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「機巧猫《からくりねこ》」縁起

この夏、港区立郷土歴史館で開催されていた「"Life with ネコ"展」。
戦前に建てられた旧公衆衛生院という沿革の、趣のある近所のこのミュージアム。以前から気になる存在でした。

散歩のついでにぶらりと立ち寄ったその展示で目が吸い寄せられたのがこの小匣。

鼠とそれを狙う猫。横にスライドする上蓋を開け閉めするたび、からくも鼠は猫の手から逃れる…
江戸時代から各地で作られた玩具だったそうです。
だれかが考案したこれを、江戸から、あるいは上方から、土産物として故郷に持ち帰る。
当地の指物師かなにかが「ホウ」といってはバラし、組み立て、自分でもスケッチや図面を描いては模倣品をつくる。そうやって広まっていったのでしょう。

これもご近所、芝浦に跡取りが会社を移した、からくり儀右衛門こと田中久重の面差しなども思い浮かびます。

その末裔が、いまやCADをいじくって機械を設計する、設計技術者となったのでしょう。
淡々と、黙々と、おのれの仕事にいそしむ。

鼠捕れるか捕れないか。猫のようにしなやかなコトバをこれからここで紡いでみましょう。

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