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エレガントで優しい山形ワインの魅力

日本ワインの進化を知っておきたい

最近、日本ワインをいただく機会が増えてきました。しかも、ものすごく美味しい。ワインはその土地のお料理に合わせてこそ本領発揮、さらに素敵なペアリングになると信じてやまないワイン好きも多いかと思いますが、私も、その信奉者の一人。日本の食材で作るお料理に、日本のワインを合わせて幸せに浸ることができるこの環境変化は、何とも贅沢、「日本在住ワイン好き」として、この上なく嬉しいです。

それにしても、日本ワインに、いったい何が起きたのでしょうか!?

まだまだ国産ワインのイメージとして、品種が独特、味わいもしかり、価格競争力からしてもヨーロッパワインや台頭する新興国ワインとは、まだまだ実力差が。。。と思われている節もありますが、しかし、気がついたら、国内外で優れた醸造家が活躍し、国内各地で国際品種が栽培され、いつのまにか、世界水準の日本ワインが楽しめるようになっていました。考えてみればワインの生産可能緯度帯である30~50度に日本はすっぽり入っている訳で、ちょっと湿度高めではありますが、果物が美味しくできる気候風土です。
最近は、日本固有品種のワインも世界的評価を得ています。いわゆるドメーヌ型(自分の畑のブドウでワインも醸造)の生産者がクラフトマンシップを発揮し、それぞれにスタイルのある醸造をし、日本ワイン全体の底上げしています。日本ワインの劇的すぎる進化には、まだまだ全然ついて行けてないのですが、日本ワインを支える全ての皆様に感謝しながら、その魅力を掘り下げて行けることにワクワクしています。

こだわりの食文化が山形の魅力を発信

さて、今回、出会った日本ワインは、山形のワイン。食の理想郷としてまちづくりを進める山形県鶴岡市のリストランテ「アル・ケッチァーノ」の奥田シェフの元で腕を磨いた弟子のシェフたちが全国で開いている系列店の1つ、東京・銀座にある山形県アンテナショップ2階「ヤマガタ サン ダン デロ」が、出会いの舞台です。

ところで、鶴岡市といえば、ユネスコ創造都市ネットワーク食文化分野の加盟都市です。実際、市民により様々な食文化プロジェクトが進められていて、海外への発信にも力を入れています。創造都市の分野には、食文化の他に、文学、映画、音楽、クラフト&フォークアート、デザイン、メディア・アートがありますが、行政が文化コンテンツを盛り上げるために税金を投入して予算を付けることは、実は大変ハードルが高いことです。そうした状況において、創造性のある意欲的な気運と裾野の広がりを持って地域全体を盛り上げていくリソースとして、「食文化」ほど強力なものはないかもしれませんね。なんと言っても、食は生きていくのに欠かせません。

山形県には、庄内地域の鶴岡市だけでなく、内陸は村山地域の南部にある上山(かみのやま)市、その南、置賜地域の南陽市や高畠町など沢山の魅力的なワイン産地があります。果物もお肉もお魚も、美味しいものがたくさんの山形県で、ワインに関連した食文化がさらに発展していくのが楽しみです。

山形県のお野菜と月山の甲州シュール・リー

さて、この日は、まだまだ夏の暑さがのこる9月末の昼下がり。まずいただいたのは、庄内地方・鶴岡市「月山(がっさん)ワイン山ぶどう研究所」の甲州シュール・リー「ソレイユ・ルヴァン」。汗ばむ季節に、甲州ならではの透明感!爽やかな涼風が吹くようです。それにしても、そんな爽やかさにプラスされた、この清々しさは、いったい。。。それもそのはず、甲州栽培の北限は、鶴岡市西荒屋地区なのです。冷涼産地の白ワインらしく、キリッとドライな味わい。甲州って、こんなにエレガントな味わいになるんですね。。。身近な品種だけに嬉しくなってしまいます。シュール・リーとは澱の上で熟成することですが、ラベルを見ますと5ヶ月以上の澱接触。酸味の中に、旨味も素晴らしいです。西荒屋で棚栽培される甲州ぶどう。。。涼しげな風景が目に浮かびます。250年以上前から、山形の地で受け継がれてきたというその歴史にも思いを馳せてしまいます。
山形県産の山の幸、海の幸とのペアリング、始まりから何ともドラマチックです!

甲州シュール・リー 「ソレイユ・ルヴァン」(鶴岡市 月山ワイン山ぶどう研究所)


山形県より。いろんなお野菜たっぷりのバーニャカウダ風~庄内産の魚醤とカリフラワーピューレのオリジナルソースで~
山形県産の食材で作る今日の前菜は日本海の鯛です!

庄内豚の生ハムと山形県産ピノブラン

次にお願いしたのは、お料理の進行に合わせ、高畠町産ピノブランを使った「高畠クラシック 上和田ピノ・ブラン」。高畠町は標高が高いながらも山形新幹線が停まり、温泉が駅にあるそうです。映画「スウィングガールズ」のロケ地としても知られているそうで、つい、口ずさみがら飲んでしまいそうです。 
さて、ピノブラン(白いピノ)、味わいの表現は、というと、、、ソムリエ協会の教本には「フラワリーなアロマをもち、優美な白ワインを生む」とありましたが、ピノグリ(灰色のピノ)のもうちょっとさっぱり系というところでしょうか。イタリアのピノグリージョの、穏やかな酸味だけど、きちんと果実の酸味は感じて、一方で奥行きとふくよかなコクのある感じに加え、そこに冷涼感のヴェールをかけた、とでもいうのでしょうか。
ピノ系って、個人的に豚肉にも合うなあと思います。本日のクリームソースと庄内豚の生ハムのパスタにも、ばっちり合って、なんというか。。。涙が出るほどに、至福、のひとときでした。。。

高畠クラシック上和田ピノ・ブラン(高畠町 高畠ワイナリー)
庄内豚の生ハムとフレッシュクリームのパスタ~スパゲッティーニ~


庄内豚のグリルと山形産メルロー

さて、いよいよメインです。ソムリエ様に、メインに合うばっちりな山形県産ワインをお願いしたところ、「ばっちりなものあります。お任せください(^^)」とサーブいただいたのが(株)蔵王ウッディーファームの上山市内自社畑産ブドウ100%使用の「ウッディ・ルージュ2018」でした。

ウッディ・ルージュ2018(上山市 蔵王ウッディーファーム)


メルロ70、カベルネソーヴィニヨン24,カベルネフラン6の本格ボルドーブレンド。す、素晴らしいじゃないですか!!ラベルを拝見すると「2018年は記録破りの猛暑、平成最後の夏、樽熟成した3種の個性をブレンドし補完、淡い色調ながら円熟した風味、濃厚とは対極だが過不足なく満たされる充実感と日常に溶け込む穏やかさを感じるワイン」とあり、その意気込みとこだわり、ブドウそれぞれの個性とワインを愛する情熱に、心がいっぱい、飲む側も熱くなります。。。!

庄内”山伏豚”肩ロース肉のグリルと自家製ハーブマスタード

それにしても、日本ワインのなせる技なのでしょうか。日本産の赤ワインにほとばしる、ほのかな「出汁感」。安心感。。。いつもは、ピノノワールに感じるのですが、今回も感じてしまったこの優しい感じ。まさに夢心地の調和に、ふわふわ~っとなってしまいました。日本ワインの新たな極みを味わってしまった気がします。日本に生まれて良かった。。。そう思わせてくれるワインです。


銀座で山形のワインと食を満喫できる幸せ

最後は、山形県産の(と仰っていた気がします(^_^;)リコッタチーズのドルチェと、鶴岡産シルクを使ったシルクマカロン、という大満足の山形満喫コースでした。こうして振り返ると、レストランでのお食事って、食とワインが織りなすアート、芸術、一つの作品なんだと改めて思います。まさしく、食文化の創造。

リコッタチーズを使った本日のドルチェ ほおづき添え
鶴岡産 シルク・マカロン

こんなに手をかけたものを時間をかけていただく。本当に贅沢なことです。でもこうして書き留めておかないと、記憶の彼方に埋もれてしまうかもしれない。そう思うと、記録しておくこと、振り返って、作り手の皆様に感謝することが本当に大事だと、今回改めて思いました。
こんな小さな営みが、少しでも感謝の気持ちを伝える一端となれば嬉しいですし、この素晴らしさを広くシェアする一助になれば幸せです。
ヤマガタ サン ダン デロ、予約必須の人気のレストランとなっていますが、またぜひお世話になりたいと思います。
山形ワイン。白ワインのエレガントさと、赤ワインの優しさとともに、優美なひとときを過ごさせていただきました。

さてさて、料理とワイン、美味しくするのは、どっち? 鶏と卵みたいな関係ですが、土地のワインと料理が織りなす相乗効果は、限りなく果てしなく。。。本場、山形県に行って、ワイナリー巡りをして、その地で食とワインを楽しみたいところです。
この日本での、様々な地域の日本ワインとの素敵な出会いは、まだまだ続きます。また、ご報告できますこと、楽しみしています。

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