自然ネクロマンサーの変遷について

はじめに

自然ネクロマンサーについての解説記事です。
森羅咆哮の環境開始(2019/9/26)から、RAGE(2019/10/5.6)を経て、能力調整が行われた(2019/10/29)まで、各時期において代表的であったネクロマンサーのデッキ構築に触れながら、どのようにデッキが変化していったのかを記します。その後、今後の環境におけるネクロマンサーの展望を記してみようと思います。

自然ネクロマンサーとは

森羅咆哮において新しく登場したアーキタイプです。
新レジェンドカードであるトートやネクログループ・ルベルを採用し、基本的にはトートのファンファーレ効果の起動からバーンダメージで勝利を目指すデッキタイプになります。
プレイにおいては他のデッキよりも毎ターン毎の動きが比較的分かりやすく、構築面においてはデッキのカスタマイズ性が高いため、初心者から上級者まで様々なシーンでおすすめ出来るデッキタイプです。これまでの競技シーンにおいても活躍が多く見られ、今後の環境においてもまだまだ第一線級の活躍が出来ると思います。

確定3枚枠

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全タイプの自然ネクロマンサーにおいて、3枚の採用が確定と言えるのは上記7種類・計21枚のカードかと思います。
自然ネクロマンサーの名前の通り、ナテラの大樹を加えるカードが全種類、ナテラの大樹によって強化されるコープスドッグ、メインのフィニッシャーとなるトート、の7種類がこの3枚確定枠となりました。ここについてはアーキタイプによる必然採用のカードという認識のため各カード毎の説明は省かせていただきます。

選択枠

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確定枠を少なめに記したために、選択枠が多くなっております。
搭載した全てのカードを自分で試した経験があり、控えめに見積もっても実際に十分選択枠であることは間違いありません。私が採用候補として考える優先度が高い順番に全カードの紹介をしていきます。

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95%3枚確定枠となるカードです。ただ、3枚採用については要検討なカードということでこちらに載せました。汎用性抜群の除去カードであり、ゴーストのフェイス1点が後述するアイシャ進化のトリガーとなることでアイシャとのシナジーが良いです。全てのデッキに2〜3枚採用されます。アイシャを1枚でも積むのであれば3枚推奨。

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発表からネクロマンサーを支えてきたカードです。ミミ・ココがラストワード持ちということも相まって、デッキとの相性が良く憑依同様にほぼ確定枠の位置付けに。RAGE直前期にはセレス型のコンボデッキ気味な自然ネクロマンサーが流行ったことにより、一時期不採用のリストも見られましたが、リノセウスエルフの更なる流行によって改めて採用枚数が増えました。3枚推奨。

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中盤から終盤を繋ぐカード。2面除去+守護を立てれるカードということで、自然ビショップや自然エルフとのマッチにおいて特に強さを発揮します。また、進化権がなくなった後に複数面の中大型除去をこなすのが厳しいデッキタイプなのでロングゲームを見据えるのであれば複数枚の採用が好ましいです。対ビショップ・自然エルフを考えるのであれば2〜3枚推奨。

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優秀なドローソース。自然ネクロマンサーにおいては、ネクログループ・ルベルやコープスドッグという強力なカードを引っ張れること。ナテラの大樹関係のカードがラストワード枚数を稼げること。などの理由から、テンポロスによるデメリットより手札を増やすメリットが多く、テンポロスが負けに直結せず、手札枯渇の方が負け理由になりうる、といった理由から複数枚の採用が当然視されていました。ただし、デッキ紹介で後述しますがリノセウスエルフの隆盛により、枚数を減らす、不採用にする可能性もあります。概ね2〜3枚推奨。

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最後の押し込みとしてのカード。また、必殺突進として盤面を取ることに使うこともあります。ネクロマンスを消費するカードが少なくネクロマンスが溜まりやすいデッキのため直接召喚がしやすく、最低限1枚は採用したいです。対リノセウスのようなデッキを強く意識するのであれば複数枚の採用も視野に入ります。1~3枚推奨。

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4ネクロマンスを消費することで、2/4/4の破格スタッツを持ち、進化権を使うと貴重な2面処理が出来るカード。セレス型での永遠の誓いから0コストプレイをすることを筆頭に、ほとんどのデッキには2〜3枚採用されます。唯一、アイシャカムラを複数枚採用するデッキにおいては、手札でソーラが2枚以上被ってしまった場合にネクロマンス4の消費が足枷になることがありました。アイシャカムラ複数枚採用デッキ以外においては、2〜3枚推奨。

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2/2/2でラストワード持ちということで採用が検討されるカード。深淵の夢が盤面を複数ターン埋めてしまうため、このカードの採用価値というところにややマイナス評価が付き纏います。しかし、深淵の夢の終盤のプレイはゴーストがアイシャ起動のトリガーとして使えたり、3Tの深淵の夢は盤面処理に役立ち、深淵の夢自体がラストワードカウントを稼いでくれるカードだったり良い点も多いです。2/2/2枠としても優秀であり、特にアイシャを2枚〜積むデッキであればこのカードも1〜2枚推奨。

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セレス型と言われるデッキタイプで採用されることが多いカード。その場合は永遠の誓いを使ったコンボデッキとなります。単純に毎ターン3回復する上に相手の処理難易度が高いです。コントロール・コンボデッキを目指すのであれば複数枚採用されますが、対面によっては価値を発揮しない可能性もあり(対リノセウスエルフなど)、仮想敵に合わせた採用となるカードです。このカードを採用することは他の選択枠にも影響を及ぼすため、1枚採用とかで輝くカードではなくデッキに合わせて2〜3枚推奨。

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3/3/3が対リノセウスエルフに優秀なカード。エンハンス6での進化も墓地にアイシャがある状態では7点になり、主として対リノセウスエルフのようなトート起動が間に合わないマッチに採用することで勝率に寄与するカードです。また、アイシャと合わせて使うことが好ましいため、このカードを採用する場合は4コストはアイシャのみが最低条件です。採用推奨枚数はデッキをどこにどこまで寄せるかによって変わるため0〜3枚となります。

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セットで採用されることが多いカードですが、アイアンツールドクターは単独で採用することでアイアンツールドクターでループを行うことが出来るなどメリットがあり十分選択肢となります。エンネアのみを採用することは構築にブレを感じ、エンネア自体が単独で強いカードではないため非推奨です。いずれにせよ、これらのカードを採用することは守護を複数枚採用することが環境において重要であると考える場合です。対リノセウスエルフや対リオードロイヤルのような疾走で高打点を出してくる相手に対してのカウンターカードと言えるでしょう。つかの間の幸福のダメージカットもこれらのデッキと対する時には役立ちます。また、アイアンツールドクターはネクロマンス6と消費が大きいため、デッキ単位でソーラやアイシャの採用枚数や採用の可否についてバランスを考える必要があります。さらに、マンマル1号が4コストであることも考慮しなくてはいけないポイントであり、リアニメイト4で場に出すフォロワーを絞りたいのであればアイシャを不採用にするなどの余地もあります。アイアンツールドクターは採用するなら3枚推奨、エンネアはアイアンツールドクターを3枚採用した構築に加える形で2枚推奨。

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オシリスを採用する場合は概ね、オシリスの進化後バリューを活かすためにミーノとヘリオを同時採用する型が好ましいです。ヘリオについては単体での採用も多く見られますが、私の中ではセット採用のカードという認識でいます。単独採用の3コストとしてリノセウスエルフを重く見たいのであればカムラ3枚採用の方が良いという考え(同時にアイシャを複数積むことでヘリオの枠は基本ない)です。対ビショップや自然エルフを相手にコントロールゲームプランを見据えるのであれば終盤の使用が難しいヘリオはそもそものコンセプト外だと思っています。よってこの3種はセットでの採用をし、ラストワードのカウントを1番早く進められるデッキタイプの特性を活かして、最速トート起動を目指す構築となります。採用推奨枚数は、ミーノ2〜3枚+ヘリオ3枚+オシリス2〜3枚です。

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非推奨枠です。これらのカードを入れてデッキが強くなったと思えることはなかったです。沈黙の信者を積むよりは、アイアンツールドクター・エンネアの採用が良いです。ボーンドローンは強く使えるターンが限定的であり消滅による強い裏目も存在し、リアニメイト4に引っかかる構築になります。ギルトは所謂ソウルコンバージョンですが、ドロソとしてはワンダーコックで十分です。トート後などの終盤に能動的に盤面を空ける働きが唯一強い点ですが、あえて積むほどのメリットは感じられなかったです。

環境初期~RAGE直前期において

※ここからの各時期の環境におけるデッキの印象は主観に基づくため、実際とは異なる可能性が多分に含まれているためご容赦ください。

この時期は、従来のミッドレンジネクロマンサーの形を取りつつ、盤面を取ってラストワードを稼ぎ、早期のトートの起動を目指すタイプのデッキが主流であったように思われます。

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その他、ボーンドローン、死の夢の少女、ギルト等を採用したレシピも多く見られました。

RAGE直前期には自然ビショップの圧倒的Tier1の気運がプレイヤー中に広まり、その中でネクロマンサーも飛躍的にレシピの改革が進みました。
ネクロマンサーのブレイクスルーの最も大きな要因となったのが、永遠の花嫁・セレスを採用したコンボデッキとしてのネクロマンサーです。

RAGE直前期~RAGE当日において

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この時期に流行していたのが永遠の花嫁・セレスを採用し、永遠の誓いを使うことで7T以降にコストを下げた、ネクログループ・ルベルやコープスドックを同時に展開し相手に面を押し付けるデッキです。永遠の誓いを安全に使用するために、ソーラや悪意の憑依が確定で3枚積まれるようになりました。セレスを採用し、ケルベロスを不採用にすることで、自然ビショップに対して勝ちやすくなるという発想です。自然ビショップが確定で対面することが分かっていたので、他のデッキに多少不利であっても、自然ビショップと互角以上に戦えるネクロマンサーを採用に踏み切るのは成功でした。

実際に私がRAGEで使用していたネクロマンサーがこちらです。プレーオフ準決勝まで進むことができました。ケルベロスをピンで採用することや、カムラを2枚採用することでリノセウスエルフに対しても速度で勝つ余地を残しています。

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その他、この時期の主な特徴としては、コンボデッキという認識が高まったことで、自然カードのキーパーツ集めを行うワンダーコックが3枚確定と言われるようになったこと。アイアンツールドクター+エンネアを採用したデッキが登場したことなどです。セカンドデッキとしての採用が多いように予想されたリノセウスエルフに対して勝率を上げる目的で組み込まれました。

一例として、友人である、Qwert | かみやん選手がRAGEでマネーフィニッシュをした時のレシピです。(掲載許可いただきました)

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私のレシピでは、ケルベロスやカムラを採用することでリノセウスに速度で勝とうとしたのに対して、こちらのレシピでは守護やダメージカットを採用することでターンを伸ばして勝とうとする意図が見られます。

この時期のネクロマンサーをまとめると、ビショップに勝つために採用されたセレス型に、セカンドデッキの主流であったリノセウスエルフに勝つためのパーツを組み込むというタイプが結果を残していたのではないかと思います。
また、一定数いた自然エルフなどのデッキにも戦いやすかったのがこの時期のネクロマンサーが強かった要因でもあります。

RAGE終了後~10/29能力調整前において

RAGEの結果を受けて、リノセウスエルフがますます猛威を振るうようになりました。これはネクロマンサーにとっては明らかな逆風で構築の抜本的な見直しが求められました。
まず、RAGE期から大きく変わったポイントとしてはリノセウス激増を受けてセレスの採用が大きく減少し、従来のケルベロス3枚採用に移りました。
そして、リノセウスエルフに対応したカード採用がRAGE期よりも更に求められるようになりました。

10/26に地方大会山梨で私が使用したレシピはこちらです。スイスドロー5-2敗退という結果でしたが、数多くの強豪プレイヤーと戦う中でネクロマンサーのデッキ構築の仕方に関しては自信を持ちました。カムラアイシャを3枚ずつ採用することで、リーサルターンを早める目的と盤面をリノセウス進化で踏まれにくいことを意識しています。アイシャを4Tに通常プレイし破壊されることで、カムラの進化フェイスでアイシャをリアニメイトする動きが強い圧力となっています。一方で自然エルフやビショップへの対応として母なる君も最低限の2枚採用をしました。

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また、山梨大会においてスイスドロー2位となりプレーオフ準決勝に進出した、友人である紫苑選手のネクロマンサーのレシピがこちらです。(掲載許可いただきました)アイアンツールドクター・エンネアを3-2のバランスで採用しアイシャも2枚入れています。母なる君を不採用としたのも注目すべき点ですね。私とはデッキアプローチの内容は違えど、RAGE終了後の環境においてリノセウスを強く意識したネクロマンサーをBO3に採用するという点では同じ方向を見ていたと思います。その上で、結果を残した素晴らしい構築の一例だと思います。

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このように、RAGE終了後~能力調整前までの期間においてのネクロマンサーはリノセウスエルフに対応していくような形で構築に変化が見られました。
ネクロマンサーを使う上で必ず考えなければならなかったのがリノセウスエルフにどう勝つか、リノセウスエルフが多いことが分かっていて持ち込めるのかという点だったのですが、各プレイヤーが考察を進める中でリノセウスエルフと互角程度に戦えるネクロマンサーは存在したように思います。

能力調整後の展望

黄金都市、マーキュリーイージス・シオンの能力調整により、10/29現在においては今後のBO3環境でどのようなデッキが主流となるか想像がつかない状況にあります。とは言え、ここまでご覧いただけたように自然ネクロマンサーは環境に応じて細かなチューニングを施すことで、まだまだBO3単位で戦えるデッキであることは間違いないと個人的には考えているので、これから先も注目し考察していきたいとは思っています。

おわりに

ここまでお読みいただきましてありがとうございます。
記事自体は以上となります。

本当に微々たるものですが以下に対ビショップ・対リノセウスエルフ戦のマリガンについて、簡単に写真付きで紹介しています。今後ご意見等を頂けましたら参考にして、有料部に加筆することも考えてはいますので、もしここまでの記事をお楽しみいただけましたらご支援いただけると嬉しいです。
今後も折を見て、noteに記事を投稿することを考えていますのでもし機会がございましたらその際にはまた見ていただけるとありがたいです。

この記事についてご意見やご質問等がございましたら、@kaoru_rainyのTwitterアカウントまでお気軽にどうぞ。ありがとうございました。

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