The First SLAM DUNK

投稿と書いた時期に時差があるのは許して欲しい。

確定申告も終わり、遅ればせながら見てきた。The First SLAM DUNK。原作SLAM DUNKの終盤、湘北vs山王戦を湘北のポイントガード、宮城リョータをメインに据えて描いた作品。

正直言ってリョータは原作では一番目立たなかったポジションだったような。花より男子で言うなら美作的な。湘北バスケ部マネージャーの彩子に惚れているという事くらいしか残っている印象がない。そのリョータの過去と現在、最愛の兄の死によって今にも壊れそうな母親との関係や憧れだった兄の背中をバスケを通して乗り越えて行く様子が試合模様と交互に描かれる。

見に行く前は映画のかなりの高評価に少し警戒していた。見る前に勝手にハードルを上げてしまって素直に楽しめなくなってしまうパターンに陥ることが過去何度かあった。しかしそんな杞憂はドゥクドゥクした扇情的なBGMのオープニングと直後に始まる試合の模様にすぐに打ち砕かれた。

湘北vs山王の描写がとにかく素晴らしかった。原作そのままのキャラクターがスクリーンを所狭しと駆け回り、何を言ってるのか自分でもよく分からないが、これが本当の「漫画の実写化」と言うやつなのかと思うほどのスピード感と肉弾み溢れる戦いに、時折挟まれるリョータの過去にお預けを食らった犬の気持ちになりながらも、試合が佳境に向かうにつれて、映画を見ている私がそのまま試合を応援する観客の一人になっていった。

原作はかなり前の作品でストーリーも忘れていたが、映画を見るにつれ、ああこういう場面あったなとか、花道と流川のライバルにもならないライバル関係やバスケに戻ってきた三井、三井の応援団になった不良モブ、ゴリの案外繊細な性格等を徐々に思い出してきて、あっという間に原作の世界に戻ることができた。

花道が最後のシュートを放つ場面、リョータの目線で描かれているが故に花道の心の声は聞こえてこない。しかし原作を知ってる人には、あの無音になったスローモーションの数秒間に聞こえてきたはずだ。「左手は添えるだけ」と。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?