レーベル先天黒内障

重度難聴の診断を受けたのが生後3ヶ月
視力障害をはっきりと言われたのが生後4ヶ月
それから約半年が過ぎ、
娘は9ヶ月になり
発達はゆっくりですが、よく動き、よく笑う元気いっぱいな子になりました。

あれよあれよと離乳食がはじまり
今ではすっかり3回食に。
おやつは自分で掴んで食べます。

この半年間で
療育に行きはじめ、
訪問リハビリをはじめ、
頭の形をととのえるヘルメット治療を終えました。

そして1番大きな出来事が。

娘に診断がつきました。

レーベル先天黒内障(Leber's congenital amaurosis)
まったく聞き覚えのない診断名。
気軽になんでも情報が集まるこの時代に
ネットで検索してもほとんど情報がでてこない。

それでも、理由もわからず娘が盲ろう児だと言われていた頃から大きく前進できたと感じています。

半年前は先の事が不安で不安で絶望的な日々を過ごしてるんじゃないかなんて想像してたけど、
現実は想像してたよりもずっと毎日楽しく過ごしています。

今回は簡単に疾患の内容と、
親としての気持ちを書いていこうと思います。

先天性の視力障害

日本小児眼科学会のHPに
レーベル先天黒内障の説明はこうかかれています。

■眼症状

見た目の眼球の異常は明らかでないことがほとんどです。しかし、生後より重い視力障害を示し、視線が合わず、まぶしがったり、黒目が振り子のように動き続ける振子様眼振(ふりこようがんしん)がみられ、対光反射(光をうけたときに瞳孔が小さくなる反射)が弱い、または消失しています。

■その他の症状

精神発達遅滞、てんかん、難聴など、複数の合併症を抱えていることもあれば、体の合併症がまったくないこともあります。


■治療と管理

決定的な治療法はみつかっていません。しかし、将来の治療につながる方法が少しずつ進歩していますので、きちんと診断を受けておくことが大切です。多くのお子さんで、視力は0.1 未満ですが、ときに強い屈折異常(遠視、近視、乱視)がみられる場合があります。

ここにあるように
娘の場合は 視力障害+難聴 が合併しています。まだ分からないだけかもしれないですが、今のところその他の症状は出ていません。

眼科の先生いわく
レーベル先天黒内障は2〜3万人に1人の割合で発症するそうです。

ただ、レーベル先天黒内障の患者は2〜3年に1人いるけど、だいたいが視力障害だけで、難聴もあわせて発症しているケースは先生が診てきた患者の中ではうちの娘が初めてとの事でした。

そして現在、原因遺伝子が複数見つかっているそうで今後は遺伝子検査を行なってもらう予定です。

私たち夫婦がいま気にかけている事のひとつがこれで、レーベル先天黒内障は遺伝疾患のため
私たち夫婦から同様に発症してしまう可能性が1/4なのです。(厳密には1/4ではないそうです。)
娘からは遺伝することはないそうですが。

たまたまお互いの遺伝子の中の傷が重なり合って、
たまたま娘にこういう形であらわれた。
それだけの事で、後悔したり、自分達を責めたりする気持ちは驚くくらい全くないのですが、
下の子を考えるには十分な悩みの種になりました。

結婚した時から子どもは2人授かれたらいいね。
と考えていたのですが、今も答えが出せていません。

診断がつくまでの流れ

上記の眼症状にあるように生後すぐから娘の目は
・ぱっと見ても異常はわからない
・けれど目は合わない
・追視もない
・落ち着きなくあちこちとキョロキョロ動き、眼振もある様子で、これらは今も変わりません。

小児専門の眼科で生後4ヶ月の時に
眼底を診てもらいましたが、目立った異常は見つかりませんでした。

その後、生後8ヶ月に再診し、
やはり目立った異常が見つからず網膜電図を使った検査をした結果、レーベル先天黒内障と診断されました。

生まれてすぐに難聴が分かったため、ずっと難聴ベースで考えていて、まさか眼科で診断がつくとは思っていませんでした。

網膜電図(もうまくでんず)

経口タイプの眠る薬を使い、
寝ている娘に目薬をし電極が流れるコンタクトレンズを装着して網膜電図の検査を行いました。

真っ暗な部屋でコンタクトをしている娘の目元がチカチカと何度も光る。
先生の前に置かれてるモニターでは、さっきからずっと波うたない綺麗なまっすぐな波形が流れてる。
きっと正常なら波がたくさん出てくるんだろう。
はじめて娘が重度難聴だと知らされた時のABR検査と同じくらい胸がずんと重くなっていく瞬間でした。

療育先での出会い

「2歳の女の子で娘ちゃんと同じように難聴と視力障害があるお子さんが居てるよ」

はじめて難聴の療育に相談へ行ったとき施設の方が教えてくれました。

そして、その子とそのお母さんは
のちに別の場所で出会う事ができました。
その子は眼鏡をかけ、補聴器をつけてお母さんと手を繋いで歩いて、ひとりで椅子に座り、プラネタリウムを見て「きれい〜!」と言っていた。

まだまだ赤ちゃんな娘と毎日過ごしていて、歩けるようになるんだろうか、ひとりで何かをする事ができるんだろうか、会話はできるんだろうか。何かを見て心が動く事があるんだろうか。

そんな不安ばかり抱いていた私は、その親子との出会いが衝撃でした。そして大きな大きな勇気と希望をもらいました。

眼科でレーベル先天黒内障を診断された時、
私は真っ先にこの2人の事を思い浮かべました。
実は、私にとってこの診断名は初めて聞くものではなく、この2歳の女の子と同じ診断名だったのです。

ネットで探しても体験談なんかはほとんど出てこない疾患の上、数少ない重複障害。
そんな奇跡みたいな出会いを既にしていたのです。

娘の成長は限りなく

私たちの見た目が1人1人全く違うように、
難聴ひとつでも軽度からスケールアウトの重度まで聞こえ方は全く違い、コミュニケーションのとり方も「口話」だったり「手話」だったり人それぞれです。
たとえ同じ診断名がついていてもそれは同じで、
進行具合も症状も全く違います。
そのため、同じ療育をしたからと言って同じ結果が出る事はなく1人1人で向き合っていく必要があります。

盲ろうの人は症状がさらに人それぞれで、
全く見えない「盲目」
視力がかなり弱い「弱視」
全く聞こえない「聾(ろう)」
聴こえづらい「難聴」
いろんなパターンの人がいて、さらにいろんなコミュニケーションの仕方がある。

いま娘の状態はおそらく弱視+難聴に分類される。

今後は身体の成長や発達の様子を見て、
1歳半くらいを目安に弱視用の眼鏡をつける予定です。
どこまで視力がついてくるかは分からないけれど私たち親が限界を作らぬよう娘にはいろいろと体験させてあげたいなと思っています。

今後別の記事で生後7ヶ月からはじめた訪問リハビリや療育についても書いていきたいなと思っていますが、
リハビリを始めてからの娘はメキメキと成長を続け今ではパワフルにごろごろと転がりまわっています。

冒頭にも書いたように、スイッチが入ると本当によく笑う子で、その様子をみていると「この子なら大丈夫」と自然と思えてきます。


レーベル先天黒内障は海外で遺伝子治療が進められています。このまま研究が進められていけば遠くない未来にも娘の視力は改善に向かっていくこともあるかもしれません。
それもひとつの選択肢として希望に感じています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?