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私の読書●小説家志望の読書日記

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日々の読書の感想・雑記です。 お気軽に覗いていただければ幸いです。
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#花村萬月

私の読書●小説家志望の読書日記㉙花村萬月も中村文則も

 今小説は、またしても花村萬月『二進法の犬』を読んでいます。  なんでこの私がヤクザものばかり読んでいるんだろう。でも、面白いので仕方ない。  ただ、この力のある作家、性と暴力と極道を外したごくフツーの小説でも読ませると思うんだけど、それは書く気が起きないんだろうか。まだ数冊読んだくらいだが、この作家のフツーの小説を読んでみたいと思ってしまう。  最近よく読んでいた中村文則もそうなのだが、設定とテイストが皆似通っているんだよね。そう考えると、太宰や芥川はずいぶんいろんなテイ

私の読書●小説家志望の読書日記㉖花村萬月『ワルツ』

 花村萬月『ワルツ』。  面白かった。特に戦後の数年を舞台にして、当時の世相を節々に織り込んでいるところに迫力があった。知らなかったこともたくさんあった。  それはともかく、あんな結末になるなんて。なんだか、死んだ(殺された)城山が、『戦争と平和』のアンドレイ侯爵を思い起こさせた。死んだ者は過去になっていく。  しかし、ワルツ=三角関係の正体は何だったのだろう。単に一人の女性を巡るそれとは少し違う。城山に強く惹きつけられていたのは、最終的に城山を殺した林だったのではないか

私の読書●小説家志望の読書日記⑯ 花村萬月『笑う山崎』

 『笑う山崎』は、ヤクザたちも恐れをなす一見優男のインテリヤクザのお話。この作家らしく、まあ、暴力と性描写がこれでもかと出てくる。 でも、お約束のように出てくる残虐ななぶり殺しシーンは、なんだか戯画化めいていて、笑ってしまう。性描写にはもう慣れてしまった。  そのくせ、ときどきはっとするような「まっとうな」、そして鋭い台詞が挿入されるのだが、これが面白くて、またまた読みたくなる。  同じ花村萬月の『アイドルワイルド』を読んだときにも思ったが、この作家は自分の小説の

私の読書●小説家志望の読書日記②花村萬月『色』

 最近は主に現代作家の小説とルポルタージュを濫読中。ルポルタージュは小説のヒントを求めて読んでいます。いずれもこれまでの私にはあまりなかった読書傾向ですが、「いい小説を書くため」という目的があるとこんなに夢中になれるんだなと感じています。  私はどうしても自分の小説にリアリズムを求めてしまうので、現代の諸事象に目を向けることは必要不可欠なのです。    花村萬月さんの『色』という短編集を読みました。私小説のようなエッセイのような作品。そのなかに創作論として読める部分があり考