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ASHIOTO
深い青色のジャケットに
雪の結晶のブローチをつけ
通り過ぎていく
午後の光が
路地裏の暗闇の中で
彼女を吸い込んでいく
2つの赤い木製の靴音が残された
胸から蒸発して空に昇った
空気のような
色彩や記憶が分解され
何千キロも離れた
砂漠の上で立ち止まった
もう何十日も歩き続けた
ラクダは喉が渇いていた
朦朧としながら
主人と砂漠の真ん中で
途方に暮れている
風を切る音が鳴り
大きな音が鳴り
氷の塊がラクダと主人の
遥か先に現れた
灼熱の中で
あっという間に
氷は溶け始めた
真夜中の大きな窓に
青と赤のネオンの文字が現れ
246を走る車の音が
疎らに広がっていく
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