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Cendrillon palikA―プレイレポート

最近、家の押し入れをデスクに改良し終えましたので、このノート記事が新しい押し入れデスク発第一号となる記念の記事にあたります。カリンと申します。

このノートは、プレイ当時にこんなことを思いながら遊んでいたんだなっていうのを後日読み返すことを目的に残している備忘録です。

★ 「Cendrillon palikA」とは

通称「パリカ」。
2018年10月25日にオトメイトから発売された Nintendo Switch のソフトです。

……最後の「A」が、大文字の「A」でガラスの靴を表しているということに、最近になって気付きました。

▼ 公式サイト

オトメイトさん初のSwitch新作タイトルとして、華々しくデビューしたソフトだったのでした。
Switch大航海時代の世が始まろうとしている頃、当時の自分はいったい何をしていたのだろうか……と、Twitterのログを漁ったところ、どうやらvitaでピオフィを始めて乙女ゲームに出戻っていた頃のようです。なるほど時代に乗り遅れている。

★ 総勢7名の攻略キャラクターたちが全員「泣く」ゲーム

しかも、ただ泣き顔スチルが1枚ずつ入っていますよーとかいうレベルではなく、各キャラクター毎に【涙のテーマ】が決まっているというくらいの、涙に対する気合いの入れっぷりです。
パリカには攻略対象キャラクターが7人いるので、単純計算で7種類の涙が見られるということになりますね。7種類の涙とは。
『嬉し泣き』や『悔し泣き』という言葉があるので、各キャラクターごとに異なる感情を見せてくれるのだろうか……と思いきや、公式Twitterで蓋を開けてみればそれどころじゃないテーマが公開されていました。すごすぎる。

また、乙女ゲームの感想とは直接関係のないことですが、このコンセプトを聞いたときに、「涙を見せる男性を否定的に見る」という過去に当然のように根付いていた価値観が、きちんと過去のものになってきたなということを実感しました。ゲームとして広く公開できる世の中になってよかった。泣きたいときは子どもでも大人でも泣いちゃいますよね。
好きな女の子に泣き顔を見せてくれるなんてご馳走すぎる。

 *

ネタバレを含めない全体的な所感としては、こんな感じです。

※以降のノートは、ゲーム本編のネタバレが含まれます。ゲーム本編未プレイの方、未クリアの方が読む際は、予めご了承ください。

■ 黒禰=スピネルを振り返って

【涙淵】。
『あふれる涙の思いの深さを淵に例えた語』。
晩歌さんという『囚われたまま進むことを拒んでいた過去』と、玻ヰ璃ちゃんという『ありのまま貪欲に進んでいく未来』を、『溢れた涙』に例えて流れていくという描写が、大変美しかったです。パリカ楽しい。

 *

【ガラスの靴】というキーワードを引っさげてやってきたサンドリヨンパリカというタイトルと、キャラクター紹介にある黒禰さんの「ガラス職人」というキーワード。
「決壊したように溢した涙」ということで、ゲームを始める前は透京のガラスに対して何か罪悪感のようなものがあるのかな? と思いながら遊び始めました。全然違いましたね。

透京から目を背け、心を閉ざしていた黒禰さんが、めげずに関わり続けようとする玻ヰ璃ちゃんに出会うことで次第に本来の優しさをみせるようになっていく過程が好きです。
全てを諦めることで目の前の現実から目を背け続けることを許されていた黒禰さんが、彼本来の顔がちょっとしたところで見えてくるイベントが随所に散りばめられているの良いですね!

そしてその結果、一線を引いていた関係からこうなるわけです。

 黒禰「またアンタ?」
玻ヰ璃「はい! いつものアンタですよ」

という、このやり取りですよ。玻ヰ璃ちゃんの努力によって、次第に黒禰さんの日常に玻ヰ璃ちゃんが溶け込んでいく様子がわかってしまうこのやり取りです。

また、黒禰ルートの印象といえば、ずばり「玻ヰ璃ちゃんの頬っぺた」です。あの数々のスチルを見るたびに黒禰さんは玻ヰ璃ちゃんの頬っぺたが好きなのだろうかと我々が気に掛けていくところで、後に

黒禰「でも、こんなに柔らかいアンタも固く冷たいガラスになるかもしれないんだよね」

に繋がってしまうところが、ガラス職人であり透京のトラウマを抱えている男を見事的確に表現していたと思います。
……と、いいますか。まさかこんな重たい部分に繋がるなんて想像すらしていなくてですね。パリカ怖すぎる。

そして個人的な一押しイベントはこちらです。

黒禰「バラバラにしてちゃんと味付けしたら美味しいかもしれないし」

黒禰「ちゃんと骨まで煮込むし」

これですよずるくないですか?
トラウマのど直球ストレートである『透京の女』だからと身構えて素っ気ない態度を取るようにして線を引くことを心掛けていた黒禰さん、という表向きの皮が剥がれて素の笑顔が垣間見える一シーン。玻ヰ璃ちゃんを通して見ている我々プレイヤーにも隠れていた部分ですよ。
蓋を開けてみれば、玻ヰ璃ちゃんのことを骨まで無駄にせずに胃に収めてくれるくらいには気に入ってくれていたというところが、美味しいお菓子を作ってしまえる彼なりの愛情表現だなと思うわけです。

……そして、このイベントに呼応するようにして存在する哀哭エンドですよ。

玻ヰ璃「もし私が死んでガラスとなっても、捨てないでくださいね」
玻ヰ璃「砕いて溶かして、アクセサリーとして作り直してください」

これ、『玻ヰ璃ちゃんのことを骨まで溶かして無駄にしない』と『ガラスに溶かして一切を残さず身につけてほしい』って、それぞれ発言者が違うだけで同じことを言っていませんか???
そして、黒禰さんは【好意を持っている人の言うことを純粋に叶えたいと思ってしまう男】なので、ほいほい約束までしてしまうわけです。黒禰さんの愛情表現を理解している玻ヰ璃ちゃんにしかできないおねだりだったなと思ってしまうわけですが、実際のところ、玻ヰ璃ちゃんがやっていることってあんなに批難していた【黒禰さんの純粋さに付け込んでお友達をやっていた某さん】と方向性は同じなのですよね。

あと余談ですが、最初に辿り着いたエンディングは哀哭エンドの方でした。最後の選択、間違えました。

ぜひパリカではFDを出してもらい、ぜひぜひお二人で黒禰さんのご実家に伺っていただき、ぜひともぜひ二人いるお姉さんとお母さんの天下である黒禰さんのご実家でのご様子を拝見したいと願っておりますどうぞよろしくお願いします……。

■ 紫鳶=クリノクロアを振り返って

【残涙】。
紫鳶さんの涙を見たとき、彼は何度記憶を失うことになったとしても、きっと心根から優しいひとになるなのだろうなと確信しました。
優しすぎるからこそ、置いてきたものや残してしまったものに対しても、決別できずに想いを寄せすぎてしまうのかもしれない。もちろん、そこが紫鳶さんの魅力です。

 *

ビジュアルを見た第一印象は「これはきっと玻ヰ璃ちゃんにガラスの靴を履かせたい王子様だ!」と思っていたのですが、まさかの眼帯×メインヒーローという組み合わせにかなり衝撃を受けていました。
紫鳶さんといえば、パリカ二大コミュ障である憂漣さんと黒禰さんについついお世話を焼いちゃうような、優しい王子様ポジションです。
大人しく優しいお兄さんに収まるのかと思いながらも、しかしルートは「でも彼にも眼帯をしなければならない過去があり、理由があるわけで……?」というメインヒーロー像としてちぐはぐな印象を抱えたまま進んでいくわけです。これらの要素が【記憶喪失】で繋がっているのがすごく面白い。

また、王子様ポジションで実際にも王族であったとはいえ、だからこそ紫鳶さんは攻略キャラクターの中でも随一の『日常の生活を尊ぶ人』だったという、特別感がありながらも地に足をつけて生活してくれるというギャップもポイントが高い……。

そして何より、お泊まりの王道、彼シャツイベントの投入を紫鳶さんでやってくれるところですよ。メインヒーローとしての貫禄を感じる……やはりお泊まりといえば彼シャツですありがとうございます。

そう考えると、シンデレラがモチーフのパリカ、最初は王子様とお姫様の物語かと思っていたのですが、蓋を開けてみれば王子様に掛けられた呪いを解呪するシンデレラだったので、これを確信した時点で、すでにパリカは最高だなぁと思いました。小学生の感想にしかなっていないな。

ところで、記憶喪失になる前から紫鳶さんが持っていたあの円盤がですね……未だにちゃんと理解していないので、もしかしたら中途バッドエンドの回収が重要なのかもしれません。
『目的を忘れないように』ということですが、当時、歌紫歌さんが呪いを掛けた本人だということは王族の中では理解していたような記述があったので、責任を取って王族は呪いを解呪する……みたいなことなのかしら。でも王族に対して描写なかったしなぁ。歌紫歌さんが持っているのなら『目的』の意味が違ってくるのですが。

あとは紫鳶ルートで印象的だったこちらのセリフ。
玻ヰ璃ちゃんと夕暮れ時の透京を訪れて一緒に街の景色を見ているシーンです。

紫鳶「できることなら、いつまでもこの光景を眺めていたいって思うよ」

パリカ、怖くないですか?
これを言わせておきながら、紫鳶さんの哀哭エンドで『時間を止める』っていう業を持ってくるところですよ。
紫鳶さんはただ、何事もない平和な日常を送りたかっただけなのに……!!!

■ 憂漣=ミュラーを振り返って

【堕涙】。
涙は必ずしも感情や思考と結びついているのではなく、理由がなく流れてしまうものだったと気付かされました。恋という感情は無用だと遠ざけていた憂漣さんらしい涙でしたね。
不思議を解き明かすための頭では理解ができないものの、根っこにある感情の部分では。涙を流すっていうのが、嘘偽りがない純粋な部分で流れた涙だったなと思います。

 *

憂漣ルートは……例えるなら死角から奇襲を受けたという印象でした。
どこからどこまでが恋で、感情に名前をつけて一括りにまとめる必要があるのか。

憂漣ルートで、いわゆる普通とか一般的と呼ばれる分類で『恋してる』というのを衿栖ちゃんが表しているのに対して、玻ヰ璃ちゃんと憂漣さんは一般的や普通と呼ばれる分類には囚われない形で『恋してる』な、と。

玻ヰ璃ちゃんや他の大多数の人たちは、恋という形の見えない感情の証明に、誰が見ても明らかであるよう確固たる形として『告白する』『承認する』『恋人と認め合う』というプロセスを経ていくことで証明しあい満たされていくのに対して、憂漣さんにとっては第三者からどう見られるかはまったく重要ではなかったので、この手順に一切の価値を見出していないんですよね。その結果があのケンカであり、そして憂漣さんなりの告白になったのか、と。
彼にとって重要なのは玻ヰ璃ちゃんにずっと隣にいてもらうことだったので、そのための手段として『恋人になる』という流れは、憂漣さんの価値観や本当に大切にしたいものが表れていて好きなシーンでした。
衿栖ちゃん比べることで、ますます憂漣さん独自の価値観というのがより際立っていたのが印象的です。

一方で、玻ヰ璃ちゃんにとっては告白という儀式が成功して『恋人』になることで、目に見えない恋の形を承認してもらったのに対して、憂漣さんにとってはお互いの利害の一致のために玻ヰ璃ちゃんの要望を受け入れて妥協した形になります。

――つまり、『玻ヰ璃ちゃんに自分の愛を受け入れるという証明をされていない』ことになるわけです。
そんな……告白することが終わりではないというところがまさか……まさか……。

告白といえば、憂漣ルートで、恋心が芽生えるよりもずっと前のすごく序盤のセリフ、

「君の淹れたロイヤルミルクティーが飲みたい」

ですよ。
もちろん、まだ出会ったばかりで恋心が芽生えていない時期の発言ですので、当時は玻ヰ璃ちゃんの淹れた……ではなく紫鳶さんがその場にいれば紫鳶さんでも良かった上での発言かもしれません。

ただ、幼い頃から他人と距離を取ってきた過去をもつ憂漣さんにとって「同じ空間にいても良い人間」というのはかなり限られるのではないでしょうか。
他人と距離を置いておきたい憂漣さんにとって、紫鳶さんが同じ空間にいるのは『他人から弾かれたモノ同士だから』。
そのカテゴリには属されない玻ヰ璃ちゃんへの『君の淹れた紅茶が飲みたい』と言うのはいわゆる、気の置けない人に対して用いられる愛情表現ではないかと思うわけです。玻ヰ璃ちゃんと一緒に住んだら玻ヰ璃ちゃんが毎日紅茶を淹れるのかな楽しみだな!

ところで、憂漣ルートではハルモニアさんから「身近な誰かが新しい呪いを掛けようとしている」という情報が玻ヰ璃ちゃんに伝えられるのですが、これ……『新しい呪いを掛けようとしている』人って、まだこのときはハルモニアさんから憎しみの種を渡されていなかった憂漣さんのことですかね……?
つまり、気をつけてみたいな忠告をしていたにも関わらず、一方で憎しみの種を渡すタイミングを狙っていたみたいな感じなのですかね?? これだから人外は……。

玻ヰ璃ちゃんに出会わなかった場合の憂漣さんは、不思議に思うことを全て解明したいという、所謂「おまえこそ透京に呪われている」男でした。
ところが、玻ヰ璃ちゃんに出会った憂漣さんは『透刻度』という謎のパラメータを高めてかつ解呪方法を間違えると、解呪どころか逆に玻ヰ璃ちゃんを呪うという、『不思議に思うことを全て解明したい』と思っていた憂漣さんからは考えられない行為に出ます。
こんな……運命を変えるほどの恋だったわけです。これまでの己を含めた全て投げ打ってまで玻ヰ璃ちゃんが欲しいというのが、業が深いな哀哭エンド。パリカはやばい。そして見方によってはある意味、この哀哭エンドでも憂漣さんの「おまえこそ透京に呪われている」という呪いすら解呪に成功しているわけです。怖すぎる。
全てを投げ打ったからこそ、玻ヰ璃ちゃんにしか存在を認識されないので、おそらくはもう二度と最初にやりたかった「すべての不思議を解明する」ことは叶わないということで……いやこれは純愛エンドでも言っていた「呪いよりも玻ヰ璃ちゃんが不思議だから玻ヰ璃ちゃんを解明したい」がアンサーなのだろうか? ところが哀哭エンドの玻ヰ璃ちゃんは憂漣さんのことしか考えられないので、憂漣さんにとって不思議なことは玻ヰ璃ちゃんに何かが起こらない限り何もないわけです。そして玻ヰ璃ちゃんに何かが起こったときこそ全てのおしまいです。こわすぎる。

さて、この謎の『透刻度』は各ルートで用いられているパラメータですが、憂漣ルートにおいては、恐らくは純愛エンドで憂漣さん自身が語った通りなのかなと思います。

憂漣「僕は君を心の底から信じていなかったから、あらぬ心配をしていたんだな」

…………これです。
そしてこの「君を信じていなかった」の根本的な原因が、先ほど憂漣の項目の冒頭で述べたのですが

――つまり、『玻ヰ璃ちゃんに自分の愛を受け入れるという証明をされていない』ことになるわけです。

これに尽きると思うのですよね!!!
だから哀哭エンドでは『憂漣さん以外のことを考えられない』ようにして、自分の愛を受け入れてもらうことで愛という形の証明を完了させたわけです。それは恋ですよ!
純愛エンドでは、形のない愛を証明することはできなくても、玻ヰ璃ちゃんがありのままの憂漣さんの受けいれる信頼関係を築くことができるようになるってところが……業が……業が深すぎないか……。

あと、これはかなり個人的なイチオシポイントなのですが、憂漣さんのガラスの靴イベントが面白すぎました。

「待たせたな」
「フンっ」(※ガラスの靴パリーン)
「これを履いてみろ」

の、3コンボですよ。
さすがパリカ。そしてさすが憂漣さん。人心に対する配慮がない。

最後に。
これは憂漣さんに全く関係ないのですが。
憂漣さんの哀哭エンドを見た後で再度、紫鳶さんルートをプレイし直すと

紫鳶「俺が憂漣の気に入らないおもちゃだったらボロッボロに壊されてるね」

とかいうセリフに潜んだ真の恐ろしさが見えてくるので、やはりパリカのジャンルはホラーだと思います。怖すぎる。

■ 泣虎=ピオニーを振り返って

【悲涙】。
泣虎さんの涙は、彼の人柄と同じようにまっすぐに嘘偽りのない純粋な悲しみが伝わってくるところが、泣虎さんらしい涙であり、そしてまっすぐに伝わってくる涙でした。

 *

泣虎さんは共通ルートで玻ヰ璃ちゃんと出会った時に

泣虎「オレのシンデレラはおまえだな」

と言っていたのがかなり好印象だったために、ルート開始前であるにも関わらず期待値マックスで楽しみにしていました。
はたして泣虎さんは、玻ヰ璃ちゃんと一緒にどんな恋をしていくのだろうかとワクワクしていたところで、まさかのこれです。

 泣虎「ならお前、俺の奥さんになる?」
玻ヰ璃「じゃあ、とりあえず婚約者になります」

天才……。

しかもこの流れ、まだ恋が咲き始めたばかりで本人たちが自覚するよりももっと前、ものすごく序盤での出来事。
序盤にも関わらず泣虎さんがこのように切り出すのは、玻ヰ璃ちゃんのことを綸燈さんと同じ『家族』というステージに上げることで、泣虎さんの判断基準においてどちらを両立しても問題がない環境をつくることが目的だったわけですが、これはまさしく泣虎さんにとって『家族』が如何に重要な要因であったのかを言葉にせずに伝えてくるイベントでした。
とはいえこの時点では仲が深まっていないので、「家族にする」というのは目的のための手段。『家族候補』の玻ヰ璃ちゃんよりも、『家族』である綸燈さんの方が大事だと、泣虎さん判定でそのまま素直に結論を出してしまえる段階にあるということを教えてくれているわけです。こんなにも衝撃が大きいのに泣虎さんにとってはまだ序盤……!!!

また、仲が深まるとカンパネラちゃんと川の字で寝る泣虎さんと玻ヰ璃ちゃんとかが見られるようになります。
これ、泣虎さんが「ずっとやってみたかった」と言っているので、もしかして泣虎さんが本当に欲しかったものの一つが「家族の愛」なんじゃないか、と。
ガラスの靴を前にして自分の願いを言えなかった泣虎さんを見ながら思っていました。綸燈さんは尊敬できる兄だから泣虎さんにとっては優先するべきことだけど、それ以上に、これまでは家族だからこそ否定する理由がなかったのかもしれない。

さて、プレイ前は想像すらできなかった泣虎さんの哀哭エンドですが、綸燈さんからもらったという『くまのぬいぐるみ』を宝箱に【封印】していると知ったときから、玻ヰ璃ちゃんを箱に封印して大事にしまっちゃうエンドへの期待値が限界突破しそうでした。
わくわくしながら、最後の選択で透刻度高めにして声をかけずにお見送りしたら、なんと哀哭エンドであるにも関わらず『玻ヰ璃ちゃんの泣き笑いと幸福そうな泣虎さん』という、哀哭エンドで見せてはいけない表情をまざまざと突きつけられて、変な声が出そうになりました。想像の遥か向こうをゆくサンドリヨンパリカ。怖すぎる。

しかも、もし泣虎さんの願いが「家族の愛が欲しかった」であれば、このエンドでは玻ヰ璃ちゃんがただ隣にいてくれるだけで、永遠に「婚約者」のままで本当の家族にはずっとなれないままです。……なぜなら、二人の時間だけ時間が止まってしまったから。
玻ヰ璃ちゃんとしては、泣虎さんしかいないのだから半ば諦めのように泣虎さんがいるからいいやという『消極的な愛』、一方の綸燈さんのように心のうちは見せないけれども幸せになってほしいと願う『積極的な愛』とは違うといいますか。
前者は確かに泣虎さん以外が見えないのだから泣虎さん以外を愛することはないけれど、それが果たして泣虎さんが求めていた家族という確かな絆が必要な愛だったのだろうか。
泣虎さんは、綸燈さんに代わり時が止まったままの玻ヰ璃ちゃんに依存しなおしてしまうだけなのではと心配になります。ずっと時間は動かないけれど、ずっと愛を認め合えるだろうか。二人以外のもう時間は動かないのに。

あと、泣虎さんは玻ヰ璃ちゃんとの距離が初対面からすごく近かった理由についてが明言されていなかったので想像するしかなくてですね……綸燈さんと違って他人(※特に女の子)との距離感を知らなかった説が有力ですが、虹色の目という表記が特別だったので視力が悪くてという説も大穴で狙っておきます。
とはいえ、泣虎さんは衿栖ちゃんとものすごく気が合っているようですし、糸遠さんとも有効な関係を築けてしまうので、「誰にも理解されなくても兄貴さえいればいい」と本人が言っていたような気がしますが、もしかしたら、泣虎さんにとっては家族がすべてにおいて優先するべきだから見ていなかっただけで、言葉通りではなかったのかなとも思います。

むしろそう考えると、綸燈さんの方が泣虎さんに【救われていた】し【孤独を感じている】のも理解してしまう……。

泣虎さんの体温が高めなのは、ものすごくイメージ通りです。いいですね玻ヰ璃ちゃんと温度が伝わる距離感。

■ 綸燈=ウェステリアを振り返って

【空涙】。
その意味は「嘘泣き」だそうです。
息を吸うように嘘を吐くことができる男が――嘘を吐き続けることでしか自分を保てなかった男が――願いは叶わないものだと諦めて虚勢を張っていた男が、本人にはその気はなくとも、初めて『ありのままの弱さ』を見せることができたのが、簡単に捕まられそうだなと思っていたシンデレラの前でだった、というところですよパリカさん。

 *

綸燈さんに関しては何から話そうか話したいことがまとまらず、結論として、表層の嘘を超えて惹かれ合う綸燈さんと玻ヰ璃ちゃんが最高でした、とまとめておきます。

最初に、泣虎さんの話で少し触れましたが、綸燈さんの抱える『孤独』についての話です。
まず大前提として、綸燈さんの言動には時折嘘が混じっているので、彼の項目はほぼ推測の内容になります、という前置きを。

まず、彼がどのようにして孤独を抱えることになったのかについて、以下を仮定しています。

「本当はみんなに受け入れられる理想の自分ではなく、ありのままの自分を誰かに愛してもらいたい【願い】」
  ↓
「ありのままの自分は『歪んでいる』ため誰からも愛してもらえない【孤独】」
  ↓
「ありのままの自分を隠し周囲の期待に応える理想の自分になることでみんなに受け入れてもらう【諦め】」
  ↓
「ありのままの自分と理想の自分との間に祖語が生じるため、理想の自分を続けるためにありのままの自分が『歪んでいる』ことを認識するための【代償】」

以上を、玻ヰ璃ちゃんに選ばれる前の綸燈さんは延々と繰り返しループをし続けていたというわけです。ループしているということは抜け出せないので、抜け出せないならから『孤独』というわけです。
……いったいなんのこっちゃという感じですね。

綸燈さんの彼の抱える『歪み』は、彼のガラス標本のルーツにある「物言わぬガラスになれば、どんなに醜い人間であっても永遠に美しいままでいられる」というものです。
綸燈さん自身は、自身が持っている『歪み』に対して積極的に受け入れているかというと、むしろそれを『歪み』と呼んでいることから、それらの行為に対して否定的であり、否定的でありながらも、歪みを矯正する行為に及ぶことにも否定的です。
では、その否定的な『歪み』続けるのはどんな理由があってのことなのか。綸燈さんは以下のコメントを残しています。

綸燈「それでも……止められないんだ。そうでもないと、自分自身を保てないから……」

です。
自分自身を保つため……という言い訳に嘘を交えることで得られるメリットが考えにくいので本当のことだと仮定すると、それでは、この『自分自身を保つ』とはいったい何なのかです。

保ちたい『自分自身』像として真っ先に挙がるのが、泣虎ルートで時計塔の番人として周囲から慕われていた、泣虎さんからも理想の兄として慕われていたあの姿です。
弟の泣虎さんや弟のように思っている廻螺さんという、自分を慕ってくれてはいるけれどもその前に庇護の対象である彼らの前では弱みを晒せないという部分にも繋がっているのではないでしょうか。彼らの前では、彼らの『理想の自分』でいたかったのかなと。

この周囲から慕われている『理想の綸燈さん』というのは、玻ヰ璃ちゃんが綸燈さんを協力者として選ぶ前の綸燈さんの姿です。もちろん、透京から追放された人からの評価は抜かします。追放された彼は、綸燈さんが大半の人には見せられない『保てなかった自分』――即ち、『歪み』を見ているからです。周囲の人間ではなくなる彼の前では、綸燈さんは自分を保つ必要はなく、遠慮なく『歪み』を見せることができたことでしょう。
『自分自身を保つ』ためには『歪みを止めることを諦める』必要がある。その言葉が真実なら、紫鳶さんは『自分自身を保つ』ためにたまたま目を付けられ、利用された被害者でしょう。

では、なぜ綸燈さんは親しい人にさえ弱みを見せず、『歪み』を隠し『歪み』を受け入れてでも、理想の兄や理想の番人として、孤独を抱えてでも周囲からの期待に応えようとしているのかといえば、次のセリフが考えられます。

玻ヰ璃「綸燈さんの願いってどんなことなんです?」
 綸燈「……私を受け入れてくれる人が現れること、かな」

これです。もちろん、綸燈さんから玻ヰ璃ちゃんに向けた言葉なので、嘘の可能性は十分にありますが、その後にこのやり取りを誤魔化していた形跡も見られるのでかなり本心に近いのではないでしょうか。
もしも、これを真であると仮定すれば、綸燈さんが言っていたこちらのセリフ、

綸燈(最初から家族である泣虎とは違う。『私』という個人を見てくれた)
綸燈(その『彼女』が記憶を取り戻したことでいなくなったとしたら――)
綸燈「――私は、本当の意味で孤独になってしまう」

このセリフの理由に説明が付きます。

つまり、歪んでいる自分、歪みを止められない自分、自分自身を保ちたい自分、それら全てを含めて『ありのままの自分』を、玻ヰ璃ちゃんに受け入れてもらいたいから……ということです。
幼少期の頃、弟の泣虎さんは「家族の愛を知らずに育った」と言っていましたが一方で、綸燈さんは「自分を否定されて育った」と言っていました。
だからこそ、泣虎さんは『家族からの愛』を得るために綸燈さんに愛されることを望み、また綸燈さんは『ありのままの愛』を得るために、弟の泣虎さんを含めた周囲からの期待に応え続けることを望んだという、兄弟の対比が描かれていたのではないでしょうか。

という、以上が綸燈さんが「孤独を抱えている」という見解です。
まとめますと、こちら。

「本当はみんなに受け入れられる理想の自分ではなく、ありのままの自分を誰かに愛してもらいたい【願い】」
  ↓
「ありのままの自分は『歪んでいる』ため誰からも愛してもらえない【孤独】」
  ↓
「ありのままの自分を隠し周囲の期待に応える理想の自分になることでみんなに受け入れてもらう【諦め】」
  ↓
「ありのままの自分と理想の自分との間に祖語が生じるため、理想の自分を続けるためにありのままの自分が『歪んでいる』ことを認識してための【代償】」

でした。
そして、綸燈ルートでの玻ヰ璃ちゃんは綸燈さんの「ありのままの自分を受け入れてもらう」という願いを叶えてくれたので、これで彼は純愛エンドでも哀哭エンドでも、孤独からは解放されたはずです。おめでとうございます。

余談ですが、綸燈さん、気付いたら「玻ヰ璃さん」から「玻ヰ璃」って親しげに呼び捨てになっていたので、いったいいつからそんな仲になったんだったかなと思い二周目をやりなおしました。
……玻ヰ璃ちゃんの記憶喪失をいいことに、何事もなかったかのように呼び捨てになるし敬語も取るしで距離を縮めてくるの、ずるすぎません???

あっ、あと、綸燈さんのお部屋の右側の壁に標本が飾られていないことに深い意味があるのだろうかと勘繰っていますがあれは何だ……あれは、特に深い意味はなく、単純に端から飾っているから将来は右側の壁にもちゃんと標本が増えるとかいうことですか? それとも右側の壁の奥が隠し部屋……うーん。

■ 廻螺=アマルリックを振り返って

【暗涙】。
一人で泣いて助けを求めていた廻螺さんが、玻ヰ璃ちゃんと出逢って玻ヰ璃ちゃんに涙を拭ってもらえるようになったことで、「廻螺」としての自分と「M」としての自分がようやく手を取り合えたという印象です。
みんなに協力してもらえる、みんなに知ってもらえる、みんなで呪いを解呪できる――こうして段々と目の前が明るくなっていくその過程に胸が熱くなりましたね。

……まあ、哀哭エンドは目の前が真っ暗というか黒を通り越して真っ赤なんですけどね。怖すぎる。

 *

廻螺さんルートはMさんと対になって描かれているところが最高でした。
透京を守るために役目を果たしたいと願っていることも廻螺さんの一面であり、役目から解放されてもっとやりたいことを自由にやりたいと願っていることも廻螺さんの一面です。
どちらも自分ではあるけれども、どちらも表には部分であるから、結果として「自分と自分で対話をすること」で自分を保っていたのかもしれません。

なので、

『今の廻螺は 彼女が好きなわけではない』

これを……これを、Mさんが廻螺さんに――つまり、自分で自分に告げている、自分でそれを【理解している】ところが……他人から指摘されるまでもなく自分の気持ちを客観的に見ちゃうところ……!!
廻螺さんの「彼女だけいればいい」も、「彼女が好きなわけではない」も、どちらも廻螺さん自身が理解しているという構図になるというのがもう本当に素晴らしいです……。

そんでもって、それを受けてのこちらのセリフです。

玻ヰ璃「恋や愛の形なんて、人それぞれでしょ? 執着する愛がだめだなんて他人が勝手に決めたことだよ」
玻ヰ璃「だから……大丈夫。誰が何を言おうとも私達は恋してる」

……玻ヰ璃ちゃんは、本当に攻略キャラを救うのがうまい(美味い)。
だから、誰が何を言おうとも、哀哭エンドの廻螺さんは玻ヰ璃ちゃんに恋してる。

廻螺さんの哀哭エンド、この「失明」描写によって、絶望なのか希望なのかを読者の想像に委ねている表現がとても好きです。パリカ好きだな……これしか言っていないな。

それにしても、廻螺ルートでしか使わないお洋服であるにも関わらず、玻ヰ璃ちゃんのために制服を着せたいと思ってくれた廻螺さん、ならびに立ち絵を用意してくれたパリカスタッフの方々には、心から感謝を申し上げたい気持ちでいっぱいです。パリカ最高。

あとこれは廻螺さんにまっったく関係がないのですが、廻螺ルートの糸遠さんが「窓に白鴉が殺到っていうのもなさそうだし、俺達はごく普通の一般市民で良かったなあ」などと言っていましたが、紫鳶ルートと憂漣ルートを経てきたシンデレラはみんな「ギャグかな??」と思ったに違いないと思っています。パリカやばい。

■ 歌紫歌=ガレを振り返って

【紅涙】。
黒禰さんとは違う方向性で感情が爆発していましたね。
「俺の涙の色がおまえにわかるはずがない……!」だそうですが、どう見ても理解されることを怖れている男でした。
のちに玻ヰ璃ちゃんに全てを受け止めてもらった涙は『綺麗な涙』だったので、歌紫歌さんの涙の色はちゃんと玻ヰ璃ちゃんに見えているんだよ。

ところで、Twitterのイラスト全7種を改めて見ているけれどもどれもガラスの靴へのアプローチがやばすぎる……。

 *

飄々とした態度を装い、嘘を吐き続けた王子様はやがて魔法使いと呼ばれるようになりました。めでたしめでたし。

呪いの代償として『時間』を差し出した歌紫歌さんは呪いの成就まで「孤独」を強いられることになるわけですが、かつて瑠璃さんを愛し、瑠璃さんに愛された歌紫歌さんにとって、孤独が恐怖の対象であったことは、歌紫歌ルート中に玻ヰ璃ちゃんが問い詰めた通りかと思います。
おまけシナリオで魔法が使えるなら、「みんなと仲良くなれる魔法」が使いたいみたいでしたしね。

人間たちに対する絶望と、呪いを成就させるという目的があったからこそ長い時間を孤独に生きることができたわけですが、歌紫歌さんにとって玻ヰ璃ちゃんが見つかったときは、おそらく賽は投げられたという感じだったでしょうか。
自分では呪いを完成させることができなかった歌紫歌さんは、玻ヰ璃ちゃんに全てをたくすことにしたのです。自分で決断しなくて済むことは、歌紫歌さんにとってある意味では救いであり逃げだったのではないでしょうか。

玻ヰ璃ちゃんには「無知は罪だ」と言っておきながら「俺の涙の色がわかるはずがない」と知られることを拒絶している歌紫歌さんですが、300年の孤独の間に瑠璃さんへの愛を遠ざけ、呪いを成就させるための義務にすり替え、もしかしたら呪いの成就に不要な良心や愛情といった綺麗なものには自分を含めて誰にも触れられたくなかったから拒絶するしかなかったのかもしれませんね。

この誰にも触れられたくないもののなかに、玻ヰ璃ちゃんが入った瞬間が最高にすきでした。

歌紫歌「おまえがあいつらの話をするな」

です。
歌紫歌さん、人間のことは醜いと言っておきながら、人外に対して天使と崇めたりするのではなく魔女扱いするし、玻ヰ璃ちゃんのことは触れてほしくなかったりするので、とても人間らしいなと思います。

また、歌紫歌さんにとって孤独は恐怖の対象だったんじゃないかと言いましたが、哀哭エンドでは玻ヰ璃ちゃんが側にいてくれたので孤独を選べるところが、玻ヰ璃ちゃんへに愛を感じます。
初回の瑠璃さんがいないから透京を呪うのではなく、玻ヰ璃ちゃんが隣にいてくれるだけで世界を呪えるところですね。これを成長というかどうかは悩ましいところです。

ところで、この呪いの代償が「玻ヰ璃ちゃんへの愛」だそうですが、歌紫歌くんは玻ヰ璃ちゃんへの愛を……手放したのでしょうか……?

■ 「ガラスの呪い」の解呪方法まとめ

パリカは全編を通して遊ぶことで、透京の「ガラスの呪い」について『いつ』『どこで』『誰が』『何を』『何故』『どのように』行ったのか真相が見えるようになっているはずなので、ここでざっとまとめです。

まず、紫鳶ルートでの廻螺さんと玻ヰ璃ちゃんの会話から『300年前に』『審判ノ間で』『当時の王族が』『アストロラーべを』呪っているであろうことが判明しています。
また、憂漣ルートでは、「憎しみの種」と呼ばれる呪物の存在が明らかになり、ガラスの呪いも世界調和者・ハルモニアさんによって「透櫻」から摘まれた種を用いて呪いを掛けたことが判明しています。透櫻すごいな。
『何故』は歌紫歌ルートで語られた通りですが、瑠璃さんを救ってくれなかったアストロラーべに対して憎しみを抱いていたので、歌紫歌くんの『時間』を代償にしてアストロラーべを呪ったそうです。制作者のハルモニアさんも大層感動したことが本人の口からも語られています。

ところが歌紫歌さん本人の口から告げられていた通り、この呪いの完成のためにはアストロラーべの針が0時を指さなければならないそうです。
ここでいう呪いの完成とは、おそらく歌紫歌ルートの哀哭エンドから察するに「世界中にガラスの呪いを広めること」で、透京だけではなく世界中の全ての人間や都市がガラスになるというのが当てはまるでしょう。歌紫歌さん、いい感じに人間に絶望していますね。ガラスはとっても美しいですね。まあそんなこと言っておきながら、玻ヰ璃ちゃんをガラスにすることに戸惑いを覚えているようですけれどもね!

この透京の呪いの完成形ですが、憂漣さんが挙げていた石の都の呪いと比べると、後者が都市まるごと石化するだけに留まっていたのに対して、前者はかなり大掛かりな呪いを成就させたいと願ったようです。
それでいいのか世界の調和者と思わなくもないですが、ハルモニアさん曰く世界は人間がいなくても構わないらしいので、世界的には石の都の呪いも透京の呪いも大差がないのかもしれません。それでいいのか人外。

ハルモニアさん……人間の心がわからないって言っていたのに、わからないままにしておくのはよくないと思うんだ。もっと人間のサンプルを集めて研究しよう???

また、歌紫歌さんの呪いの象徴である『ガラス』に関して直接の明言はされていなかったと思うので推測ですが、おそらくは瑠璃さんが『ガラスになってしまう病気』に罹って亡くなってしまったので、全ての人間をガラス化したかったのかなと思われます。
玻ヰ璃ちゃんのためにガラスの靴を用意したことだし、左だけのガラスの靴を6つも用意しているので、歌紫歌さんはガラスに対してアツい想いを持っている……か、あるいは玻ヰ璃ちゃんを「私のシンデレラ」というくらいなので、300年待ったシンデレラに対して並々ならぬ執着があることが伺えます。

さて、呪いの全貌が明らかになったので、これで解呪方法も明らかになったはずですね。

★ 呪いの媒介となったアストロラーべを壊す
 →「特別なアストラ」でアストロラーべの針を壊して解呪(※紫鳶ルート)

★ 呪いの媒介となったアストロラーべの心臓であるとされる審判の間を壊す
 →「全てのアストラ」とリンクして解呪(※歌紫歌ルート)
※ただしアストラ二つとリンクすると時間が止まる(※紫鳶ルート)

★ 「憎しみの種」のもと――呪いの根源となった「透櫻」を無効化する
 →蝶々を犠牲にして解呪(※綸燈ルート)

★「憎しみの種」を用いることで呪いを上書き(※憂漣ルート)

★ アストロラーべの針を戻すとアストロラーべに掛けられた呪いがなかったことになるので解呪
 →二つのアストラを同時にリンク(※廻螺ルート)

★ アストロラーべには「審判のプロトコル」という機能が実装されており、門番の鍵で封印することで解呪?(※泣虎ルート)

★ ???????(※黒禰ルート)

以上です。
なんということでしょう。「?」が目立ちますね。

……もしかしたら、黒禰ルートの歌紫歌さんは唯一、歌紫歌さんの呪いの元凶ともなっている「ガラス化する病に罹っているシンデレラ」を見せつけれるので、歌紫歌さんが自分で呪いを解いたのかもしれないですね。

しかし、いくら術者といえども、そう簡単に呪いを解呪できるのかと言われたら……歌紫歌ルートで、呪いを解呪しようとする玻ヰ璃ちゃんに、歌紫歌さんはハルモニアさんを紹介しただけで何のヒントもあげていなかったので、もしかしたら黒禰ルートの解呪方法は最後の手段だったのかもしれないなと思うわけです。
なので、明言されてはいないけれど、歌紫歌さんが命を断てば呪いが解けるという可能性もあるかもしれない。
作中でも、呪詛を掛けた人には呪詛返しのように報いを受ける可能性もあると示唆されていることだし、歌紫歌ルート以外では解呪後に姿すら見せていないですしね……?

ただ、もしそうだとしたら、石の都の呪いは近代の呪いとはいえ、術者はきっとすでに亡くなっているはずなので、石化は解除されていてもいいはず……???

でも……でももし、透京の呪いが歌紫歌さんの命を代償に解呪できる場合、おまけシナリオで

歌紫歌「なんと迷惑な……。君が生きている限り、世界中の人間が呪いと謎に苦しむことになるんだぞ」

などと言っていた意味がガラッと変わってしまうので、そんな恐ろしいことになっていないといいななどと思います。

あっ、あと、もしも術者が命を断つことで呪いが解呪されるだとしたら、憂漣ルートの哀哭エンド玻ヰ璃ちゃんが、憂漣さんが亡くなってしまった後に絶望してしまうので、その辺りも憂漣さんはぜひフォローをよろしくお願いします。

■ 「透淵・de・TEA」がやばい

先の項目でもちらっとおまけシナリオについて話題に出したのですが、これがやばい。

曰く「攻略キャラクターがわいわいしている」という全10話のおまけシナリオなのですが、2周目から解放されるわりには、公式オススメ順序は最後なんですよね。

乙女ゲとは関係ない趣味ですがギャグシナリオが大変好みなので、このおまけシナリオのノリは大変嬉しく思います。
こんなに本編からハズれたノリでギャグを展開しているのに、攻略した後に読むと心が痛む話題を突如ぶち込んでくるところが、パリカ公式やばいなと思います。

紫鳶「不老不死ってなんか怖いというか、自分だけ若くて死ぬことがないって、ちょっとね」

綸燈「孤独を嫌う弱い人間の代表のようでとても興味深いだろう? そういう人間にこそ、不老不死になってもらいたいね」

綸燈=ウェステリアさん、あなたどんな顔して言ってるんですかっていうセリフを普通に入れてくるところですよ。普通の顔でしたね。
『自分【だけ】若くて死ぬことがないことが怖い』といっていた紫鳶さんの哀哭エンド、蓋を開けてみれば「自分【以外】若くて死ぬことがない」ですよ……??

紫鳶「普通の何が悪いんだ」

って言っていたくらい、ありきたりな平穏を愛していた紫鳶=クリノクロアさんに、この「普通」から最もかけ離れた世界を引き起こした張本人として告発してくるところが……パリカ、絶望をわかっているなと納得させられてしまうのでした。

また、別の議題「SとMどっち?」では「我慢強い子」の廻螺さんと、「好きな子ほど虐めたくなるタイプ」の黒禰さんでしたが、哀哭エンドになると逆だなって……この構成ずるくないですか。
「今まで我慢していたんだから、もう我慢しなくてもいいんだよ」と玻ヰ璃ちゃんに言われる廻螺さんと「私が死んだらガラスにしてくださいね」と玻ヰ璃ちゃんに言われる黒禰さん。

そういえば、「玻ヰ璃ちゃんになら何をされてもいい」って言っていた泣虎くんも、実際哀哭エンドになると打って変わって、玻ヰ璃ちゃんにナニをして哀哭エンドでしたね。……すごい、哀哭エンドに対する闇が深い。

あと……自称魔法使いの仲間外れの歌紫歌=ガレさん、全員出てくるフリートークでは見事に回答をスルーされているんですけど、憂漣さんが鼻で笑っていた恋愛映画とか好きそうだなと思うのでした。もしくは瑠璃さんを思い出したくないから特別嫌いなのだろうか。教えてパリカ先生。

あとこれはシナリオにまったく関係ないのですが、ミニキャラクターを並べると、目の『色』が同じ組み合わせが見つかるんですよね……違いを比べるとちょっと楽しいです。

■ 玻ヰ璃=ラリックちゃんが好きです

孤独な魔法使いさんによって出会い頭に胡散臭い真相を語られ神秘的な雰囲気になっていたところを、冷静に「助けて、糸遠兄さん!」と言いながらシリアス音楽をぶち壊せる行動力があるという序盤から、すでに玻ヰ璃ちゃんの虜でした。

★ 決断に自分の意志を込める女の子である

玻ヰ璃ちゃんの姿勢は、一貫して『行動しないことで後悔する』よりも『自分で決めて行動したことで後悔したい』女の子です。 また、すぐに行動することができる行動力の化身ではあるものの、彼女には彼女のこれまでの人生や価値観があり、最終的に「歌紫歌の言う通りにアストロラーべの針を動かす」という決意をするところを、「玻ヰ璃ちゃんが考えた上で」結論を出したところにとても好感が持てます。

★ コミュ障の攻略対象たちをルートの土台に乗せるヒロイン

しかし、この程度で落ち込む私ではない。
強制的に話を聞いてもらうとしよう。

これです。
玻ヰ璃ちゃんは自分の決断に対して自分の意志を込める女の子ですが、協力者を一人選ぶという決断をした後に、塩対応されても挫けて別の人にしようとするのではなく、できる限り自分の決断を尊重することができる女の子です。尊敬です。攻略対象たちは玻ヰ璃ちゃんに気合いを入れて攻略されていることが伝わってきます。攻略対象のみなさんぜひ気合入れて攻略されちゃってください。

★ 玻ヰ璃ちゃんの冷静なツッコミ力

玻ヰ璃「もしかして不法侵入者――って、それは私か」

ツッコミ能力を自分にも遺憾なく発揮できる玻ヰ璃ちゃんですが、恋する乙女になっても変わらないところがポイントです。
黒禰ルートで自分の恋心に気づいた玻ヰ璃ちゃんが、黒禰さんに教会に呼び出されたシーンのこちらのセリフ。

玻ヰ璃「こんなことのために命をかけて透京を出てきたなんて、私もとんでもないアホである」

恋する人に呼び出されてちょっと浮かれていることを理解した上で、持ち前のツッコミ力を最大限に活かしたツッコミだと思います。
……そうか、『透淵・de・TEA』は玻ヰ璃ちゃんがいなかったから、紫鳶さんと歌紫歌さんがツッコミに苦心していたのか。

★ 年頃の娘のクローゼットの中に斧がある
歌紫歌ルートにて。アストロラーべを物理的に壊せるかどうかも、まずはやってみるという前向きなところ、大変好きです。

★ 笑顔の使い方が素晴らしい

 衿栖「ところで、そこの変態魔法使いは!?」
玻ヰ璃「置物だと思ってくれればいいよ!」

ここです。玻ヰ璃ちゃん、ここで笑顔。
この強かさが素晴らしく最高です……。

■ 総評

パリカ たのしい
パリカ ごうがふかい
パリカ こわい
パリカ やばい(すき)

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