劇場版アルゴナビス AXIAの感想

例のごとく、考察厨解釈拗らせオタクの長めの感想と己の解釈垂れ流しコーナーです。

60分という短尺だったけど、ちゃんと見たかったもの知りたかったことが描かれてて、彼らへの理解が深まる良いストーリーだったなと思いました。結局最後曲を聴けば補完してくれるしね。どうしてもツッコミどころ多くて笑ってしまったんだけどもね。

冒頭、第1面白ポイントなんだけど(やめな)、パパの歌聴いてダメージ受けてるの何なんや…… ヒプ○シスマイクか?
あの時既に那由多は父の音楽を拒絶してるのは何故なのか? 時系列が分かりにくいけど、既に伊龍恒河に見捨てられた後にあのライブを見たということ? 那由多幼少期の話、ダブエスヒストリーとも噛み合わないとこがあってちょっと時系列分かんないのだけがやや不満ではある。

ダブエスヒストリーのところ、wiki情報をお借りしてURL置いときます。
https://wikiwiki.jp/aaside/ヒストリー/旭那由多
↑この形式だとリンクにできなかった……

急に海外の風景であろうクソデカお屋敷出てきた時には「旭那由多くんってらいおん組じゃなかったっけ?!!?!? ここどこ??!?! てか屋敷でかすぎやろ」と思わずにはいられませんでした。あのクソデカお屋敷のシーンって那由多くん5歳なの10歳なのっていうのがよくわかってません。パンフ見たら混乱しちゃった。ダブエスヒストリーだと小学5年の時に「両親が離婚し、父親が出て行ってしまう」なので、ママが先に出ていってる時点でなんか話違うな……とは思ったんだけどどうなんですかね。まあ、話には深く関わらないので気にしないが吉かなと思って一旦置いとくことにしました。
(追記)改めて見たら、1回目の回想シーンは5歳、2回目の回想シーン、才能が無いと言われて捨てられるシーンは10歳っぽい。だとするとママは5歳の時点で出ていっていたのにそこから5年2人だったのか? んなわけないだろ……って感じではあるんだがどうなんだろ。

あと、本当に申し訳ないとは思うんだけど伊龍恒河さすがにルー大柴かよって思っちゃいました。あの人の喋り方面白すぎて無理なんだが。谷山紀章さんの言い方もずるいのよ。

幼少期那由多、喘息で父にただ見捨てられただけでなくて、水ぶっかけられたりしてるし、あれはスパルタ教育という名の虐待だろ……。那由多、完全にPTSDだよねあれ。あとの話にも繋がるけど、完全に心的な病だと思うのでちゃんと専門家の指導の元治療しようね! 荒療治やめようね! と思いました。
あそこまでされて、完全にトラウマになってるのに、父親に対して萎縮して鬱屈した人間に育つんじゃなくて、反抗心剥き出しに育ったのシンプルにすごいわ。音楽自体は無理やりやらされてたわけではなくて、望んでやっていたから、認めてほしいと思っていたからなのかなあ。

第2面白ポイント、楽屋でエレキギターを掻き鳴らす礼音くんね。楽屋で無線のアンプ繋げとるんか? ギター掻き鳴らして那由多に話聞かせようとする礼音くん面白くない? 「掻き鳴らせ 存在証明」ってそういうこと?
まあそれはともかく、楽屋のシーンめちゃくちゃ良かったですよね。礼音くんのセリフ。ナビステ2でも思ったんだけど、真野くんの怒りの演技が好きですね。ジャイロのメンバーは那由多の音楽を支えるっていうポジションでありながらも、正面から那由多をも超えてやるって野心を燃やし続ける礼音くんがいたからこそ今回の物語って動いたんだろうなと感じさせられるところで、「リーダーのあんたがバンドにこだわってくれなきゃバラバラになっちまう」って賢汰に訴えたところ、すごくいいシーンだなあと思いました。多分それって結人と道を違えた時には言えなかったことだよね。あの時の賢汰もバンドにこだわりなんてなくて、ただ那由多の歌さえあれば良くて、結果結人を見捨てることになったわけで。でもそれが今回礼音くんからこの言葉が出てきたのは、その時との違いを感じるので良いなと思います。

第3面白ポイント、甘党すぎる摩周さん。コーヒーに角砂糖5個入れた後の「甘い! 甘い! 甘すぎる!」はさすがに笑わせに来てるでしょ。そりゃそんだけ砂糖入れたら甘いでしょうよと思わず言いたくなってしまいましたね(そういうことじゃないね)
あと、摩周さん絡みだとなんで人のいない水族館で賢汰と摩周さんは会ってたんでしょうか。謎すぎます。結構大事な話を水族館でしてたのは何故なのでしょうか。不思議です。

那由多と伊龍恒河が相対するシーン、那由多ずっと叫んでるし本当に仁くん大変だったろうな……と思いました。摩周さんから連絡来た時点で、伊龍恒河は那由多絡みだっておそらく気付いたんじゃないかと思うけど、わざわざ顔出しには来るんだって感じ。
そもそもだけど、伊龍恒河は息子を育て上げてどうしたかったんだろうね。そこは明言されなかったからわからなかったけど、息子すらも自分の最高の音楽を表現するための手段だった可能性はあるのかな。

兄弟のシーンもめちゃくちゃ良かったね!
ナビステでも兄弟のシーン見てるから尚更沁みたのはある。全く異なる環境にいるけど、兄弟だからこそ一歩踏み込んで話ができるんだろうなと思うし、今回は賢汰の方から航海に会いに行ってるのが良いよね。一時は開いていた2人の溝がもうほとんど埋まってきてる気がして、にこにこしますね。

今回もやはりキーマンだった蓮くんと、結人。
2人が函館から出発する時、蓮くんがついて行きたいと申し出たという話だったので、結人は一人でも那由多に会いに行く気だったのかとちょっとびっくり。
ジャイロのメンバーたちでさえも那由多がバンドにこだわる理由を理解できてはいなかったのに、蓮くんはちゃんと見抜いてたのが、この2人って本当に音楽を通して通じ合える人たちなんだなと。
那由多は実は結人と同じだったという描かれ方をしていて、ハッとしたなあ。「才能が無いと言われて捨てられる」「見返してやりたくてバンドを作った」「でも本当はただ音楽とバンドが好きだから続けている」ここで結人がぶつかってきてくれなかったら、那由多は目的に執着するあまり父親と同じことをして憎しみの連鎖を生んでいることに気付けなかったのかもしれない。よくよく考えると「父親への反抗心」っていう共通点もあったのに、那由多と結人が同じ境遇として描かれてることに全然気付いてなかったなあと思って、ここはすごく意味の大きなシーンだなと感じました。
あと、雨に濡れた伏し目がち旭那由多めっちゃお耽美ですこでした。

蓮くんがRagnarök歌い始めた時にはさすがにびっくりしましたね。そうなって来ると全パターン音源収録してほしいが???
聴いてる時の那由多、もはやあのシーン軽くホラーだった気が。マイクを握ったものの歌えなかった姿もまあ苦しそうで、というかあの鬼気迫る表情、怖いなという感情が勝ってくる。あのレベルのトラウマはもう絶対お医者さんに罹った方がいいと思うんです。とんでもねえ荒療治してんなと思いました。
那由多が倒れるとこ、めちゃくちゃシリアスなシーンなのに倒れ方とあのスポットライトの表現のせいでギャグ漫画のひとコマにしか見えなくて笑ってしまったごめんなさい。あの倒れ方は笑わん?
病院のベッドで目を閉じてる旭那由多さんのお顔もお耽美だったね。

結人とは反対に、完全に真逆の立場として描かれてた蓮くん。
那由多もあの野外ライブにいたことが判明したことで、同じ歌を聴いて、救われた人間と苦しめられた人間っていう対比構造なの面白いなと思いました。
蓮くん良い事言ってるのにスターファイブの受け売りなのがちゃんと描かれてるの面白かったな。
ここの流れで、那由多は「父親」ではなく「音楽」に見放されたって話をしてるけど、それは喘息の身体のことを言ってるんだろうか。
蓮くんだけは那由多の作る音楽、歌から那由多の本心を見抜いているのが、さっきも書いたけども音楽で通じ合う2人の独特の関係性だなと思った。
ただ本当に、蓮くんの私服だけはもう少し何とかしてあげてほしいと思いました。黄緑一色のシャツ…………

で、里塚賢汰なあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
わたし1個前のナビステの感想を書いた記事でこう書いたんですね。

那由多が練習に現れず賢汰が内心焦りを見せるシーン、面白いのが賢汰は「ここで終わってしまうのか?」と思うところですよね。このセリフ、賢汰のエゴを感じて好きです。原作にはなかったような気がする(パラパラ読み返しただけなので見落としてたらすみません)。もちろんセリフになっていないだけで賢汰の心の中では那由多への純粋な心配もあったかもしれないけど、舞台でのこの表現だと「自分の描いた夢が僅かなミスで終わってしまうかもしれない恐怖」という捉え方になると思うしそれを狙ってるのかと思ってはいるんですけど。深幸のセリフで「那由多の歌以外替えのきく道具としか思ってない」ってところがあったけども、見方を変えれば賢汰にとって那由多の歌は自分の夢を叶える最重要ピースではあるもののあくまで執着してるのは「那由多の歌」であって「那由多自身」ではないので、たとえば賢汰が那由多を凌駕する運命の歌と再び出会うことがあれば那由多のことだって捨てられるのだろうなと思った。

賢汰は那由多の歌を世界に届けることができれば形はどんなだっていいと思っていたようでいて、最初から賢汰は那由多を通して自分の夢を見ていたんだ、というのはナビステを通して思ったことで、今回はその裏付けだったなと思った。
ただし、ナビステの時間軸時点では賢汰も那由多以外のメンバーは替えがきくと思っていたものの、月日を経て今のGYROAXIAで旭那由多の音楽を届けることが夢になってしまった。
(追記)もう1回見てみたら解釈がなんか違う気がしたので追記。賢汰は最初から那由多を通して夢を見ていてそこに変わりはなかったんだけど、シンプルに気付いていなかったんだろうな。那由多を支えることを使命のように感じていて、あくまで自分はその裏方でいればいいと思っていた。けれどそうではなく、隣で一緒に夢を叶えることが自分の真の望みだったことに気が付いたっていう解釈のほうが正しいような気がします。

歩道橋のシーンの賢汰さんのセリフ、今回の映画のクライマックスに違いないのに、あまりにもプロポーズ過ぎて笑っちゃったんだよな。あまりにもプロポーズ過ぎるセリフがあった上で、主題歌「MILESTONE」=訳:一里塚ってもうほんとに結婚するんか? って。でも実際、賢汰さん的には一生添い遂げるレベルの覚悟だろうなという感じなのであながち間違いでもないかもしれないとも思っている。
賢汰もこれまではきっと那由多のことを"仲間"としては見ていなかったのだと思う。賢汰が那由多と共に夢を追いかける仲間になることを望んだ事で、ようやく那由多も仲間を見つけられた。

Rezonanceで初めてMILESTONEを聴いた時に、「旭那由多が『もう独りじゃない』って言った……!?」ってひとりで騒いでたんですが、MILESTONEの歌詞、すごすぎて何回も読んでる。

未だに歌詞が公式に発表されていない里塚賢汰のソロ曲STORMのアンサーソングのようにも思えるこの歌詞。

境界が分からない So I need a milestone
吹き荒れる嵐のその中で
MILESTONE
君とならどんな困難も握り潰してしまえそうで
吹き荒れる嵐の中へ手を伸ばす
STORM(耳コピ)

嵐の中で道しるべを探していた那由多、その嵐の中へ手を伸ばした賢汰。

As time goes by
ずっと探していた
あの頃の記憶の中で
MILESTONE

かつて自分が憧れた父親の姿、信じられる仲間と一緒に最高の音楽を作るSYANAの姿の記憶。本当はあの姿に憧れていたからこそ、どれだけ辛くても音楽をやめなかったのだろうし、バンドにこだわり続けていた。

I found a milestone
もう独りじゃない
MILESTONE

「道しるべを見つけた」という意味だけども、milestoneの訳が文字通り「一里塚」でもあるので「里塚賢汰がいた。もう独りじゃない」という意味にもなるわけですよねえ……。
メンバーの名前って地名から取っているわけで、これまでは「里塚」という名前も札幌の一地名という認識でしかなかったのに、最初から「旭那由多の道しるべになる存在」として里塚の名前を付けていたのだとしたら天才すぎるだろと慄いています。

さあ 運命よ 俺たちを 連れて走れ
MILESTONE

「どけよ運命!俺が通るぜ!」「運命なんて握りつぶしてく」と歌い続けていた旭那由多が、これを歌ってるの何もかもひっくり返るようなレベルの話だと思うんです……。那由多の心境の変化の大きさを表す強烈なフレーズだなと思いました。

そして、終盤で明らかになるGYROAXIAの名前の由来と名付け親!!
惑星のようにも見えるバンドロゴ、涼くんが名付け親なら納得だなあという感じでした。

那由多さんの歌うRagnarökも音源くれなんだよな。
トラウマを克服して、頂点を取るなら絶対に超えなければならない壁と向き合うことができるようになった上に、信じられる仲間を手に入れた旭那由多及び結束を強めたGYROAXIA、無敵になっちまったな……という感じですね。今回統一感のある衣装をKVに使用していること+リアルバンドも着る衣装として制作しているのは、GYROAXIAの結束を示しているのかなとか思ったりします。
何よりもここまで仕組んだ上で、独立して自社に引き抜く摩周さん、恐ろしい策士ですよ。

今になってナビステ2の最後の「見たか。これが旭那由多だ。GYROAXIAだ!」というセリフを思い出すと重み変わってくるな〜と思います。わたしたちはあの時点では分かりえないけど、キャストたちは先にAXIAが控えていることを分かった上で芝居をしていたわけなので、気付けなかったいろんな思いがこもっていたのだろうな〜と思う。再演してほしい。

結局のところAXIAの時系列的には東京に行く前なので、ダブエスよりも前の話ということですよね??
となると、ダブエス以降の話や曲への受け取り方が全部変わってくるくらいの話だったんだよなあ。だってMILESTONEの後にWITHOUT MEが出てる時系列になるわけですよね??? 話変わってくるじゃんそんなの……
今後のリアルライブだって見方変わってきますよ。とんでもねえものを見せてくれたな……という感じですね。

60分の映画の感想で5600字書くことなくない!?
内容が詰まっててとても良かったと思います。
これからのGYROAXIAがより楽しみになりました。
終わり!

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