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「旅するために生きている」

下の子(4歳男子)と図書館に出かけ、「ここにいてね」と大好きな電車の図鑑や本を何冊か渡して私は好みの本の出会いを求め、「ママ〜」と呼ばれるまでの数分で見つけた本がこちら。

ホテルのネット予約が当たり前ではなかった時代から、バックパッカーだった。地球の歩き方やLonely Planetを見て旅のルートを決め(それが楽しみの一つだった)、国際電話で電話して安宿を予約し、本当に予約できてるのかどうか不安になりながら小さな地図を頼りに現地でホテルを探した。

一箇所にとどまるのではなく、長距離、深夜含む電車・バスでの移動もまた楽しみの一つだった。

1人でレストランに入り、英語のメニューをオーダーし、本を読んだりガイドブックを読んだりしながら食事し、現地の人たちに声をかけてもらって仲良くなったり。

ガイドブックの地図が間違っていて迷いに迷ったり、路線バスが待てど暮らせどこなくて老夫婦が車に乗せて目的地近くまで送ってくれたり。

この本を読んでいたら、何年も前のそんなことが次から次に思い出された。何かに取り憑かれたように毎年一人旅を続けてた理由は今になってはわからないと思っていたのだけど、こんなに言語化してくれるとは。

身もふたもない言い方だけど、有名な狩野名所を回るのは楽しい。観光名所には名所になるだけの理由や歴史がある(ことが多い)。それにやっぱり世界史の教科書で眺めていた場所が現実に目の前に現れると、脳の片隅の文字列にすぎなかった情報が、突如、色や重みや手触りを持つ。
そして、一通り有名どころを回った後、自分の足でしか見つけられない無名の景色を探しに行く。そうやってお気に入りの景色と出会えた瞬間の、あの胸の高鳴りといったら。それはどんな運命の恋でも敵わない。

旅するために生きている 片渕ゆり

ひとり旅の醍醐味は、自分飲みたい景色を思う存分楽しめることと、そして旅先で出会った人と旅ができることだと思う。

旅するために生きている 片渕ゆり

ひとり旅の醍醐味を存分に味わったあと、夫になる人との旅はそれはそれは楽しかった。緊張感は半分になったし、ちょっと心配?ぐらいなことは大胆に実行できたし、楽しめる料理は2倍になったし。

そして子どもができて、グアムやハワイにのんびり出かけた。ひとり旅のような胸の高鳴りとか、どこに行くかは行き当たりばったりとか、移動も楽しむ旅とかとは無縁になってしまって、あれはもう卒業してしまったのか、もうあの楽しみ方はできないのかと思ってたりもする。

子どもと生活をしていると、近くにお出かけするだけでも冒険的なことも多かったりするわけで、子どもと一緒だと区内の公園に出掛けては新たな発見をし、いつも乗っている電車に乗ってもハラハラさせられる(電車の中で騒いでとかね)ので、まあ日々旅してるようなものなのかもしれない。

でも、今回この本に出会って、当時の気持ちが蘇ってきてソワソワしている。そうそう、それそれ、と。訪問した国の数が30を超えたあたりからカウントしなくなってしまったけど、まだまだ行きたい国はたくさんあったんだった。

子ども、7歳と4歳の今年の夏は、プーケットに行くことにしている。ちょっと、かーちゃんの冒険に付き合ってもらっても悪くはないわよね。子どもとの旅の醍醐味を探究しながらも、自分の求めるものも追求してみたくなっている。

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