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エドワード・ホッパー、『コンパートメントCカー』

エドワード・ホッパー、『コンパートメントCカー』。
ホッパーが憧れた列車のイメージは、風景を一直線に横切っていく列車のイメージだった。永遠に変わらないような車窓のありふれた景色は暮れなずみ、やがて夜の闇に包まれようとしている。湿り気を帯びたような鉄のレールの上を一定のリズムを刻みながら重い鉄の車輪がすべるように走っていく。ほとんど空っぽに近い客車の中はすでに沈黙が支配し、ただ一人の女性を乗せて車両ナンバー293コンパートメントCがすべるように走っていく。風景を一直線に横切っていく列車のイメージ。ホッパーが憧れた、やがて闇に包まれる孤独な列車のイメージ。コンパートメントC。

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