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デスゲーム味で(レトルト三角関係)【#毎週ショートショートnote】
はい! いまから御三方にはデスゲームならぬ関係修復ゲームをしていただきます!
赤井君、白川さん、桃田さん。
本日お呼びしたのは同僚一同の総意と思っていただいて結構です。赤井君と白川さんの場をわきまえないイチャイチャも桃田さんがそれ見てグギギしてるのもこっそり赤井君が桃田さんにも気のある素振りしてるのもひっじょーにウザいです。会社で何をやっとんねんお前ら。
なのでとっととその三角関係を
#あなたへの5つの質問
こちらの企画に参加します。
特にひねらず、設問にそのまま答えるかたちで。
Q.1
あなたがパートナーよりも先に亡くなったとしたら、残されたパートナーに、あなたに代わるパートナーと出会い、幸せになることを望みますか?
それとも、ずっと自分がパートナーにとっての最後の人であることを望みますか?
A.自分が死んだ後の現世には興味がないので好きにしてもらえればいいです。特に何も望みません。
Q.
落しものとも言いきれない(着の身着のままゲーム機)【#毎週ショートショートnote】
突然だが、目の前に着の身着のままの男がひとり落ちていて、そいつがいきなり
「僕はゲーム機なんです」
とか言い出したら、あなたはどうする?
俺は通報する。
警察官が来るまでの間、そいつは喋り続ける。
「ゲームのお好きな博士が、AIと会話しながらゲームするべく僕をお作りになりました。どの媒体のゲームでもプレイ可能なんです。見てください」
と言ってそいつが見せたうなじには、確かにスロ
戦場のマザー・グース(強すぎる数え歌)【#毎週ショートショートnote】
ひとつ、ひとりでねむらない
ふたつ、ふりかえらない
みっつ、みつからないように
よっつ、よるまでかくれて
いつつ、いきをひそめて
私が歌ったのを、隣の子が聞いていた。眠っていると思っていたのに。充分小さな声だと思っていたのに。
「なあに、その歌。ちょっと不気味ね」
不気味なのはあなたの顔だ。幾重にも巻かれた包帯で、目しか見えない。
「お兄ちゃんが教えてくれた。お化けを追い払う歌だって。
恋を偲ぶ(忍者ラブレター)【#毎週ショートショートnote】
その男の名は知らなかった。相手は忍びである。父の命に従って敵国へ旅立ち、情報を集め、あるいは暗殺を行うのが役目であったから、名を明かすわけにはいかなかったのだ。
父が亡くなり、跡目を継いで初めてその男と対峙した。それまでは父と短く言葉を交わす姿を、それも遠目でしか見たことがない。こちらまで射抜かれそうな、鋭いまなざしの男だった。
男は父からの最後の命を果たすと言った。こちらが止めるのも聞
心の栄養(数学ダージリン)【#毎週ショートショートnote】
彼は塾に通ったことがないそうだ。「自分でできるから」「周りに合わせるのが苦痛」「時間の無駄」とその理由を言った時の、怪訝そうな顔が忘れられない。なぜそんな当たり前のことがわからないのだと言いたげだった。
「試験勉強してる?」と訊かれ、同じ顔で「してるけど?」と問い返す彼は、高校二年のいまではすっかり変人扱いされていた。休み時間にまで教科書や参考書を広げ、勉強し続けている姿を見れば、それも仕方
秋など幻想なのだ(秋の空時計)【#毎週ショートショートnote】
北国には秋など存在しない。
今年は例外的に暑さが長引いたから、余計にそう思う。ここは一年の半分近くを雪に閉ざされる極寒の地である。秋だねと言い始めたらあっという間に冬が来る。十一月頭には初雪が降り、十二月には積もる。
九月も過ぎ、十月の声を聞けば、自動車を運転する者が考えることはひとつ。
いつタイヤを交換するか。
雪の降らない地方の方には馴染みが薄かろう。ここ北の国では、冬になれ
こうるさい妖精(イライラする挨拶代わり)【#毎週ショートショートnote】
ぱぁん!
「うわ! びっくりした!」
彼がとっても驚いてくれたので、あたしは満足。
鼻先で火花を散らしてやったの! 遊びにきたよって、あたしの挨拶代わり。
「ちょっと、やめろよ」
彼がしっしっと手を振る。いつもこうなの。ひどいと思わない? あたしのこと邪魔モノみたいに扱うんだよ。
だから、あたしは言ってやるの。
「なによ! こんなので怒っちゃって、ばっかみたい」
「そっちこ
思い出よりも(チクタク水兵さん)【#毎週ショートショートnote】
父親の記憶はほとんどない。アメリカ海軍の軍人だったらしい。周囲に反対されて入籍できず、俺が2歳になる頃には本国に帰ったのだとか。
5歳の誕生日に置時計が届いた。1時間ごとにセーラー服の水兵が出てきて敬礼するやつだ。カードがついていて、母親が読んでくれた。
「愛する息子へ。お誕生日おめでとう」
それっきり、父親からはなんの便りもなくなった。
たぶん、母親が結婚したせいだろう。それまで