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あなたのからだはあなたのものーシオリーヌさんの性教育が人権教育だった話

助産師・精神科看護師であり、性教育YouTuberとして活躍する
シオリーヌさんこと大貫詩織さん。彼女を講師に迎えて性を考える特集を企画したいと思ったのは、からだのシューレ・メンバーである林利香が自身の問題に向き合うためでした。

私は初めてのキスも初めてのセックスも好きな人とではありません。「自分に落ち度があったせいだ」と通報せず、痛む体を引きずるようにして帰ったこともありました。

あのとき、自分はどうすればよかったのか。
どうして自分のせいだと思ってしまうのか。
「この自分」をどう考えていけばいいのか。

大切なパートナーができた今でさえ、セックスをどこかいいものだと思えない自分に対し、心のしこりを取り除く手がかりが欲しかったのです。

7/5(金)「大人の学び直し・性教育
8/3(土)「言えなかった#MeToo
8/7(水)「摂食障害と恋愛

全3回の講義でシオリーヌさんが教えてくれたのは「大切な権利の守り方」でした。

「あなたはみんなに愛されて、望まれて、奇跡を乗り越えて生まれてきた。だからあなたの体を大切にしてね、というメッセージは好きじゃないんです。綺麗ごとのような気がして」

精神科の児童・思春期病棟で、さまざまな事情を持つ子どもたちと日々接していると「あなたの周りの大人は全員あなたを愛しているよ」と伝えるのは無責任だと感じてしまう。それよりも、誰もが持つ大切な権利を守るための具体的な健康維持のスキルを手渡したい。だから、避妊や性感染症のメカニズムなど性に関する知識を伝えたいんです、とシオリーヌさん。

性的同意も全ての人に保障されている権利を守るために大切なこと。身体的、性的なバウンダリー(境界線)には個人差があり、境界線を踏み越える/踏み越えさせるかを決める権利は自分にも相手にもある。そして、自己決定権が脅かされるとき、ハラスメントは生まれるのです。

あなたのからだはあなたのもの。 
あなたのこころもあなたのもの。
自分のことは自分が決めていい。
 
一人ひとりが違いを認め合い、自分と他者の権利を侵さない。自分自身が自分のいのちとからだの主体者になる。シオリーヌさんの性教育とは、すなわち人権教育だったのです。

講義にご参加くださった皆さんの感想を一部ご紹介しましょう。

「性的同意年齢が13歳からだったことを初めて知り、性教育は13歳になるまでに必要だと実感しました」
「10代、20代を中心に今知ってほしい内容だと思うので、もっと若い人たちにも参加してもらえるといいなと思いながら聴いていました。私もたくさんの人に広めていきたいと思いました」
「このイベントがあることを知って参加することを迷ったのですが、参加することを決めた時、そして皆さんの前で話をできたときに、これまでよりも一歩前に進めた気がしました」

私自身も次の扉を開く鍵をもらえた……そんな手応えを感じています。

(8/3、7の内容は、あの日共に語り合った一人ひとりのたからものですので、非公開とさせてください。ただ、つらく悲しい体験は言葉にして信頼できる人に「話す」と少しずつ「手放せる」こと、似た体験を持つ者同士、時には涙を流したり、時には「あるある!」と共感して笑い飛ばしたり、お互いの知恵と工夫を交換して学び合えると前に進めることを、誰もが実感できたとお伝えします)

シオリーヌさんはYouTubeや講演会等でも積極的に情報発信しています。やさしい語り口で、大切なことをとてもわかりやすく教えてくれるので、ぜひご覧ください。シオリーヌさんの活動を通じて、人権を守るための性教育が広がっていくことを信じています。

講師のシオリーヌさん、そして、ご参加くださった皆様、広報にお力添えくださった皆様、本当にありがとうございました。みなさんと一緒に創り上げた時間は、とても意義ある、かけがえのないひとときでした。

さて、テーマはガラリと変わって、8月30日は「新学期開始直前!Webの中でどう過ごす?〜二宮明仁さんトークショー」を開催します。

大手ネット企業の創業メンバーとして数々の人気ゲームのプロデュースを担当し、現在はVTuberのプロデュースを仕掛ける二宮明仁さんを講師にお迎えしてWEB空間での快適な過ごし方を考えます。

からだと食べもの、私たちをとりまく社会について考える「からだのシューレ」。これからもご一緒に楽しく学び合いましょう!

(報告:林利香)

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