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日本アニメーション協会 Into Animation No.8 「髙橋克雄特集・立体アニメーション映画への模索」 を振り返る その1

 2023年 8月4日〜7日まで国立新美術館で開催された6年ぶりの日本アニメーション協会の公式イベントに「髙橋克雄特集」を組んでいただきましたこと、また、当日、殺人的猛暑の中をご参加くださいました皆様に心から感謝申し上げます!特集テーマは日本アニメーション協会の水江会長と相談し「立体アニメーション映画への模索」ということに決めて、父の原点でもある人形劇映画から人形アニメーション映画として日本を代表する作品として海外42カ国に配給された『かぐやひめ』に至るまでの作品をまとめて上映することになりましたが、90分という限られた時間の中で、細かく数えると12作品もご紹介するという何とも欲張りな企画をさせていただきました次第です。当日は、森まさあき先生の名司会で和やかな会場の雰囲気の中で、私の緊張も吹き飛んでトークに専念できました。皆様に感謝!


立派なパンフ!ありがとうございました。

《上映作品紹介》

メルヘンシリーズより『オズ』1983年3月製作

●『メルヘンシリーズ』1978年-1985年製作
‘83年よりVideoアニメーション撮影(監督 髙橋克雄/音楽 伊藤辰雄 /企画・広報協会NHK  /  製作 庄司洵&(株)東京中央プロダクション)

『ねずみの嫁入り』1インチ Vアニメーション
 ’83年12月完成 ‘84年1月 放送
撮影 下山秀一/アニメーター 千光士義和 角谷貴司 髙橋佳里子  /美術 吉川寿々子  平井裕子 

『オズ』
’84年3月完成 ‘84年4-5月放送
撮影 下山秀一 /アニメ/千光士義和 角谷貴司/
美術 吉川寿々子  平井裕子 千光士義和 角谷貴司

●『メルヘンシアター』1980年製作 35mm フィルムアニメーション作品  監督 演出 髙橋克雄 /
音楽 伊藤辰雄 /アニメーション 渡辺知代実/語り 加賀美幸子 /撮影 下山秀一 /美術 吉川寿々子 福島孝江 高橋豊一 大西悟 

『赤ずきん』1978年製
『ジャックと豆の木』’79年4月製作

上記2作品の他、『はなさかじい』’80年4月製作、の3作品をまとめた『メルヘンシアター』をフィルム時代のアニメーション作品として上絵。


《解説》
『髙橋克雄ってどなた?』と思われる方が多いと思いますので、一番長く放送されていたNHK『番組のおしらせ』からビデオアニメーションによる作品を2本、フィルムアニメーションによる作品を三本、ご覧いただきました。

ビデオ作品の『ねずみの嫁入り』『オズ』を先に、後からフィルムアニメーション作品の『メルヘンシアター』をご覧いただいたのですが、やはりビデオの画質とフィルムの画質ではずいぶん違うものがあるなぁ、と感じました。
どちらも、それぞれによさがあるのですが、当時はフィルムからデジタルの世界へと手探りで模索。この『メルヘンシリーズ』の途中、’83年の『うりこひめ』から、「放送規格としての世界初のビデオアニメーションシステム」と認定され、フィルム撮影からビデオ撮影に切り替わりました。父がビデオアニメーション・システムを開発した際、世界各国からスタジオに見学にいらっしゃる方がいらして、父は惜しみなくそのシステムについて公開していました。娘の私もその当時、スタジオで手伝いをしていたので、フィルムからビデオで直接撮影できるようになったその瞬間の衝撃は未だに忘れられません。お若い方々はフィルム撮影をご存知なく、携帯で簡単にアニメができる現代では『現像って何?』と尋ねられることもよくあります。フィルム時代は、カットごとに撮影したネガを現像所に出してラッシュ試写で『OK!』が出たらまた次へ…NGがあればまた頭から撮影し直しの「リテイクの恐怖」といつも隣合わせでした。ビデオで初めて現場で録画、再生できるようになって「リテイクの恐怖」から解放されましたが、やはり、ビデオとフィルムは奥行きというか、空気感というか、色合いなどもかなり違って観えていたと思います。『メルヘンシリーズ』の進化版、『メルヘンシアター』は、加賀美幸子さんの温かく優しいナレーションがついて、
『赤ずきん』『ジャックと豆の木』『はなさかじい』の3作品を繋いだものです。当日、ありがたいことに加賀美幸子氏、ご本人様が会場にいらしてくださって本当に嬉しく思いました!懐かしい東中プロの仲間たちも駆けつけてくださって感激!両親が存命でしたらさぞ嬉しがったと思います。ありがとうございました。
                   髙橋克雄著作権事務所 
                                            髙橋佳里子(かりこ)
        










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