだろう、と思っていました。

思っていたのですが、ダイロクはやってくれました。すごい!
ダイロクの世界にぴったりな和風世界観のBGMに見事な調和、かつ無駄と分かっていても何度も何度もついカーソルを移動したくなってしまう心地よさを伴うSEが実装されています。気持ち良さはピオフィと同じくらい、それでいて世界観とすら見事に調和していて、まるで自分こそが世界観を形成させている一つだと思わせてくる、ピオフィの次元を遥かに超える気持ちよさ!!

オトメイトさん……もしかして腕のいいSEクリエイターを起用してくれたのかしら。ありがとうオトメイトさんありがとう。

以上を、カーソルSE首位がダイロクになったことのご報告とさせていただきます。みなさんもぜひ、ダイロクのカーソル移動SEの感動を味わってください。

★ サブキャラクターが織り成す【異世界】のリアリティ
仮想の世界である「サクラタニ」ですが、その仮想世界を如何に現実に『ありそう』だと、説得力を伴ってみせているところこそがダイロクの魅力の一つ。
説得力が強いのです。サクラタニにあるもの、暮らす人、過ごす生活、ぜんぶ好きになってしまう。

現世で暮らしていたしのちゃんと一緒に、初めて足を踏み入れる隠世であるサクラタニを少しずつ歩いていくことで(※しかし道はないので時には乗り物に乗って)、しのちゃんの視点と思考を介して、どういった場所なのかをプレイヤーも見て感じることができるようになるところ、ワクワクします。
妖守としてサクラタニに接していくしのちゃんを通して、次第にサクラタニに愛着が湧いてくる……という、最高の新世界体験! ゲームを一通り終えたプレイヤーは、きっとみんな「サクラタニに行きたい!」と旅行雑誌を捲っていること間違いなしです。(たぶん!)

★ 辞書機能の内容を試される新人妖守
オトメイトさん等、テキスト主体のゲームに最近によく見られる『辞書』機能ですが、もちろんダイロクにも搭載されています。
この項目以前ですでに「妖守」「サクラタニ」や「隠世」など、ダイロク専門用語オンパレードですので、きっとこの辞書機能とダイロクの相性は抜群であるということが、何となく頷いてもらえるんじゃないかと思っています。

抜群の相性をもつこの機能ですが、実は『現在表示されているテキストから辞書に記載されている用語の意味をしゅぱっと参照する』といういわゆるショートカット機能はなんと未実装。
そのため、辞書に出てくる単語と遭遇した場合は、メニューボタンから辞書を開き、索引からその言葉の意味を調べる必要があります。……本当に? 実はボタンのショートカットはないけど、タップしたら参照できたりしないかな? もしかしたら今頃はアップデートで直っているかもしれません。

そうでなければきっと、この機能は我々新人妖守となったプレイヤーたちは、瀬見さんに試されている機能に違いないでしょう。

 *

ネタバレを含めない全体的な所感としては、こんな感じです。

※以降のノートは、ゲーム本編のネタバレを多く含んでいる内容となっています。ゲーム本編未プレイの方、未クリアの方が読む際は、予めご了承ください。

■ 白月さんを振り返って

ダイロクへの期待ポイントといえば、なんと言っても(※一部を除く)異種属間の恋愛描写。
そして、異種属間の二人の間にある関係性としておいしく思う設定の一つが「主従関係を超えた主従関係」かと思われます。なるほどおいしい!!

白月さんはヒトではなく妖で、それもわりと有名な「狐」の妖。妖狐といえば、イメージだと賢く変化が得意で人を騙したりする、いわゆる人とは相容れない存在である、というもの。
しかし、しのちゃんが出会った白月さんといえば人懐っこく、かつキクツネの統として妖たちに慕われている様子が見られます。

さて、序盤から幾度となく白月さんとしのちゃんの間にあった「わしを式にするか?」というやりとりですが、毎回それに「NO!」を返し続けるしのちゃんへの好感度が上がるのが白月さん。
そして、白月さんのお昼寝に付き合うよりも真面目にお仕事をする選択肢の方が好感度が上がるのが白月さん。
不穏な気配を感じるものの、しのちゃんは「白月さんは笑っているように見えて笑っていない」ことが気になっていくという、いつの間にか惹かれていることが徐々に明かされていく展開に……そうですプレイヤーが白月さんのところにばかり足を運びましたし! 新人妖守としてサクラタニに慣れていくのと同時に少しずつ少しずつ進んでいくこの速度が……日常の中に埋もれている宝物を発掘していくような感覚。

平和で愛しいサクラタニの日常から、いつの間にか気になっていた白月さんにばかり会いにいき、だんだんとしのちゃんが攻略キャラクターへと気持ちがシフトしていく丁寧な描写も、ダイロクの推しポイントですよね!!

恋愛エンドでは「傍にいたいから主従契約を続ける」という、しのちゃんへの想いが主従関係を超えているというところがぐっとくるやつですね。
白月さんが抱えていた主を持つことへのトラウマが、しのちゃんへの想いによって心情的にも解決するっていうのが本当に……愛は妖を救う……。

「俺のこの想いは、永久にお前のものだから」

という、しのちゃんへの想いを吐露してくれた白月さんですが、人間よりもずっとずっと寿命が長い妖であるのに『永久に』という言葉のチョイスが完全にヒットです。本当にありがとうございました!!!

人間のことを信じたいという気持ちが人間を信じることを怯えさせるというところが、本来人間のことが好きだという部分の裏返しであり、人間を信じたいという優しさなのかもしれないなと、しのちゃんの隣で幸せそうにしている白月さんを見ると、そういう意味で似たもの同士なのかなと感じます。バッドエンドはまさに、お互いがお互いを想って遠慮してしまったが故のエンドというのがまた、これが絆なのかな。

白しのちゃんは恋愛エンドに入ると、人を化かす狐さんとは思えないほど、しのちゃんのこと「大好き!」な気持ちを真っ直ぐに伝えてくれるところが! 本能に依るものではない、白月さん自身の愛の形なんだよなぁ……。

しのちゃんの傍で、今度こそ愛を知って愛し愛された日常を手に入れてほしいですね!!!

余談ですが、白月さんのルートなのに、まだプレイしてもいない比良さんの株が上がった瞬間がありまして。白月さんにアドバイスするこちらのセリフです。

「守りたいのなら傍にいろ」

これ!! これですこれですこれです!!!
比良さん、口では面倒だと言っているけれど、高尾さんのいう通り本当にヤバくなったらちゃんと手を出す統だし、必要なことはちゃんと口にする妖なのだと悟って拝んだ瞬間でした。
※なお、何度でも申し上げますが、この時点では比良さんルート未プレイです。

■ 比良さんを振り返って

「あいつは、同じときを共に生きるものの理解を必要としてる」
「お前を半端に近づけて――結果はこれだ。余計に傷つけることになった」

白月さんがなんの躊躇いもなく『永久に想う』という愛の告白をした一方で、永く生きてきたために永遠に怯える妖という異種属間恋愛のまた違ったおいしいところを総取りしてくれたのが比良さんでしたね。最高です。

怠惰になったのも、理解されたいのも、結局は人間のことが大好きで大好きで、大好きだから別れが寂しかったっていうところが本当にもう。比良さんの優しさで、かつ比良さんの魅力でしたね。

ルートでは、サクラタニという平和で愛しい世界に真っ向から対立する勢力とぶつかることになるので、白月さんのルートを経てサクラタニに対する愛着を持って臨めたのは、大変正解でした。

天狗である比良さんとは同じときを生きることができない人間のしのちゃんですが、

「お互いが幸せになる答えを二人で見つけましょうよ」

っていう、違いを受け入れた上で比良さんのことを受け入れたいっていうところが大変素晴らしいです。
違うからこそ、その違いを尊重しようというしのちゃんの選択があまりにも好きだし、そんなしのちゃんを好きになって、いつかしのちゃんと「家族」になる日が来たら、本当に本当に比良さんの幸せを願わずにはいられない……。

最後に。

「お前が救われるなら……どんな末路が待っていてもよかった。むしろそれを望んでいた。私はもう疲れたんだ」

比良さんの悲恋エンドルートのセリフです。
いつも怠惰な比良さんが、声を上げてしのちゃんに詰め寄るシーンです。

【妖守】は、妖を守るためのお仕事です。
しのちゃんはしのちゃんが守りたい妖を、それこそどんな末路が待っていても守りたかった。妖守としてのお仕事は失格かもしれませんが、秋津しのの心のままに、妖守を全うしたかと思います。

比良さんの気持ちを尊重するのであれば比良さんに救われるという選択もありましたが、しのちゃんは自分が守りたい気持ちを優先して、比良さんに「自由に生きてほしい」と告げたのです。しのちゃんは、比良さんの命を守りました。

そんなしのちゃんの元に羽ばたいて近づいてきた比良さんの心境は、果たしてどんなものだったでしょうか。
しのちゃんは比良さんの気持ちを捻じ曲げて比良さんを助けた――もしも比良さんがしのちゃんの気持ちをそう受け取っていれば、しのちゃんのその気持ちを、自分だって踏みにじってもいい。やりたいようにやってやる……なんて。
誰もが悪くないけれど、通じ合えない想いの形になってしまったのかもしれない、と。そんな可能性を考えさせられます。

■ 悪虂王さんを振り返って

初めて喋ってもらったとき、めちゃめちゃおっとりとしている鈴木さんだーーなと思っていました。
悪虂さんの真骨頂は、間違いなく――変身後です!! 震えました。声優さんありがとうございます。

悪虂さんのルートではもう、しのちゃんが恋心を自覚するまでの歩みと、自覚してからの恋する乙女の様子と、何より恋心を自覚してからの「好きな人を守りたい」という恋がしのちゃんを強くするってところがツボすぎました。みんな大好きですよねわかります自分もです。
しのちゃん、悪虂さんと離れているときに、メールを介して悪虂さんのことを考えて恋心に気づくのがめちゃめちゃかわいすぎる。「いつも」気に掛けているって大変良いですね。いつもあなたのことを考えているのってやつですよね。恋ですね。恋です。

そんな恋心を自覚してからも、いつも通りに過ごしていたしのちゃんに明かされる、これです。

「彼女を愛していると気づいたんです」
「想い人が人間なのだから、嫌いになどなれそうもありません」

というですね。恋愛エンド悪虂さんの抱える問題が解決して、しかも解決した理由が想い人のしのさんのおかげですっていうところがですね……なんだこの公開告白はびっくりするじゃないですか大変ありがとうございました。

それにしても、元人間(※だと推測している)である大柄の鬼が、小柄の人間の女の子を抱える構図があまりにもあまりにもあまりにも最高すぎる。不良と小動物か?
サクラタニで怒らせたら怖い人トップ5にいる悪虂さんにはぜひ、しのちゃんとラブラブ隠居後にうっかりしのちゃん関連で激おこしてしまう平和な大事件を起こしてほしい気持ちです。

あとですね。個人的に、自分が持っている対の持ち物を、自分の女に渡すっていうシチュエーションが好き過ぎてハナマルで満点です。

■ 瀬見季継さんを振り返って

このですね。一握りの人間のみが許された、天賦の才を持つ人間のですね。懐に入れた人間のことは何よりもぜったいに大事にする線引きをする属性にですね。大変弱いんですよねぇ。ええ、ええ。わかりますとも。

ダイロクの攻略キャラクターの中で一人異種属ではないキャラクターでもあり、パッケージを飾るメインヒーローでもあり、もうばっちり興味津々ってやつです。期待値が高い!!!

天才属性がしのちゃんにコロっと落ちる様子が窺えるかなとか思っていましたが、まさかのこれです。

「君も俺のこと好きなんだろ?」

っていうですね!!! いやーーー本当に部下をよく見ていますね!!! どうしてそんなに自信に満ちあふれているのか。三度見しました。何度見ても普段と同じ糸目顔でした。ありがとうございます。非の打ち所がない。そう思わせておきながら、将来はしのちゃんの尻に敷かれる未来が見えているところがとてもずるい。

しのちゃんの方も、こういうちょっと捻くれた上司だと分かっているので、どのルートでもこう言った読み合いを楽しんでいる節が見られるのは本当にかわいいと思います。

ところで。
瀬見さんの魅力として特筆しておきたい点のもう一つが、「しのちゃんの上司である」「瀬見班の班長である」という点ではないでしょうか。

「察しが良いのは俺が君たちのことを気にかけているからだよ」

これです。このセリフッ!!!

面倒臭い人だし誤解されやすい人ですけど、それが平凡な毎日を過ごしていれば当たり前に手に入るはずの日常や愛が手に入らずに育った天才の系譜だと思えば……。
一度自分が認めて懐に入れた人間や妖に対して面倒見が良い部分というのは、瀬見さんが生きていく上で特に必要がないからと削ぎ落としていた本来持っているはずの優しさが、ここぞとばかりに発揮されているんだなって……。恋愛エンドに限らず、瀬見さんとしのちゃんや八雲さんたちとの間に育まれていく絆の深さが、ぐっと好きです。

■ 湫さんを振り返って

ここまで湫さんとまったくちっとも会話をしていなかったのと、彼の隣にいつも大蛇さんがいらっしゃるので、本当にしのちゃんと湫さんが恋仲になるのか、最初は不安との戦いでした。

そんななか、湫さんルートで限りなくテンションが上がったセリフが、こちらです。

「二人は浅からぬ縁があるのかもしれないね」

ミステリアスかつ真相との大変良いですね。浅からぬ縁とかもっとください。気になり過ぎてぐいぐい進んでいたら、いつのまにかしのちゃんと湫さんが仲良くなっていたのが印象的でした。

湫さんの恋愛エンドは、とにかく背伸びしない『等身大の恋』っていうところが、大変好感ポイントが高いですよね!
湫さんの信じていた過去と傍にいてくれた大蛇さんしか知らなかったからこそ見え難かった湫さんの長所が、しのちゃんと出逢ったことで、彼の本来の優しさがしのちゃんに感化される形で広がっていったんじゃないかなっていう……一人の男の成長を見た、という感じです。
しのちゃんはしのちゃんで、湫さんと仲良くなってからは、責任感が強く真面目に仕事をするというところが目立っていたのが、すごく柔らかくなって豊かな表情を見せるようになったな、としみじみと思います。二人が幸せそうでとても嬉しい。

湫さんといえばもう一つ、衝撃だったのは悲恋エンドだったのではないでしょうか。
妖や妖守を避け続けているためにはなかなか見え難い湫さんの優しさは、間違いなく彼の「家族」である大蛇さんに向いているものだし、傍にずっと大蛇さんがいたからこそ安心してやりたいことができたと、思います。

しかし大蛇さんがいなくなることで――それも『自分のせいだ』という罪の意識をもつことで、湫さんは今までずっと知らなかった孤独を知ることになるということが、もう既に示唆されているんですよね。……しのちゃんは人間だから、このままでは湫さんよりも早く死んでしまうことだけが確定している未来なのである……。

彼が孤独から逃れるためには、家族が増えること、もしくはしのちゃんが死なないことでしょうか。妖は子を成す必要がないそうですが、蛇妖は子どもを作れるのでしょうか……一応、蛇さんは卵を生むそうなのですけど、蛇妖さんもそうなのかな。

ところで湫さん本当に人と交わることで色々な側面を見せてくれる素晴らしい妖のはずなのですが、『PRIVATE FILES』の中にある『湫について』が、ほぼ全員似たような話しか聞けなかったのが悔しすぎるので続編を……ぜひ続編をよろしくお願いします……次の脅威は湫さんを含めて全妖一丸となって戦いましょう……。

■ 大団円を振り返って

ダイロクの魅力の一つといえば、プレイしていく過程で我々にとっても愛着の湧いたこのサクラタニを「これまで妖守として培ってきたキズナのチカラで、一致団結して守るッ!」……という、この王道的エンドである、と手に汗握って力説してしまいます。

もしこの大団円が、もし乙女ゲームによく求められる「みんながしのちゃんを守るッ!」みたいなストーリーだったら、しのちゃんが【妖守】であることの意義を見失いそうになりますし……!!!

しのちゃんとの交流が主に描かれる妖たちは、しのちゃんとのキズナを深める妖や上司であり、また彼らは区画を統べる『統』としての顔や妖守として共に働く仲間でもあるわけです。
妖守であるしのちゃんと、サクラタニを守りたいという妖守と妖が力を合わせるという、大団円だからこそ横と横の繋がりが見られるのが最高でしたね……続編では、ぜひ蛇妖とも力を合わせてほぼ全ての妖と妖守の心が一つになる展開を……ください……。

■ 晧鵺さん

「主よ……ワシを、撫でるか?」

撫でるッ!!!!!!!!!!!!!!!!

■ 常盤室長と玉藻姉さん

「そこまで気を許すのは初代か室長くらいだ」

これ!!!!!
ちょっと、これ、ちょっと小一時間何があったのか……過去編を、過去編をください……サクラタニをめぐるツアーという名目のファンディスクと、彼らが大団円を乗り越えた後の新たな脅威にサクラタニ皆で立ち向かう続編を……続編をください……。

玉藻さんが初代にどれだけの想いがあったのかは大団円で伝えられた通りになると思いますが、しかし初代と同じくらいに気を許した常盤室長、いったいどんなレジェンドなんです!?!?
しのちゃんへの想いは勿論、しのちゃん自身の人徳と、そして初代の子孫だからというのはあると思うのですが、常盤室長はその初代フィルターを持っていないのに玉藻姉さんの心に迫ったということですよね!? い、いったい……何が……。

■ 玉藻姉さんと金華ちゃんとしのちゃん

突然ですが、乙女ゲームで女の子の友情が描かれている作品が好きです。
しのちゃんにとって攻略対象たちは確かに友情以上ではありますが、恋愛に発展する可能性がある以上、彼らに関する悩みを素直に打ち明けられて、時に励まされたり、時に叱られたり、恋愛以外の逃げ場があるというのは、安心できる場所の一つであるはずです。

前述の通り、玉藻姉さんは「初代」のことがあってしのちゃんを気に掛けてくれるところがまさに頼りになる姉さんで、しのちゃんはとても安心できると思います。 が、いつでも真っ直ぐに、裏表なくしのちゃんを「親友にゃ!」と言い切ってくれる金華ちゃんは、責任感が強くて抱え込みがちなしのちゃんの心を、幾度となく助けてくれたのではないでしょうか……もうこの年も違う種族も違う女子会が、あまりにも丁寧で最高でした……本当に、ダイロクは世界観をつくるのが最高に上手すぎる……ありがとうございますありがとうございます。

■ 金華ちゃんと八雲さん

これは……これは、触れておかなければならない部分ではないでしょうか。
ダイロクをプレイ中にどれだけ八雲さんと金華ちゃんに心を奪われていたかといえば、もう出てくる度にという答えになるので、どうしても残しておきたい部分だけピックアップして締めます。

「おれは金華ちゃんたちのことを信頼しています。一緒に秋津さんたちを守りましょう」

大団円終盤にある、八雲さんのセリフです。

【妖守】は、妖を守ることがお勤めになります。
寝ても覚めても金華ちゃんのことが大好きな八雲さんだって、お仕事上、そしてお仕事を抜きにしても、金華ちゃんを守りたいと、心から願っているはずです。
なので本来この場面では、ナカクニが妖守の領域であるということを理由にして、しのちゃんを守りにきたという金華ちゃんを遠ざけることが、おそらく妖守としての【守る】になるはずです。

ところが、八雲さんはそうしませんでした。
金華ちゃんの、しのちゃんのことを大好きだという気持ち。八雲さんは、自分の「金華ちゃんを守りたい」という気持ちよりも、金華ちゃんの気持ちそのものを守ったのです……本当にありがとうございます……。

[EOF]