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狂言師・野村太一郎による狂言ワークショップ

2022.10.15(土)

会場は京都高瀬川
THE GATE HOTEL にある自彊(じきょう)室という部屋。

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40人は入る広い和室に、座布団と低い椅子が並べられており、
一列目ともなれば演者との距離は2mほど。

『狂言ワークショップ』とは
どんなことをするのか全く分からない状態で待機する。

【16:00〜 1公演目】

ディックデイルのミザルーと共に入場してきたすゑひろがりずと新喜劇のお二人。
Misirlou — ディック・デイル

着物のすゑさんとハッピの高井さんと清水さんで既にめでたい!

南「なんかドゥンドゥクドゥンドゥン♪って感じで入ってきましたけども。」
高「全然この空間とマッチしてない!」

BGMと空間のミスマッチさにいきなり爆笑。

受講者側も、畳の上に座りながら超絶エレキテクの光る曲で入場してくるとは思わなかっただろう。

南「狂言見たことあるよーって方」
客「✋(ちらほら)」
演「おおー!結構いるんですね。」

南「じゃあ見たことないよーって方」
三「はーい!🙋‍♀️見たことないよねぇ?」

一番元気よく手を上げた三島さんに演者総出で総ツッコミ

高「見たことないの?!」
三「早急に見てきます(ニッコリ)」
高「これ見いひんやつや」

そして今回の講師、太一郎さんが登場。

もうお馴染みの狂言師さんといった感じで馴染み方がすごい。

ワークショップ内容の説明によると、この流れで進むとのこと。

①狂言の仕草をレクチャー
②新喜劇に狂言師が参加
③狂言をすゑひろがりずが実践

説明から期待しかない。

まず最初に狂言の『笑い方』をレクチャー。

野「うー!はぁっはっはっはぁー‼︎‼︎‼︎(満面の笑み)
・・・はい、これをしていただきます。(スン)」

素晴らしい発声からのいつもの落ち着いた太一郎さんに戻る緩急で笑ってしまう一同。

南「ちょっと切り替えがすごすぎて…w」

笑うまでの「うー!」は笑いを堪えている様子を表しているとのこと。

すゑさんからいざ実践。

三「俺『うー!』やるから南條『はぁー‼︎』やって」
南「分けるの?!」

三島さんの宣言通り分けてやることに。

三「うぅー!(笑いを堪えている顔)」
南「はぁー‼︎はっはっはっはぁー‼︎(満面の笑み笑み)」

「うー!」をやる三島(右)と、「はっはっはっはっは」をやる南條(左)。 [画像ギャラリー 12/18]- お笑いナタリー

方や下を向き、方や上を向いて大声を出してる様子に笑ってしまう会場。

高「三島は笑い堪え切った人やん!w」
野「彼らのスタイルの笑い方ですね。」

相変わらず懐の深い太一郎さんにキュン。

そして次は高井さんと清水さん。
清水さんの笑い方が初動からキーが高くて笑ってしまう。

南「高井さんお上手ですね!」
高「横に下手くそなやつおるからそう見えるだけじゃない?」

そして受講者も実践。
照れながらも一斉に狂言の笑い方をする。

太一郎さん曰く、いつものワークショップならだいたいこの辺りから打ち解け始めるが今日は既にあったまっているとのこと。

さすが芸人さん、確かに開始1分から楽しいです。
ここからもっと、楽しくなっていく。

次は『泣き方』のレクチャー

狂言は嘘泣きが多いらしい。
泣き方も白々しく「えーん、えんえん」

🙈←動作もこんな感じなのであざとかわいい。
はじめてのおつかいの竹千代を思い出してもらえると近い。

まずすゑさんから実践するが三島さんの

「えーんえん…🙈はぁーはっはっはぁー‼︎‼︎」

さっき習った笑い方をぶっこむ不意打ちボケにやられて爆笑。

他に『怒り方』も披露してくださり、
地団駄踏みながら「怒った怒った!」と言うらしい。

三「へー!ぷんぷん😠って感じですねぇ」
南「ぷんぷん😡‼︎(地団駄)」

狂言はとにかくオーバーリアクションなんだな、と実感。

②新喜劇に狂言師が参加すると言う初めての試み。
これがめちゃくちゃにおもしろかった!

まず新喜劇のお二人がうどん屋の店員と客の見本を見せる。

きつねうどんを作るのに時間がかかると言った直後にうどんが出てきて、驚いてコケるという定番ボケ。

驚いてコケる客役を太一郎さんが行う。

高「そもそも狂言の時代にうどんってあったんですか?」
野「出てくる食べ物は少ないです。砂糖代わりのねり飴とか。」
南「それ食べ物とカテゴリしていいんですかね?」
三「調味料」

きつねうどんではなく、お茶で実践することに。

その際すゑは下手側のステージ外から見守るため、1列目一番左の人とすゑさんは手を伸ばせば届く距離に!👼
キュッと固まってコラボを見守る黄緑着物のお二人にキュン。

https://natalie.mu/owarai/gallery/news/497697/1921772

まず入店からむちゃくちゃ。

店の前で大声でしゃべっている太一郎さんと、
言っていることが分からなすぎて不安そうな高井さんで笑える。

完全にペースが太一郎さんで、ツッコミの役割をしているはずなのに大ボケになってしまう。

狂言のズッコケはじめてみたけど面白すぎた。
くるくる回って仰向けで寝そべってた。

すゑさんも手叩きながら「おもろぉ?!」と大喜びしてた。

2つめは、店員が水をこぼし、客にかけてしまうシーン。
これは店員側を太一郎さんがすることに。

「どぶどぶ」言いながら扇子で水を入れていく太一郎さんと、何が起こっているのかわからない清水さん。

野「どぶどぶから、ぴちょ、ぴちょ、に変わったら水がなくなった合図です。」
すゑ「合図出されてるやん!」
清「わかるかぁ!」

新喜劇に入ったら全てボケに変わってしまう狂言師強い。

最後はヤクザ登場のシーン。
狂言では『すっぱ』という悪い役が出てくるらしい。

大声でしゃべりながら店の前でウロウロ歩き回る狂言師が話しかけてきた時の高井さんの
「警察呼んでー!」で会場爆笑。

これまたすゑさん大喜び。

ゑ「これずっと見てたいなぁ〜」

コーナー中、見てるだけだけど
ずっと楽しそうなすゑさんが印象的でした。

カッと太陽みたいな笑顔の三島さんと
南国の鳥みたいな笑い声で地団駄踏んでバシバシ進行表叩いてる南條さんうるさすぎて愛した。

そして最後はすゑさんが狂言を実践するコーナー。

演目は『盆山』
盆栽を盗みにきた友達をからかうアレです。

まず演目に出てくる
犬、猿、タイの鳴き方をレクチャー。

犬は「びょうびょう」と鳴くが、
回数は何回でもいいよ、と言われ

三「びょう🐶」
と一回で終わった三島さんにズッコケる演者たち。

野「だいたい3回から15回くらいですかね。」

何回でもよくなかった様子。

三島さんのびょうびょうが野太すぎて
高井さんに「大型犬だね」と言われ
「ゴールデンレトリバーを想像してやりました!」と答える三島さん。

狂言でゴールデンレトリバーチョイスする三島さんェ🦮

猿のとき、脇をかきながらキーキー鳴く仕草に
「いつも三島やん!」と喜ぶ南條さん。

三「うん、いつも猿の練習してんねん」
南「あぁ、練習してたんやぁ」

タイの鳴き真似は「タイ、タイ」と言いながら跳ねるのですが動きがぎこちなくなる三島さん。

「痛風のおっさんが痛い痛い言ってるみたい!」
とまたしてもツッコまざるを得ない南條さん。

そして実戦では太一郎さんが家主、
すゑさんがコソ泥コンビで登場。

太一郎さんに「犬か?」と言われ
びょうびょう言うお二人。

「猿か?」と問われキーキー鳴くお二人。

脇をかいかいしてたが三島さんが顔まで掻きだす。
南條さんに向かって搔いて!とジェスチャーすると
顔や首を掻いてあげる南條さん。
軟膏を取り出し薬を塗ってあげる南條さん。

三「はぁ〜〜☺️」

その時の衝撃はお笑いナタリーのお写真へ。

右の脇腹をかく猿の演技から、普段のように「肌がかゆくなってきた三島」を表現するすゑひろがりず。 [画像ギャラリー 8/18] - お笑いナタリー

会場が笑いに包まれる中、最後に「鯛か?」と問われ
「タイ!タイ!」と跳ねながら逃げていく二人だが三島さんは明らかに「痛い!痛い!」って言ってた。

即興の動物もしようと、太一郎さんからの鬼フリが来て主人のセリフを取り合う二人。

お互い手を差出して口々にセリフをねじ込む。

無茶振りされまいと主導権を握ろうとするすゑひろがりず。 [画像ギャラリー 18/18] - お笑いナタリー

セリフ合戦に勝利した三島さんが呼びかける。

三「アルマジロかのぅ?」
南「まじろまじろぉ!」

三「アリクイかのぅ?」
南「ぺろりぺろり!ぺろぺろり!」

鳴かない動物ばかりのお題に喰らいつく南條さんと
ニヤニヤしてる三島さん。

三島さんの容赦ないところと
あたふたしてる南條さん好き。

こうして、全てのコーナーが終わった頃には15分ほど時間がオーバーしていた。

大盛り上がりの中、写真撮影タイムへと移り、
映像も撮られていたのでどこかのニュースに写るかも?

【17:30〜 2公演目】

出囃子はCrazy FrogのAlex F。

https://youtu.be/k85mRPqvMbE

南「変えてくれたんでしょうが、このBGMもおかしいって!」
高「今までの出囃子で一番出にくかった」
南「なんかポワポワ言ってた」

一通りBGMへのクレームを申し付け質問タイム。

南「1回目も来たよ〜って方」
客「✋(大勢)」
高「えぇぇ〜?!!これから全く一緒のことやりますけど大丈夫ですか?!」

この質問からいろいろと狂っていくのであった。

太一郎さんも登場し、質問を投げかける高井さん。
「狂言のチケットって高いイメージがあるんですが…」
との質問に丁寧に答えていく太一郎さん。

5000円くらいで、席や見やすさによって金額が変動するとのこと。

1回目同様笑い方と泣き方のレクチャーがあるが、
太一郎さんの「1公演目とは違うボケでどうぞ」
という鬼ブリに変になるすゑさんと新喜劇組。

太一郎さんは1回目のときボケる両者に
(あ、ちゃんとやってくれないんだ…)と思っていたらしく、
しっかり恨み晴らしてて笑った。

狂言では観客の想像力も必要で、
人ほどの大きさの蚊も出てくるとのこと。

蚊の所作は着物の袖を持ってパタパタ一周回って「ぷーん」🦟

おもしろくどうぞ!という太一郎さんの豪速球のフリ。

三「ぷーん。
あ!こんなところにウンチがー!
・・これは太一郎さんが悪いです😫」

もうただの仲良し☺️

清水さんも三島さんにひっぱられて「誰ですかこんなとこブーブークッション置いたのはー!」って言ってた(笑)

南「2公演目でも大丈夫だから!お客さんもみんな分かってるから!」

という頼もしい言葉で同じ内容しちゃいけないという空気がリセットされた気がした。

狂言の小話で興味深かったのは、
狂言師のみ足袋が黄色い理由。

元は鹿の皮で作られていた名残りと、
登場人物が一般階級の人が多いので汚れて見える方が違和感が少ないからではないか、とのこと。

舞台に松を背負っている理由も興味深かった。

元々神様の依代となる松に向かって能や狂言を奉納していたが、
芸能になり観客を入れるために後ろに絵を描いたのではないか、とのこと。

そのため松を鏡に映した「鏡板」とも呼ばれている。

また、『松竹梅』がきちんと関係しており、
背に松。
側面には竹。
梅は舞台の花形である「役者」であると。

これは粋だと感動して拍手が起こってた。

狂言への興味が止まらず、南條さんの
「昔の人は動きも狂言に近かったんですか?」
という質問に
「そんなわけないやろ!」「ゆっくりすぎるわ!」と全員にツッコまれてた。

南「すみません!質問間違えました!」

会場全体がハテナを浮かべそうになったが潔い申告で笑いに。
質問めっちゃ間違える南條さん大好き。

そして新喜劇と太一郎さんのコラボ。
設定は1回目と同じ。

この時代にきつねうどんはあったのか、という質問に

「きつねうどんではなくせめてうどんですかね。」
と答える太一郎さん。

三「素うどんってことですか?」
野「はい…www」

三島さんの素うどんがツボに入ってしまった太一郎さん。

三「太一郎さんのツボわからん!」

もうただの仲良し☺️

1回目と同じシチュエーションだが受け答えを変えてきた太一郎さん凄すぎた。

続いて店員が水をこぼすシーンでは、
1公演目より清水さんと太一郎さんの息が合っていて気持ちよかった。

わけわからん奴に水こぼされて怒っている客に対して、狂言師店員が
「騒がしいお方だぁ!」と言い放ったとき理不尽すぎて手叩いて笑った。

三島さんは満面の笑顔で一回転してたし、
南條さんは地団駄踏んで爆笑してた。

大暴れ狂言師に全力でツッコむ新喜劇、本当にずっと見てられる。

ヤクザ登場のシーンでは名乗りを『すっぱ』から『博打撃ち』に変えていた。

大きな声でウロウロする太一郎さんと、
高井さんの「なにしとんねん!」のツッコミがハマりすぎて分かっていても笑ってしまう。

南「狂言の身振り手振りの大きさと、NGKのキャパ、ちょうどマッチすると思うんですよ!」

と、すっかりこの場の誰よりも狂言新喜劇のファンとなった南條さんが熱弁。

それを受けて高井さんは
「俺たちずっと『なにしてんねん!』しか言われへんと思う」と笑っていた。

狂言師ボケ、無双すぎて新喜劇でも手に余るかもしれないがすごく見てみたい。

最後に、すゑひろがりずが狂言を実践するコーナーでは
局番でコラボしていた『蝸牛』の一節をすることに!

【局番】https://youtu.be/GTVXbBcVXxo

「でーんでーんむっしむし〜」のアレです。

太一郎さんのレクチャー中、三島さんは動きを合わせられず、腰がツイストしてしまう。

受講者の手拍子と歌に合わせて蝸牛の踊りをするすゑさんの姿は、もはやお遊戯会だった。

三島さんは足の動きは改善されたものの、
いつのまにか上げる足が逆になってしまう。

その場にいた家臣たちは見守りながら
(がんばれ…!)と念を送ったことでしょう。

無事に2公演を終えて、達成感が会場に満ちる。

南「太一郎さんすごいですよ!
1回目から全部変えてきた!ハート強すぎる!」

1回目とは教える内容を変えたり、
同じシチュエーションでも言い回しや立ち回りを変えたり、バケモノ級のアドリブを見せた太一郎さん。
新喜劇とのコラボが近い匂いがする。

「狂言とお笑いは似ている」ということが改めて証明された一日だと感じた。

新しい試みと、ここから大きなイベントに繋がるかも、というワクワクを味わえる最高のイベントでした!

また開かれる日を心待ちにしております❣️


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FANYマガジンの記事
https://magazine.fany.lol/78156/