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COVID自然免疫とワクチンによる免疫の比較:再感染とブレイクスルー感染の比較

概要
背景 COVID-19に対するワクチンによる免疫力が低下しているという報告が出始めている。一方で,SARS-CoV-2への過去の感染によってもたらされる長期的な防御効果については不明である.

方法 我々は,3つのグループを比較するレトロスペクティブな観察研究を行った。

(1)SARS-CoV-2未感染者がBioNTech/Pfizer社のmRNA BNT162b2ワクチンを2回接種した場合、

(2)過去に感染したがワクチンを接種していない場合、

(3)過去に感染したがワクチンを1回接種した場合。

3つの多変量ロジスティック回帰モデルを適用した。すべてのモデルで、4つのアウトカムを評価した。SARS-CoV-2感染、症候性疾患、COVID-19関連の入院、死亡の4つのアウトカムを評価した。追跡期間は、イスラエルでDeltaバリアントが優勢であった2021年6月1日から8月14日までとした。

結果 

SARS-CoV-2未接種者は,最初のイベント(感染またはワクチン接種)が2021年の1月から2月に発生した場合,既感染者と比較してDeltaバリアントへのブレイクスルー感染のリスクが13.06倍(95%CI,8.08~21.11)に上昇した。このリスク増加は、症候性疾患についても有意(P<0.001)であった。ワクチン接種前の任意の時期(2020年3月から2021年2月まで)に感染が発生した場合、自然免疫力が低下している証拠が示されたが、SARS-CoV-2ナイーブワクチン接種者は、ブレイクスルー感染のリスクが5.96倍(95%CI,4.85~7.33)、症候性疾患のリスクが7.13倍(95%CI,5.51~9.21)増加した。また,SARS-CoV-2 を知らないワクチン接種者は,過去に感染した者と比較して COVID-19 関連の入院のリスクが高かった。

結論 

本研究では,SARS-CoV-2のDelta変異体による感染,症候性疾患,入院に対して,自然免疫がBNT162b2の2回接種による免疫と比較して,より長期的で強力な防御を与えることが示された。
また、SARS-CoV-2に過去に感染したことがあり、かつワクチンを1回だけ接種した人は、デルタ型に対してさらなる防御効果を得ることができた。