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ミカン色の風車

「風の色が変わった」と言うのは
漁師をしてる父ちゃんの口癖だ。
今日はお祭り
笛と太鼓の音に誘われて長い石段を登ってゆく。

お賽銭を入れ深くお辞儀をして鈴を鳴らし柏手を打ち拝礼。
願い事はヒミツよ。

境内の露店を観て歩く。
久々に集まったんじゃない?

私がお目当てのお店は
「弥七の風車屋」さん。
色々な模様や色の紙と風車の真ん中に付ける玉、持ち手の笹竹の棒も5色あるから自分だけの風車を作ってもらえるの。

「へいいらっしゃい」
どれにしようかな?
「ゆっくり選んでね」
やっぱ暖かい色がいいかなあ?青も好きだけど悩む〜

ヒュッと風が吹いておじさんの後ろのよしずに刺してある風車がカラカラと音を立てて回った。

ひらりとイチョウの葉が落ちて来た。
黄色もいいなあ。
紙は黄色にしてください。
「かしこまりミカン色だね玉はどうする?」
黄緑にしてください棒は茶色で。
「じゃあ作るよ待っててね出来たら鐘を鳴らすね」
だいたい五分くらいかかるみたい。

近くの他の店を観に歩く。
あーイカ焼きのいい匂い♪
でも半分以上お父ちゃんに食べられちゃうからなあ。

カランカラン♪と鐘の音がした。
「へいお待たせ出来ました。」
あ、何だかミカンの匂いがする?
「アハハ気のせいでしょ面白い娘だねえまた来てね」
ありがとう。

向こうにレモネードの旗が見える
何だろう。
飲み物なんだ試飲が出来るみたいで小さな紙コップがある。
「飲んでみて」
おいしい初めて飲んだ。
一杯ください。
「まいどありー」

こう言うの初恋の味なのかな?
あらかた観て回って帰ろうとする。
「お嬢ちゃん風船あげよう」
いいですいいですと断る。
もう子供じゃないんだからティーンになったばかりだからね。

さあ帰ろう。
ぶわっと一筋の風
カラカラカラカラ
ふわっとミカンの匂い

あっやっぱミカンの匂いがするよ
ちょっとイカくさい?

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