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言葉にならない人生の満たされなさに関する一考察

幼い子なら大人は早く寝なさいと言われなくて狡いと思うかもしれないし、社会的なポジションや、パートナーに対する不満ではなくベストを尽くす善人だと理解していても、何か足りないと思うことが有るのが人情です。

仮に、人が完璧な存在で不老不死なら、文明を発展させたり表現をせず、たまに木の実を口にしたり、美しい湧水で喉を潤して、ぼんやり過ごすかもしれません。ファンタジーやSF的です。

例えばAちゃんのお家はお金持ちで、執事がいるし欲しいものは何でも買ってもらえるし、いいなぁと思ったとしても、昭和の家庭では「ならAちゃんちの子になりなさい」と、ウチはウチ、ヨソはヨソと躾けられたかもしれません。羨んだだけで、「じゃあその家の子になれば」と言われるのは理不尽ですが、まだそう言い返せないのが子どもですね。

僕らは、成長と状況により無数の異なる味わいの満たされなさを経験します。なぜでしょう?

人は完璧と似た理想を求めがちだけれど、不完全性のある存在だから、理想と現実にはギャップがあります。個人で生きているのではなく、他者や社会と生きるからさらに複雑に。

人間の本質的特徴として不完全性があり、完璧とも似た理想を求める欲求があって、現実とギャップがある。

成長の原動力としての満たされなさ。不完全さが新たな体験や学びを求めます。モチベーションになることもあります。自分を改善したいという、強力なモチベーションです。例えばコンプレックスをバネにとか、逆境を武器にとか。

成長以外の要素もあります。例えば多面性。
ネガティブに考えると不満・欲求不満・ストレスの源など、人間関係や自己評価に悪影響を及ぼす可能性があります。

対してポジティブな側面を考えると、変化や成長の原動力であり、創造性や革新の源であったりする、人生の意味や目的を探そうと思うきっかけでもあります。

ネガティブでもポジティブでも、きっかけになりうる現象ですね。

社会と個人の相互作用ということで考えると、社会規範や期待値と、個人の願望はギャップがあります。あるべき姿、ありたい姿と現実の葛藤です。

他者や社会との関係性の中における自己実現という観点では、他者との関係性における満足と不満足、個人の成長と関係性の深まりのバランス、満たされない思いとどう向き合うかという要素が重要です。

社会というマクロから、個人というミクロへ。
自分を理解することを深めるのにも役立ちます。自分の価値観とか欲求の本質を探すことを通じて、満たされないと感じる根源的な理由を掘り当てることができます。

理想と現実、完璧と不完全性を扱うから、目標は固定的にするより柔軟さが望ましいです。そして、到達するまでの過程も楽しめるように自分のマインドセットを構築すると合理的です。

自己受容の練習にも使えるから、不完全さや、例えばうっかりミスをして格好悪い自分も受け入れてみると、それに関連した満たされなさを創造的なエネルギーに変換できます。

以上を踏まえた、バランスが大切です。

完璧のような理想を求めながらも、自分が不完全であることは受け入れる。そこに矛盾が起きるはずだから、どうバランスするかというのがその人の裁量やセンスですね。人間力でもいい。

では、いかにバランスさせましょうか?

秋風が吹くと物悲しく感じるように、とくに心当たりはなくても満たされない思いが、首をもたげることもあると思います。無念さの無い人生は少ないでしょうし。

人は自分を完全に把握できないくらい複雑です。その人が無数に集まって、それぞれの思いで行動する社会が出来上がるから、社会は指数関数的に複雑です。だから、満たされない思いが起きるのは無理はないし、そもそも我々は不完全で、自分から外には出て行かれない(肉体の制約がある)のだから、何かしら不完全さがあります。

例えば、視野狭窄を人は起こします。進化して生き残る上で必要な仕組みだったのでしょうけど、石器時代より安全になった現代社会では、バイアスや集中などが理由で起きてしまいます。

本人の管理ミスだけど、生き物としての「仕様」だから責任を負うのは理不尽でもあります。

それと似て、満たされなさは自分の落ち度ではなく、人と社会の仕組みで起きる面もあると、我々の「仕様」として理解することで、自己理解が深まり、他人や人間へ優しく出来るようになる余裕も生まれます。

我々の満たされなさという「仕様」と、例えば猫は無縁です。ご飯食べて家族や仲間と遊んで、好きなだけ寝て、トイレが清潔なら、だいたい満足ですよね。僕らは創造性があるから、猫と同じようには生きられない。

ですから、単に足りないことの不満ではなく、人間の「仕様」かもしれません、その満たされなさ。

「仕様」であるのなら、バランスをとる対処もしやすいですね。

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