20230608


・ウクライナ南部のヘルソン州で6日に起こった巨大ダムの決壊による被害が広がっている。
ダム決壊を受け、小麦などの穀物相場は反発した。世界の指標となる米シカゴ商品取引所の小麦先物価格は6日、一時1ブッシェル6.48ドルと前日比4%上昇し、約3週間ぶりの高値を付けた。
ダム決壊の影響を受けるウクライナ南部には大規模な農地があり、作物の収穫が打撃を受ける可能性がある

ウクライナは小麦やトウモロコシの主要輸出国の一つだが、政府機関によると今回の洪水により、ヘルソン州だけで日本の耕地面積の10分の1にあたる広大な土地が利用不能になった。灌漑システムへの被害総額は100億ドル(約1兆4千億円)にのぼるとの試算

「ダムの爆発は悲惨な結果と大きなリスクをもたらしそうだ。相場上昇は始まったばかりかもしれない」

・世界成長、今年2.7%に小幅上げ
経済協力開発機構(OECD) 世界経済見通しで2023年の世界経済の実質成長率を2.7%と3月時点の予測(2.6%)より0.1ポイントとわずかに上方修正

ゼロコロナ政策を解除した中国経済の回復やエネルギー価格の上昇一服が成長を下支えするとみる
「23年から24年にかけての世界の経済成長の多くが引き続きアジアからもたらされる」と予想

欧州の天然ガスを筆頭に、ロシアのウクライナ侵攻で高騰したエネルギー価格が落ち着いてきたことも世界景気の追い風になる。世界のインフレ率は22年の7.8%から23年は6.1%に低下すると予測している。
OECDは世界の経済成長は下振れするリスクが大きいとみる。インフレ率が想定通りに下がらなければ消費者の期待インフレ率が高止まりし、結果的に一段の物価上昇が長期化する恐れがあるという。

中国の輸出 前年同月7.5%下回り3カ月ぶりに減少
米国向けは18%のマイナス、ASEAN向けが16%、欧州連合(EU)向けが7%それぞれ減少

品目別では労働集約的な衣類や玩具が1~2割減、耐久消費財では、パソコンが11%、スマートフォンが25%それぞれ減った。

・マイクロソフト、AI経済圏
「チャットGPTはこれまで見たことのない速さで成長する消費者向けアプリだ」。MSのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)

MSは1月にオープンAIに数十億ドルの追加投資を発表すると、検索エンジン「Bing(ビング)」、業務ソフト「マイクロソフト365」にオープンAIの生成AI基盤技術を矢継ぎ早に盛り込んだ。さらに今回はOSそのものに生成AIの自動アシストサービスを搭載した。
オープンAIのチャットGPTにもMSの検索エンジンBingをつなぎこんで相互に連携させ、最新の情報にアクセスできるようにした。

・生成AI使いこなすコツ プロンプトエンジニアリング
・チャットGPTに求める回答を出力させる上でカギを握るのが、的確な指示を与えるプロンプトエンジニアリングだ。
「与える情報が詳しいほど回答の質が高まる傾向がある」
有効とされるのがチャットGPTに具体的な役割を与える手法だ。「あなたは(企業向けの)B2Bマーケティングのスペシャリストです。『チャットGPTを活用した業務効率化』をテーマにしたセミナー企画を任されたと想像してください」といった具合だ。
さらにセミナーの対象がマーケティング担当者であることを示し「ターゲットに刺さるセミナータイトル案を5つ提案してください」と指示する。

生成AIが扱うのは人間の言葉だけではない。
チャットGPTは手順を示しながらコードを自動生成するため、プログラミングの知識が十分でなくても使い始めやすい。
「指示文次第ではプログラマーと同等かそれ以上のコードを作成できる」

・生成AIが問うもの 社会が関与し技術発展を
マイクロソフト研究主任 グレン・ワイル氏
・生成AIは私が生きている間に起きた最も大きな変革の一つだ。生産性の向上や特定の課題を解決するという話ではなく、「どんな未来を生きるのか」というビジョンにかかわる変革をもたらしうる。

生成AIの最もエキサイティングな可能性のひとつは、人々がより多様な方法で生活できるようになることだ。
単にコミュニケーションや翻訳が容易になるだけではない。そのような「普遍的な翻訳装置」が実現すれば、全ての人が英語や「近代西洋」文化に合致した生き方を学ぶことは重要ではなくなる。多様な生き方をしつつ互いに協力し合えるシステムを実現できる可能性がある。

生成AIには人々をより生産的にし、あらゆる能力を活用する可能性があることは間違いない。ただ自動化と置き換えによる最も直接的な道筋をたどれば、企業の利益だけが伸びてしまう。今後10年間で、企業の収益が上がり賃金の割合が低下する可能性は十分にある。

これらの問題を考える際に重要なテーマは2つある。一つは「AIにどんな制限をかけるべきか」ということ。もう一つは「開発すべき補完的な技術は何か」だ。

AI活用でも仕事は減らず
生成AI(人工知能)を日常業務で使い始めた弁護士、会計士、コンサルタントたちを取材した。誰もが技術的なリサーチや文書の下書き作業での時短効果を指摘した。
そして節約できた時間をもっと多くの仕事に費やしている。

企業は日々の販売成績ランキングなど、それまで監視できなかったデータを突然、追えるようになった。年金制度の縮小、工場の売却、他社の敵対的買収が利益にどう影響するかといった多様な分析も、いくつかボタンを押すだけで可能になった。
新たな分析能力は大量の仕事を生み出した。ホワイトカラーの業務の総量が減るわけではない。これまでなかった製品やサービスの実現に伴い、需要や期待も膨らんでいくかもしれない。


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