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重度難聴・盲児2歳の記録

目が見えない・耳が聞こえない。身体はふにゃふにゃ。そんな娘の成長記録です。
(1歳の記録はこちら)

娘は2歳になりゆっくりとマイペースに成長し
変わらずよく考え、よく笑い、わりと積極的になんでも関わっていく子に育ちました。
とにかくパワーのある子で、まわりを笑顔にしてくれます。

よく「感覚は補う」と聞くけど、
たしかにその通りのようで。
娘は触覚・味覚・嗅覚がかなり敏感に育ってきているようです!

そして母である私は職場へ復帰し、いわゆるワーママになりました。
娘は2歳手前から保育園に通い始めています。

耳の聞こえ(難聴)について

1歳3ヶ月の時に人工内耳手術を行いました。
(人工内耳の詳細はまた別の記事で)

盲ろう児は重複障害が視覚聴覚の他にある事も多く、人工内耳への手術例は2023年現在国内ではほとんどないようです。

その中でも日本ではおそらく娘が1番低い年齢での人工内耳の手術となりました。
前例がない中、判断をしてくださった先生方には改めて感謝です!

術前検査で聴神経がかなり細そうという事がわかり、当初両耳での手術を検討していましたが右耳だけの手術となりました。
おそらく手術をしても明瞭な聞こえにはならないだろうと言われたけれど、それでも聞こえてくる音は娘のコミュニケーションの助けになるはずと考えて手術を決行。

補聴器をつけているからといって、
人工内耳手術をしたからといって、
聞こえ方が健聴者と同じように聞こえるわけではなく、効果も人それぞれなので、「これをしたから一安心」っていうのがないのが先天性難聴の悔しいところ。
しかし確実に聞こえに対する娘の反応は変わってきました。

そして術後9ヶ月の聞こえは、
・太鼓などの打楽器の音/タンバリンの音
・リズムのはっきりとした歌や楽器の音

これらに反応を示し、音源を探す仕草をするようになりました。
人工内耳を装用して40〜50dBは聞きとれているようです。
話し声が届いてはいそうなのですが、まだ脳で処理ができていないのかなといった状態です。

本人からの音声発信は
術後3ヶ月頃から装用した瞬間に声を「あーあー」と出すようになってきたので、
どのように聞こえているかは分かりませんが、自分の声も聞こえているようです。

今は月に1回病院でマッピング/受診をしています。
急激な変化とはいかないけれど、ジワジワと反応する音が増えてきているように感じています。
確実に成長していてえらい!

目の見え方(視覚障害)について

1歳1ヶ月の時に弱視用眼鏡を作りました(強度の遠視用)

「眼鏡をかけても見え方はたいして変わらないと思うから」
「躍起になって娘さんに眼鏡をかけようとしなくていいからね」
と眼科の先生。

出鼻を挫かれるような複雑な気持ちになったけど、実際その通りでした。

もともとの見えにくさが強すぎて、あまり娘にとっては眼鏡をかけてもメリットを感じないようです。
触覚が敏感に育ってきている事もあるからなのか、かけようとする眼鏡をすぐもぎ取ってぶん投げてしまいます。それでも一時期は一定時間掛けられていましたが今ではもうほとんど使用できていません。

眼鏡作成からほぼ1年が経ち、身体が成長してサイズが合わなくなってきているのも要因なのかもしれません。

しかし、見え方としては少しずつ見える範囲が増えてきているようで、
今はピカピカと光るおもちゃが大好きです。
娘の周りは騒音が出るおもちゃや、振動が強いおもちゃなど、すっかり賑やかなおもちゃで溢れかえっています。


相変わらず追視をしているようなそぶりはないので、娘の世界はいったいどんな風に見えているのかな。

身体・心の発育発達について

1歳4ヶ月の頃つかまり立ちができるようになり、
2歳の今は手を引いて伝い歩きの練習中です。
身体を動かすことは大好きで、立つと本人は大喜びです。

人工内耳手術をしてから娘の成長がぐんぐんと進んでいるように感じています。

かすかな音の情報+視覚情報で物事への興味関心がぐんと伸びてきたようです。
それに伴い自分で動きたい!といった欲求が出てきました。

児童発達支援に行くようになった1歳8ヶ月頃から大人によくひっつくようになり、両親とほかの大人たちとの区別も何となくついている様子。

大人に対する信頼がかなり出来上がってきたようで、つかまり立ちしてる場面では、うしろに大人がいるのを確認すると安心してパッと突然手を離して倒れ込んだりもします。
信頼が強いのはいいけど、ちょっと不安でもあります。

月齢別のまとめ

1歳1ヶ月 眼鏡を作成
1歳3ヶ月 片耳人工内耳手術
1歳4ヶ月 
つかまり立ち
      1人座りが安定してくる
1歳7ヶ月 保育園・児童発達支援見学回り
1歳8ヶ月 担当相談員さんと契約
      児童発達支援に行きはじめる
1歳11ヶ月 保育園入園
      盲ろう教育研究会の星先生、雷坂先生が自宅・関連施設へ訪問
2歳0ヶ月 母職場復帰

この1年は娘を通じて娘を支えてくれる、たくさんの人と出会いました。
そして、2歳で娘を保育園へ預け、職場復帰することを短期目標として過ごしていました。

ゆっくり、娘のペースで発達してくれたら、、といいつつも安心して保育園へ預けるには「1人で座って遊ぶ」「他者への興味をもつこと」が出来るようにならなければ預けるのは厳しいかもしれない…としばらくの間これを目標に、療育を取り組んでいました。

盲ろう児とのコミュニケーション

上記したように、娘は人工内耳手術をしたけれど、届く音はほんのわずか。音声コミュニケーションは厳しいです。
しかし、重度の視覚障害のため、視覚に頼った手話を選択することも難しいです。

(言語獲得をしている)盲ろう者とのコミュニケーション手段は様々で、触手話・指文字・指点字その他にも
今はデジタルデバイスを使って日本語のやりとりをしてる方もいます。

今、娘は家庭で独自のサインを使いやりとりをしています。

たとえば、『自分では動かせないけど遊びたいおもちゃ』があった時。
大人の手を引っ張ってきておもちゃに触らせてから、自分の手を大人の手に重ねて「トントン」
これが娘からの「一緒にあそびたい!」のサインです。

こうして娘の欲求からサインをどんどん増やして、物事の概念形成を進めていく事で言語の獲得を目指しています。

盲ろう教育研究会会長の雷坂先生にも、「娘は因果関係を理解している」と太鼓判を押してもらい、この先娘とお話しできる日が必ず来ると確信しています。

私も夫も親バカが過ぎるんですが、
娘はとても賢いんです。
本当に賢い。

保育園入園と保活

私達が住んでいる地域の1歳児クラスは、4月でほとんどの園の定員がいっぱいになります。
娘は秋生まれなので、2歳になるギリギリまで育休を取ろうと思うと、9月には入園しないといけませんでした。
しかし9月に大人気の1歳児の途中入園なんて、どうやっても希望の園には入れないだろう…と思っていました。
ところが結果から言うと娘はいま、最高の環境の保育園に通えています。


1歳半をむかえた5月くらいからゆる〜く保活を始めました。

今は空きがなくても、2歳児クラスでの転園も視野に入れて、通える範囲の保育園すべてに連絡を取りました。
場合によっては児童発達支援の利用を併用する事も考え、同じく通える範囲の児童発達支援を調べ、条件の合いそうな場所に手当たり次第連絡を取りました。

その過程で、専属の相談支援員さんを紹介していただく事となりました。
今では相談員さんなしでの支援は考えられません。

「頼れるところにはどんどん頼っていっていいのよ」
と療育先でよく声をかけてもらいますが、
本当にわが家はびっくりするぐらい各方面でいろんな方々に頼り切ってしまっています。

その結果、かなり端折ってしまいますが相談員さんが所属している病院と同じグループの保育園に入れることとなりました。
地域の特定に繋がってしまうので、ざっくりでしか言えないのが心苦しいくらい、素晴らしい保育園です。

障害を持っている子たちも、健常児の子たちも同じ空間で一緒に楽しく過ごし、
一人一人の個性を尊重し大切に見守っていってくれています。

当社ゆるくはじめた保活ですが、
10園近く連絡をとった保育園も
3件電話で断られ、2件見学で断られ、
残る5園も前例がない中なので出来る限りの支援となりますが…と
覚悟をしていたつもりだけど、障害児の保活は一筋縄ではいきませんでした。
とはいえ保育園側の事情も理解できるのでそう言わせてしまうのも心苦しかったです。

しかし、その工程も決して無駄ではなく相談員さんと出会い、今の児童発達支援や保育園につながる事ができました。

今、娘は療育・リハビリ・保育園とそれぞれ最適な場所で過ごす事ができています。
連携も強く、本当にありがたいことに、人や環境に恵まれる事ができました。
私達両親だけの育児ではなく、ひとつのチームとなり、娘を見守ってもらっている感覚があります。
こうした縁も娘の持つパワーなのかなと感じています。

これからどう成長していくのかな。
本当に楽しみ。


もし保活について詳しく聞きたい方がいたら
もう少し詳しくお話ししたいと思うので
ご連絡いただけたらと思います。

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