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私の読書●小説家志望の読書日記

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日々の読書の感想・雑記です。 お気軽に覗いていただければ幸いです。
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2021年12月の記事一覧

私の読書●小説家志望の読書日記㉚逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』

大変な力作です。 独ソ戦のなか、村を焼き払われ村の人々や母を殺された少女セラフィマは、狙撃兵として前線に立ちます。 彼女にとっての本当の「敵」とは一体なんなのか? それがこの物語のテーマです。 とても読みごたえがあり、かつ日本ではあまり知られていない独ソ戦の凄惨なる実態もつぶさに描かれていきます。 同時に、スターリン体制下のソ連の内部にある矛盾も、揺れ動くセラフィマの心を通して描かれていきます。 ただ、私の意見としては、ラストに腑に落ちない部分を残しました。 ネタバレにな

私の読書●小説家志望の読書日記㉜佐藤究『QJKJQ』

直木賞・山本周五郎賞受賞作『テスカトリポカ』もすごかったですが、今日読了した『QJKJQ』もすごかったです。 「すごかった」を繰り返して語彙貧困をさらけ出してますけど。 こんなに完全に騙されたのは久しぶり。 でも、単にミステリではない深みがあります。 著者が最初は純文学系であったというのもうなずけます。 ミステリとして見たら、荒唐無稽に映るところもある話。 でも、思想的モメントで見るといやでもざわざわと脳みそのひだが動きます。 苦手な人は絶対苦手だと思いますが、ご興味を持